〈三〉



 山野を覆った白雪が陽を照り返して眩しく輝く。標高のあまりないなだらかな稜線に降り広がったさまは夏の砂丘のようだと思いつつ前方を見据え、一行は紫の濃霧の切れ間からいきなり現れた関門を前に一度立ち止まった。


 事前の説明どおりすでに開け放たれている。旗を掲げて堂々とその門を越えた。


 二泉の兵たちは直立不動で迎えているが警戒の色が濃い。密やかな話し声を気に留めず内門をも抜けたところで一行を待っていた騎兵たちのうち、隊長と見受けられる男が軍礼してみせた。


「お待ち申し上げておりました」


 対して騎上の者は頷く。皮甲よろいを着て顔を鉄の面で覆っていた。


「請願により、契約のもと参上致した。とはいえ、桂州が我らの通過を許すとは思わなかったが」

「桂州はいまだ我々埋州のことは静観しています。銅興関どうこうかんからの入国については認可済みです。あなた方にはひとまず旅の疲れを癒して頂く為、深沈にて逗留先をご用意致しました」

 鉄面の兵はありがたい、とこたえた。

「実はが到着するまで我らも待ちたいと思っていた。これでは戦えないのでな」

 隊長は彼らの跨る獰猛そうな獣に一歩退った。馬には似ても似つかない。白い息を涎と共に吐き出す舌は赤く、鋭利な犬歯が地に着くほど長かった。

「……うまやもご用意がありますれば、そちらをお使いください」

 鉄仮面は仲間と顔を見合わせて少し考え、いや、と断った。

「餌を食わせて休ませ、と交換して早々に帰らせる。ここは人が多いから障りがあるだろう」

 それを聞いた埋州兵があからさまにほっとしたのに笑い、獣から下りた。



 一行は借り受けた大きな旅舎やどに到着しひとまず旅装を解く。埋州兵が荷を運び入れた。


「こちらはささやかながら埋州の産地から取り寄せた品です。報酬とは別に州牧よりお心付けにと」

 見れば大きな甕がいくつかに米囊や酒瓶が置かれていた。隊長はさらに運び込まれた木箱を指す。

「石杉県の上質な炭もございます。深沈は盆地で寒さがこたえますゆえ、どうぞお使いください」

 そう言うと下官に木箱の封を解かせ、蓋を持ち上げた。


 中には言った通り藁に包まれた炭と魚や肉の乾物に瓶詰めされた珍味がいくつか。それに――小さな隙間にまりこんだ子どもを見つけ、ぽかんと呆気に取られた。


「…………な」


 そちらは焦った顔で隊長と目を合わせる。一拍置いて配下たちが叫んだ。

「賊か!」

 敵と見るや引きずり出した子どもは悲鳴をあげて手枷の両手を向けた。


「待って待って!ちゃんと謝りますから先に便所に行かせてください‼」


 槍を突きつけた兵たちが叫びに瞬き、殺気が失せる。しん、と静まった場に噴き出した声が大笑した。

 腹を抱えて笑う鉄仮面が抑えられないというように隣の配下の肩を叩く。

「とんだ……貢物だな」

「誤解です!おそらく盗賊の手先か何かかと。すぐに捕吏ほりに引き渡します」

 我に返った隊長が慌てて子どもの腕を掴む。

「待って、違います!これには事情があったんです!」

 抵抗して喚いたのに周囲は困惑した。

「何なんだ、おまえは」

「まあまあ、埋州の方々。ひとまずはかわやに行かせておやりなさい。どこぞの牢から逃げ出したのか知らないがまだ子どもだぞ。……お前」

 鉄仮面はやっと笑いをおさめて息をついた。くぐもった声で続けて言う。

「そんな手では逃げられまいから、ちゃんと戻って来い。そんでもって、足を温めなければそのままでは凍ってしまうぞ」

 青紫に変じた足先を指すとそれどころではないと焦って頷く。

「分かった、分かりましたから、早く行かせて!」


 両脇を埋州兵に抱えられ連行される彼をさらに笑い、配下へ指図する。

驤之じょうし、ひとまず私たちも休ませてもらおう。皆を割り振ってくれ」

「あの子ども、刺客では?」

 低く問われて肩を竦めた。

「手枷をした刺客なんているものか」





 少年は無事に危機を脱してまた兵に連れられて帰ってきた。待っていたのか、奇妙な鉄面の――周囲にはそれが醜い蟾蜍かえるの意匠に見えた――兵は子どもを土間に座らせて見下ろす。

