馬鹿笑いするほど楽しくもないし、憔悴するほどつまらなくもない

魚麗りゅう

　別れたあの時を、忘れられないわけじゃない。それは、ない。別れたあの時の風景が、それが何気なく残っているだけ。それから時間が経って、今私はここにいる。時間は普通に流れている。人を好きになるにはエネルギーが必要で、まだそのエネルギーが満たされていない。もうそのままでも構わないという自分もいるし、本能のリズムに逆らっているという、何気ない罪悪感もある。私は女だから、ある年齢を超えてしまったら、子供を持つという選択肢が消えてしまうことに、それなりの焦燥感もある。自分に流れる時間を一時的に私は止めたいのかも知れない。自分の為ではなく、無性に誰かを愛することで、今の自分から離れたいのかも知れない。生まれてくる子供には、人生がある。今の私の孤独を、その子供に背負わせたくはないという恐怖心もある。自分の生きる理由を、子供を持つことで、私はうやむやにしたいのかも知れない。自分のどうしようもない気持ちを、数学のように明確に割り切れればいいのに。明確にしなければいけない部分をそのままにして、私は日々の時間を知ったかぶりに何気なく忙しそうに頑張っている。そんな自分が最近、嘘つきに見える。それはそれでうまく流れているわけだから、こっそりちゃっかりの、このままの状態を維持しようと思ってはいる。狡猾？そんなものじゃないの？世の中なんて。自分を曖昧にしたまま、自分の輪郭をうまく周辺に滲ませたまま、このまま過ぎていけばいいという、あきらめみたいな感覚がいつのまにか、ある。今の環境を捨ててしまえるなら、まったく未練なんかない。今着けている仮面をサッサと脱ぐことが出来るなら、どんなにすっきりするだろう。それで新しい自分が出て来るとも思えないけれど。いま着けている仮面を通して繋がっている周辺の人達を、私はごっそり切りたいのかも知れない。仮面を脱ぐと同時に、その繋がり達もすっぱり脱いでしまうことが出来たなら。もしかしたら、私の気持ちは救われるかも知れない？その時私には、新しい環境が降りてくるだろうか？肉づきのよくなった自分の体を、最近精神的に愛せなくなった。鏡で見ている自分の姿を、認識する前にうまく感覚を遮断している自分がいる。もう若くはない。それは認識している。だからあの時の風景に、だから私はしがみついているのだろうか？年を取ることに、気づいていないわけじゃない。気づかなかったわけでもない。目の前のことに、きちんと責任を持って向き合ってきたよ？それなのにあの人は、私と別れたいと言った。仕事が楽しかった私は、別れるということに、それほどの痛みを感じなかった。数年経った今になって、あの時感じなければいけなかった痛みを感じている。私は何を見ていたのだろう。彼と付き合っていたのに、彼のことは何も知らない。そんなことに、今になって気づいている私。彼はそんな私を、どう思っていたのだろう。私は仕事が楽しかった。彼よりも、恋愛よりも、仕事が楽しかった。彼はそんな私に見切りをつけたのだろう。社内恋愛だった。いまその彼は、転職してしまっていない。転職理由が私のせいだったらどうしようと、責任を感じたけれど、それは杞憂だった。街で彼に会った人がいて、綺麗な奥様と幸せそうだったと、日常の何気ない会話として、私は知った。私と彼が付き合っていたことは、彼女は知らない。だから何気なく私に話したのだろう。彼の見ている世界を、私は付き合っていたのに気付かなかった。いつでも私を理解してくれる人。そんな甘えがあったのかも知れない。それに彼は、本当に私を好きだったのかも疑問だ。私との交際を、周囲に知られたくなさそうだった。仕事をする上で、それは障壁になるからだと、勝手に理解はしていたけれど。もしかしたら、こんな私と付き合っていることに、恥ずかしかったからかも知れない。私は彼と付き合っていることを、周囲に知って欲しかった。彼と付き合っていることを、自慢したかったんだと思う。彼はそんな私の下心を見抜いたんだと思う。だから私は嫌われたんだと思う。でもデート代はすべて私が払ったんだよ？私の方が年上だったから。

