第3話
わたしには願望がない。
何かを成したいとか、何かを残したいとか。
子孫を残したい、親孝行したいと思わなかったことはなかったけれど、
わたしの家系が機能不全家族のオンパレードできれいにみんなメンタルを病んでるから
わたしの代で終わらせた方が多分、良かったのだ。
今はまだ子ども扱いされている兄弟の居場所も、孫なんてイレギュラーが入ったら壊れるだろうな。
相手がいたら相手の家族ごと巻き込むだろうな。
誰もそこまで考えていないし、考えなくてもいいことかもしれなかった。
わたしは小さな生き物と暮らす。
出来るなら、その生き物が健やかに生きるのを見届けて、共に朽ちたいとすら思う。
それまでは生きていてもいいのかもしれないから。
しあわせでいることは変わらないことかもしれない。
わたしはずっと、ここから動けない。
誰かが人生を変えていくのを見ている。
わたしの好きだった人が、いつか結婚して、子供を産んで、かわいいおばあちゃんになるのを
ずっと見ていることしかできない。
わたしとしあわせにはなれない。
さようなら、ぬるかった世界
未来 おちば @ochiba_2
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