「さて孩子ぼうず。まずは恥をかいてしまった彼らに謝りなさい」

「……驚かせてすみませんでした。でも、元はと言えば」

 そこまで言って口をつぐむ。州兵の徽章きしょうが目に入ったからだ。もしかすれば、手配されているかもしれない。そうなればまた連れ戻されるのではなかろうか。

 そう思って黙り込み、鉄仮面が首を傾げた。

「どうした?」

「いえ。その、本当に荷を盗もうとしたわけではなくて、たまたま隠れたのがあの箱で」

「なぜ隠れていた」

 州兵に問われて答えに窮す。

「なにか悪さをしたのか。やはり鼠なのか。嘘をついているなら舌を切り落とすぞ」

 凄んだ隊長に鉄仮面が手を挙げた。

「そう脅してやるな。孩子、私は一つだけ訊かせてもらおう。その手はなんだ?」

「…………ち、父上に、」

「父だと?」

 咄嗟に目を逸らした。「父上に折檻を受けていて、納屋に閉じ込められて抜け出したところを、街道でたまたま休憩していた荷馬車にもぐり込みました」

「本当なのか」

 頷いた少年に隊長と州兵は顔を見合わせ、困惑したように鉄仮面を窺う。そちらは腕を組んだ。

「見たところ身姿みなりが良い。貴人の家の者だな。コソ泥のようには見えないが、どうだろうか?」

「……まあ、確かに……そうですが」

「どうやらそういうことらしいな。隊長、私たちは何も問題なく心付けを確かに受け取ったと州牧に伝えてくれ。あなた方も任務が残っているだろう。この件はこれで終いだ。こいつは無事に家に帰れるように取り計らってもらえるか?」