　今、私に何が残っているだろう。会社内では、それなりのポジションを手に入れた。でも肌は鏡を見ることが嫌なくらい、荒れている。朝、化粧をするのが嫌になる。中指のやわらかい場所で頬を撫でるとでこぼこする。気持ち悪いと思う。私にとって彼は本気だったけれど、彼にとってはそれほどでもなかったのかも知れない。私は彼が好きだった。それは彼が私のコンプレックスを満たしてくれる存在だったからかも知れない。私は綺麗じゃない。認めたくはないけれど、ブスというジャンルに仕分けされている？それ以上考えたくはないから、想像もしたくないから、自分のことをこれ以上掘り下げることはしてこなかった。それでも生きてこられたしね。そんな自分の後輩として、彼が入社してきたわけで。面倒を見ているうちに、彼が好きになって、ちょっとだけ勇気を出して告白して、で、付き合ったと思う。彼は私には無い美貌を持っていた。そこに私のコンプレックスが反応したんだと思う。彼と付き合っているというだけで、不思議と私は癒された。だから自信を持って、仕事に打ち込めたんだと思う。彼と付き合うことで、無視していた自分の内側のある部分が、高められたとは思う。だからそれでいいではないか？今になっても、自分にそんな言葉で言い聞かせている。会社で手に入れたものと、失ったもの。その価値が、私の内側でバランス悪く混在している。好きなように生きている。私は何かと闘っていた？彼と付き合い、でも別れたけれど、会社でそれなりのポジションを手に入れた。それでもういいではないか？「疲れた」と、何気なく思う。今のポジションを失っても、きっと私は後悔はしない。でも今のポジションを失ってしまったら、私の居場所がない。私はどこにいけばいいのだろう。別れた彼は、幸せな家庭を持っている。私は自分のことしか見えていなかった。自分の内側しか見えていなかったのだ。会社でそれなりのポジションを得るために、がんばったわけじゃない。今となってはなんのためにがんばったのか、自分で自分が不思議だ。結果として、無思想は無謀になるということを知った。無謀に頑張った結果が今のポジションだろう。自分をどうしたらいいのか分からない。このまま仕事を頑張ればいいのか？自分のことなのに、うまく内面が纏まらない。母子家庭で育ったせいかも知れない？男の人との距離感が、よく分からない。もう私の内側には何も残ってなんかいない。頑張ることがあたり前だったし、精神的にも肉体的にも辛いことが、結局私を救っていたのかも知れない。生きるという事を、勘違いしていたのかも知れない？もっと楽に生きられたはず？今の私の目の前には、膨大な仕事が積まれている。それを一つずつクリアしていくことで、私は幸せになれるだろうか？意味のない問いを繰り返すことしか、今の私には出来ない。だから過去へと思考が遡っていくのだろう。癒されていた時間へと、無意識に求めていくのだろう。そのまま過去へ、吸い込まれてしまえばどんなに楽だろう。過去の時間は今の私を、ほんの少しだけど救ってくれる。救ってはくれるけど、現実は何も変わらない。このまま流れていくことに、危険を何気なく感じている私。どうすればいいの？自分に問いかけても、明確な答えは出てこない。何度も何度も過去へ戻る。過去と現在へ行ったり来たり。その繰り返しで何となく今まで生きてこられたような気がする。今でも不安で不安でたまらない。私はブスだけど、生身の人間だ。生身のブス。会社に行けば、ひとつの機能として扱われる。個としての私に、どうせ魅力なんかないだろう。その証拠に彼と別れてから、一度も男の人に誘われたことがない。というか、生まれてから一度も誘われたことがない。いつも私から。自分に魅力がないということに、何気なく気づいてはいたよ？もうそろそろ、現実の自分を受け入れようかな。でないと、本当に腐っていくような気がする。仕事をすることで、本当の自分から逃げられた。機能としての自分はある程度完成させた。私はそろそろ次のステップに移行しなければいけない時期なのかも知れない。今までの価値観では、すでに今の私を制御できていないのかも？自分を見る視点が変化した？満たされていない自分がいることに気づいた？何だか急に「怖い」。見えなかった景色が、見え始めている。その景色を見るための免疫が、今の私には出来ていない。それが恐怖を感じさせるのだろう。仕事にこのまま逃げてしまうか、自分にとって不利な景色と向き合うか？大切な岐路に立っているような気がする。何の為の仕事なのか？私は考え直さなければいけないのかも知れない。義務としての延長で、惰性で、今の私はここにある。このまま流れていくことに不安。目の前に山積していた問題も、いつのまにかそれでも過ぎていた。何とかなった。これからも、こんな感じで流れていければいいなとは思う。そう思っていたのに、悪気のない彼の情報が、私に入った。内側の微妙な部分が複雑に振動している。自分のことを苦しんでいるとは、判断したくなかった。嫉妬？嫉妬ではない。何を私は焦燥しているのだろう。相手の人はとても綺麗な人だったという情報。実際に見てみないと分からないけどね。男の人って、やっぱり綺麗な人がいいの？どうなんだろう？変な憶測が不必要に脳を疲労させる。そんな自分が嫌だった。会社では、それなりのポジションを手に入れた。そんな私が彼なんかに……という、おかしなプライドがある。それは私がブスだから？ブスだからポジションにしがみ付いている？ポジションがあるから、みんな私に話しかけてくる！そんなことは理解している。だから私にとってポジションは重要。自分の事を言葉として認識していく作業は、孤独。自分の輪郭はもっと美しいものだと、錯覚していたかった。不安を感じたまま流れていくことは、何気ないストレスになる。だから私は言葉として、自分を理解していく訳だけれど、あるがままの自分を認めるには、勇気と孤独な時間が必要で。ただ逃げてしまっても、日常生活にはなんら問題はないのに。稼いだお金で孤独を誤魔化せるし。その結果が肉づきのいい、この体だろう。働き、社会に貢献する。お金が入り、楽しんだ。生まれてから歯石のようにこびりついてきたコンプレックスも、自分なりの努力で乗り越えてきたじゃないか？それで、もういいような気がしている。「もう十分だ」と私自身が言っている。これ以上、頑張りたくない。失踪してしまいたい。自分でも、不思議な感覚だけどね。働くことは、当たり前だった。その働くということに、疑問を持ち始めている私。皮膚からブツブツを消したい。日々のストレスの結果だろう。ブツブツの皮膚の上に化粧する気持ち悪さ。それを毎日感じている。意識してみると、それはそれですごいことなんだと思う。冷静に考えるとね。そんな小汚い肌の状態でも、仕事はきちんとやっているわけだから。肌の美しさを問われない仕事だから、成り立つわけで。女として、ますます腐っていくような気がする。錯覚？会社をうまく回すために、いち機能としてヘトヘトになっている私。誰も褒めてなんかくれない。何かが満たされていない私は、感謝の自覚が足りないのだろうか？思考がうまく纏まらない。時間だけが過ぎていく。後悔はしたくない。だけど、何をしたらいいのか分からない。きっと私は与えられた問題を手際よく解決していくのが得意なのだろう。創造的なものが内側から出てこない。人に使われることで、輝ける存在だったのだろう。自分には特別な才能があると思っていたけれど、違った。機能として輝ける。きっと私は狭い世界で生きているのだろう。外の世界とある程度隔離された環境で、その狭い価値観の中で、競い合っているだけなのだろう。世の中があって、会社がある。会社は世の中に合わせなければ淘汰される。思想を元に会社は動き、そこで働く人は、その思想に合わせなければいけない。私は何も考えずに働いてきた。それが正しいことだと、何となく信じて。それはそれで楽しかったと、自分を納得させたい。ただ言えることは、自分を無視して、忠実に会社に従ったということだ。それが社会人として当たり前だと思っていたし、視点を固定することで、自分を何とか保てていたのかも知れない。孤独も肉体的な辛さも、視点を固定することで真実となり、自分で自分を正しいと思えた。そんな私から、彼は去っていった。付き合っていた？今となっては疑問だ。私が勝手にそう思っていただけなのかも知れない。