 言われて慌てた。

「いえ、実は深沈には別邸があるので、家人はそちらにもいます。兵隊さんの手をわずらわすことはないです。ひとりで帰れますから!本当にご迷惑をおかけしました」

 深々と行儀よく頭を下げたのに兵たちもようやく納得したようだった。

「孩子、今回は仕方ないが二度と同じことをするなよ。子どもといえど次は捕らえなければならんからな」

 神妙に何度も頷くとやれやれと州兵は引き下がった。

「本当にひとりで帰れるのだな?」

「はい。大丈夫です」


 座り込んだままでいれば、州兵は鉄仮面とその配下たちと再び挨拶を交わし、礼を取って辞していく。埋州兵が完全に姿を消し、やっと深く息をついた。



「苦し紛れに恩義ある親を裏切るか。たいした奴だ」

 後ろから声がしてどきりと振り返った。鉄仮面の兵は厚着して膨らんだ腰に手を当ててまだ何かあるのかこちらを見下ろしている。

「……あなたは、州兵ではなさそう」

 素知らぬ顔で言えば、頷かれた。

「州兵には話せない理由わけでもあったか。さきほど何か言いかけただろう」

「あなたは埋州兵の仲間なの?」

「今はそうなるが、別に州軍に従っているわけではない。我らは傭兵としてこの地に来た」

「傭兵?」

「金で雇われた兵だ。我々は埋州州牧の要請に答え応じ戦う為に参った」

「徐楽さまに?」

 思わず問い返して、しまった、と口を引き結ぶ。

「徐州牧を知っているのか?孩子、お前は何者だ?」

 土間に降り、腕を力強く引き上げ手枷を検分する。

「銀の枷か。傷付かないように内側は綿と革を巻いている。やはりただの罪人ではないな」

「ぼくは罪人なんかじゃない」

「ではなにか、州牧に逆らった貴族の子か?」

 押し黙ったのを肯定と受け取って鉄仮面はそうか、と呟くとさらにそのまま土間から引きずり上げて腕を板間に押しつけた。

「この枷は州牧が?」

「……そうだ」

 なるほどな、と腰に提げたものを抜く。鋭利に輝く直剣を見て少年は身を強ばらせた。

「動くなよ」

 言うやいなや両手首の間に切っ先を振り下ろされた。悲鳴をあげてぎゅっと閉じた目をおそるおそる開くと、枷は真っ二つに分断されていた。

「ひとまずこれで不自由ないだろう。鍵開けに長けた者がいるから後で頼んでやる」

「……ありが、とう」

「うん。それよりも足だ。さぞ冷たいだろう。おいで」


 鉄仮面は大きな火鉢に導くと彼をこしかけに座らせた。足に荷物から引っ張り出した手巾てぬぐいを巻く。そうしながら、邪魔そうに面を剥ぎ取った。


 現れた下の顔に驚いて口を開く。面積の小さな白い肌に大粒の黒曜石かと見紛みまがう瞳、粉紅色ももいろの張りのある唇が、どうした、と動いた。傾げた首にあわせて括ったつややかな黒髪が揺れる。


「……お、女のひと?」

「なんだ、気づいてなかったのか」

 花のように笑って長い睫毛を伏せ、足を持ち上げてた。端麗な面立ちに皮甲姿はなんともちぐはぐだったが、なぜかさまになっていた。

 異性だと分かった途端に触られるのがなんとなく恥ずかしくなり足を引く。おい、と女は気の強そうな眉をしかめた。

「凍ってたら切り落とさなきゃいけないぞ」

「大丈夫だよ、指は全部動く」

 言ったのにふむ、と息を漏らし彼女は少年が隠れていた木箱から炭を取り出した。しばらく見つめて呟く。

「……二泉では、庶民には炭も手に入らないんだな」

「そうなのかな。うちではいつも炭を使うよ」

「お前の家は恵まれている」

「父上は身分が高いもの。炭が手に入って当たり前だよ」

 言えば少し驚いた顔をしたが、やがて機嫌を損ねたのかむすりとする。

「どうしたの?」

「……いや。この国では当たり前のことか」

 炭を藁の中に戻した。その言い方を不思議に思う。

「あなたはどこから来たの?」

「ああ。私は」

 答えようとしたが隔扇とびらに目を遣った。先刻隣に立っていた男が現れる。

「ちょっと来てくれ」

 女は頷き立ち上がり、暖まっていろ、と言われたが聞かず腰を上げた。

「ついて行っていい?」

「こら。大人しくしていろ」

「ねえ、あなたはどうしてぼくを構うの?」

 叱られたのを無視して尋ねれば肩を竦めた。

「年端もいかない少年が枷をつけられて荷の中から出てくれば驚くし逃げようとしているところを見るに只事じゃない、とな。それに、深沈に別邸があるというのも嘘なんだろう」

「実はそう」

「評判では民にむごい真似をするような州牧ではないようだったがな」

「徐楽さまが、というより史進とかいう破落戸ごろつきみたいな男が乱暴だった」

 ああ、あいつか、と女は旅舎の外に出ながら宙を見た。

「知ってるの?」

「埋州州司馬。破落戸というのには同感だな。実際に官位を笠に着た荒くれだ」

 後ろについて行きながら襲われた時のことを思い出して俯いた。

「徐楽さまは二泉の為に謀叛を起こすとおっしゃっていた。実際、鹿射のほうではもう州城の中にまで叛乱民が――」


 言い募ったところで背にぶつかる。鼻を押さえ前方を見て、驚きに目をみはった。


 邪悪だ、と真っ先に感じて震えた。血のように赤い口腔は餌のせいかもしれなかったが、生々しい色の長い舌でよだれと混じった露を飛ばす。鋭利な牙、骨をも咬み砕く大きな顎に肝の冷える銀の鉤爪かぎづめが腐肉に食い込む。