私の内側にある記憶は、本当の記憶なのか、疑問。想像して都合よく肉付けしたかも知れない。私はブスなのに、自分を美しく見せたがる悪い癖がある。相手が望んでいる自分を敏感に察知して、その自分になろうとする、変な癖？のようなものがある。だから最近自分がよく分からなくなる時がある。私は彼が望む自分になろうとした。彼はそんな私を嫌ったのかも知れない。本当の自分がよく分からない。だから孤独が不安なのかも知れない。どんな自分でいていいのか、不安になるのだ。自分らしくが素敵だということは、何となく分かる。でもその自分らしくが分からない。相手にうまく合わせることで、今までの私は狡く立ち回ってきた。でもそんな自分に疲れてしまっている。私の居場所はどこにあるのだろう。生活を継続させるために、働かなければならない。でも、現実から少し離れて、自分を深く見つめたいような気がしている。このままの状態で流れていけば、私の精神はいずれ壊れてしまうと思う。確信に近い予感がある。このまま自分に嘘をつき続けても、現実の世界は何とか騙せるだろう。本当の自分と嘘の自分のバランスが、今はなんとかコントロール出来ている。そのバランスを意識でコントロール出来なくなった時、その時私はどうなってしまうのだろう？私の精神は、どこに向かって終着するのだろう？精神の流れが過去から現在へと整理され、体系化されていない。自分にとって不都合な記憶とは、向き合うことをしなかった。都合のいい記憶を、都合のいいように虚飾している。そんな自分に今になって気づいた。どうしよう？私の環境はスピードを増している。そのスピードに、自分をうまくごまかして、立ち回ってきた。このままでは、危険。どうしよう？みんなもっともらしい顔して、仕事をやっている。腹の底では何を考えているのか分かったもんじゃない。私だってそう。言葉には十分に気を付けている。話す内容なんて、天気のことぐらいだもの。会社の人の事なんて、深くは知らない。知ろうとも思わない。それが適正な距離感だと思うし、心地いい。みんなのおかげとか仕事に対するプライドとか。若い頃に響いた言葉が嘘に聞こえる。自分の為に働く。その結果が会社の発展になればいい。会社の発展が世の中の為にならないのであれば、その会社は潰れてしまえばいい。今は冷静にそう思える。守るものを簡単に作ることは、危険かも知れない。子供を作れる時間という言葉に、私の本能が敏感に反応する。それは否定しない。明確な思想があって、本能を強硬に拒絶しているわけじゃない。でも本能は別に、危険をも感じている。この相反したもやもやに、私の意識がストレスを感じている。自由に生きられる時代。選択できる時代。だから私は自分が余計に分からなくなる。失敗してもいいではないか？では済まされない。生まれた子供はその時代を生きなければならない。生まれたからには幸せになって欲しい。私はブスだから、きっと容姿に期待は出来ないだろう。私はブスで、幸せだっただろうか？自分をはっきりと、ブスと認め始めている……。向き合おうとしなかった記憶と向き合い始め、ブスという言葉と自分が頭の中で同期し始めている。耐えられるだろうか？今まで勘違いしていた自分が恥ずかしい。私はブスだった。それは生まれた時からの真実だった。現実はいつも忙しくて、ブスという現実を受けいれる隙間を、内側に用意してこなかった。それが今なのかも知れない。今だったら、それなりに受け入れられるとは、思う。社会に出て、脂肪のようなふてぶてしさを、いつのまにか身に付けている。過去を一つずつ取り出す作業。現実を生きながら、進めていかなければならない。ブスでも勘違いしていられたわけだから、幸せだったのかも知れない。過去の私を、楽しかったと思いたい。自分が見えていた世界が、私にとっての真実だったのだから。見えなかった世界が見える恐怖。知らないからこそ横柄になれる。そんな過去の自分に、今になって恥ずかしい。勘違いしたブスの結果が「今」だろう。過去を正しく受け入れることで、「今」の私はどんな風に変化するだろう。その変化により、未来の私は幸せになれるだろうか？視点が変化し始めている。