 押さえた鼻をそのまま摘み眉をしかめた。彼らの食べているものはひどいにおいがした。

「さ、狻猊さんげい……⁉なんでこんなところにいるんだ⁉」

 それを聞いて女と女の配下が振り返った。

ヒョウを知っているのか」

「猋?そんな名まえじゃないよ。これは狻猊という妖だ!父上の書房しょさいの古い本に書いてあった」

 女は餌をむさぼるその巨大な犬狼の頭をごく自然に撫でた。

「さっ、触って平気なの⁉」

「私たちはこれに乗って二泉まで来たんだ」

「うそ!狻猊は獰猛で人を食べるんだよ。手懐けられるような獣じゃないって……」

 びっくりしてまじまじと彼女らを見た。


「あなたは、どこの人なの?」


 問えば向きなおる。


「――私たちは牙族がぞくだ。我々は狻猊を猋という名で呼んでいる」


 名乗りに、後ろ向きに蹈鞴たたらを踏んだ。

夷狄いてきの牙族……‼」

「その呼ばれ方は好きじゃない」

 女は憮然として狻猊の群れを見渡した。


 国というのは泉をいただく。しかし、世界には泉を持たない民族が霧の彼方に棲まう。彼らはここ泉の国――泉国せんごくとは暮らしも考え方も違う野蛮な人々なのだと教わっていた。とはいえ、初めてお目にかかった。


「じゃあ、あなたたちは外から来たんだ?外で暮らしていてなぜ平気なの?」

「毒霧の中――霧界むかいにも、裂け目のような、霧の晴れている土地があるんだ。我々はそこに住んでいる」

 女はなおも狻猊の硬そうな灰茶の毛並みを撫でた。

「時たま、こうして雇われて傭兵として泉国へ来る」

「……ふつうの人に見える……」

 牙族は名の通り牙があってとても気性の荒い人々だと聞いていた。当人はその呟きに笑った。

「人でないものになった覚えはないが。どうだ、怖くなったか?」

「あなたが傭兵の首領おやぶん?」

 いいや、と隣に佇む男を見た。

「こっちの驤之が万騎長はんきちょう……言うなれば将軍だ。私は彼らのまとめ役のようなものかな。取引相手とは私が折衝する」

 悠然と猛獣に接する姿が格好良く、しらず頬を染めた。

「あの…………」

「うん?」

「名まえを訊いてもいい?」

「私の?」

 頷いた少年に驤之と見交わし、意味深な目を向ける。

「兵の皆からは瓊勾けいこうと呼ばれている」

「ぼくは崙」

「ロン?いやに短いな」

成丁せいじんしないとあざなはないんだ」

 そうか、と瓊勾は近づく。

「崙というのはどういう意味だ?」

崑崙こんろんという伝説の山のことだよ。仙人せんじんが住んでいるという場所だ。その山のように徳高い人物になれという意味。父上の真名いみなが前の文字だからそれで」

 瓊勾は微笑んだ。「良い名だな。崙はいくつだ」

「十三。でも老師せんせいからはもう太学たいがくに通わせてもいいくらいだと褒められる。ぼくはたいてい一度見たり読んだりしたことを忘れないから。瓊勾は何歳なの?」

「私は十九だ」

 そっか、と指をいじった。そんな年頃の女と話したことはなかった。

 それで、と瓊勾は改めて崙を見る。

「お前はこれからどうするつもりなんだ?家に帰りたくはないのか?」

「……帰っても、誰もいないと思う。みんな埋州の乱のせいで逃げ出したから」


 そういえば、父や下僕たちはどうなっただろうかと今更ながら思った。父は息子が人質になったと聞いて徐楽のもとへ戻ったろうか。いいや、それは考えにくい。だとしたら、あのまま粛州を通って今頃泉畿だろうか。そうなら、自分は見捨てられたということになる。かと言ってもとの家に戻れば史進が待ち構えているかもしれない。


「どうしようかなあ。行くところがないや」

 瓊勾は眉を上げた。

「頼るところがないのか」

「そうなっちゃったみたい。ぼくがここにいること、州軍には言わないでくれる?また捕まりたくないんだ」

「それは構わないが、私たちはあと数日すれば埋州へ行く。お前はどうするんだ」

 崙は首を捻った。どうすべきか分からなかったのだ。

「戦いになる。桂州も危ないだろう。安全なのは四泉しせんに逃げるのが早い」

 考えてもいなかった案に目を瞬かせた。いちばん近い二泉と四泉の国境は埋州の最北部、然濤ぜんとうという街だ。

 しかし、そもそもここら一帯から逃げるという選択肢が頭になかった崙は唸った。

「でも、路銀は持ってないから四泉へ逃げても旅舎に泊まることも出来ない。いちばんは家の者たちと連絡が取れればいいんだけど、どこに行ったかも分からないし」

 言いながらそうだ、と手を合わせた。

「万騎でぼくを雇ってよ」

「何を言ってるんだ?」

 瓊勾と驤之が呆気に取られる。崙は続けた。

「あなたたちと一緒に移動する。タダ飯は食べれないからその分働く。瓊勾たちと鹿射へ戻れば州兵の目を誤魔化せて安全だし、もしかしたら家の者も帰って来てるかもしれない。ねえ、鹿射に行くまでぼくを置いてくれる?」

 瓊勾は顎に手を当てた。

「まあ、言うことはもっともらしいが」

「瓊勾、戯言ざれごとにわざわざ付き合うな。子どもなぞ足手まといだぞ。しかも泉人せんじんの。何かあって我々がうるさく言われればどうする」

 驤之が苦言を呈して睨んだ。

「しかし、行くあてのない子を捨てて行くのも可哀想だろう」

「我々は子守りをしに来たのではない。賃金分の仕事をしに来たのだ。これの親が出てきて勾引かどわかしたなどと難癖をつけられたらどうするつもりだ」

「父上はそんなこと言わない。ぼくのことより新しく生まれた弟のほうが大事だから。それにきっともう埋州から逃げてる」

 瓊勾は崙に問うような視線を投げたが、ひとつ溜息をこぼした。

「お前は何が得意なんだ?」

「覚えること」

「金勘定は?」

籌算そろばんは成績がいいんだ」

 瓊勾は期待を込めて驤之を見た。「私は細かいことが苦手だし、輜重しちょうの管理をたすけてもらう手があったらと前から言っていたよな?」

 対する男は渋面のまま。

「だからといってこんなのに?信用できるか」

「頭の良い子だよ。私たちを出し抜けば殺されるとも分かっている」

 だろう、と瓊勾は笑ってこちらを見たが冴え渡った闇夜の眼差しは温度が無かった。気圧けおされて崙がただ首を上下させると一瞬ののちに目許は和らぐ。

「決まりだ。私たちはが届くまで深沈に滞在する。その間に戦いに備えていろいろしなきゃらない。手伝ってくれるか」

「狻猊はどうするの?」

「猋は戦には出せない。血に酔うから。近々に帰らせるんだ」

「……ひとつ、お願いがあるのだけど」

 おずおずと言ったのになんだ、と鷹揚に返す。

「狻猊に、触ってみたい……」

 要望にはしばらく悩み、膝を叩いた。

「猋は本来なら私たちの当主以外の言うことは聞かないが、どの程度が許容されるのかも分からない。あれらは簡単な人の言葉なら理解出来るからな。触らせてくれるかは分からないが、やってみよう。成功したらそのかわり、あとで市廛みせを回るときにめいっぱい値切ってくれるか?二泉の交渉の仕方は慣れない」

「分かった!まかせて!」

 崙はわくわくと顔を輝かせた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る