日々の風景に対して鬱屈した感情を持っていたけれど、「今」はそのフィルターがもう少しで取れそうな予感がしている。これは新しい自分が生まれてこようとしているのかも？とてもいい、内面の動きだと思う。自分のことは嫌いでもあるけど、好きでもある。人の視線を無視して生きることは出来ない。でもそれに負けてしまっては、本当に自分のことが嫌いになってしまう。今まで生きてこられた。きっとそれだけで奇跡だ。勘違いだろうが何だろうが、生きてきたのだ。そして勘違いしていたことに気づいた。そんな私は素晴らしいではないか？このまま生きてしまおうとしない私は、美しいではないか？容姿は別として。過去と現在を行ったり来たり。その繰り返しによって、何となく未来から光が差し込んできたような気がする。日常を繋げていく怠惰なリズムは、無駄ではなかったと思える。過去の、嫌いな自分が頭を流れる。そんな時も自分に与えられた仕事はこなしていた。それはそれですごいことだったなと、自分を褒めたくなる。そんな私を彼には理解して欲しかったなと、今思う。彼に、恋人ではなく、父性を求めていたのかも知れない。私はいつのまにか男の人に、父性を求めてしまう傾向がある。若い人と話すより、おじさんと話す方が楽。母子家庭で育ったという環境なのだろうか？欠落している場所が、おじさんと会話をすることで癒されている。でも私はブスだから、恋愛対象にいい容姿を選んでしまい、結局うまくいかない。当然と言えば当然なんだろう。過ぎて見れば、冷静に俯瞰で見たら、当然だった。私は男を選べるほどの女ではない。当たり前な真実に、今になって気づいた。そんなこと、友達だって言ってくれない。言ったら言ったで、私も友達に隠している本当の気持ちを言ってしまったかも知れない。結果、友達関係はあっさり壊れてしまっただろう。いつ壊れてもいいけどね。こんな気持ちも隠しつつ、私は友達ヅラをしている。こんな私でも、こんな感じで毎日神経を使っている。だったらなぜ太るのだ？それはストレスで食べるから。答えを明確に導いている。だったら止めればいい？無理！きっと私は情報にコントロールされているのかも知れない。情報をうまく断ちたいけれど、不安になる。不必要な情報を意識的に遮断しなければいけない。そんな危機感がある。私の感性の輪郭が、過剰な情報によって、もしかしたらすでに、ぐちゃぐちゃかも知れない。だからこんなに頭が重いのだろう。だからいつも目が疲れているのだろう。自分にとって、これ以上の情報は過剰。情報の取り過ぎで、吐き気がする。今まで私は上手く立ち回ってきた。でも今は、どこに立てばいいのか分からなくて不安。本当の自分から逃げて、でもうまく立ち回ることで、何とか生きてきた。不必要な情報を、自分から抜かなければならない。アルコールを抜くように。本当の私。そんな言葉に、今までの私はこれっぽっちも動揺なんてしなかったけれど。自分を振り返ることで、その言葉の重みに、気づいたのかも知れない。今の私は、このままでいいはずがない。それに気づき始めたから、不安なのかも知れない。自分の居場所が分からない。会社で得たポジションなんて、興味がない。どうすればいいのだろう。誰にも相談なんて出来ない。今の自分の状況を、どうやって説明すればいいのだろう？自分しか分からない不安。自分で答えを見つけなければならない。相手の望んでいる自分になろうとし過ぎた自分が悪い。それは今になって、大きなツケになっていることに気づいた。私は自分の基本に回帰しなければいけない。私の見える現実は、もうここが到達点だろう。その現実に、不思議なくらい未練はまったくない。だからもう、淡々と過ぎていけばいい。働くことで、自分の社会的可能性を知ることが出来た。さらに上に行ける人は、私よりさらに社会的可能性がある人なんだろう。自分を知ることはある意味残酷。私はブスだと感じてはいたけれど、最近ブスだと理解した。複雑な心境だけれど。でもある意味、すっきりしている。魔法が解けたような感じ？だから肉づきのいい体も、ぶつぶつしたほっぺも、許せるような気がする。薄く張り付いていた価値観が、ぽろぽろ落ちていくような感覚。私は私。今日の精神状態はなかななうまくいっている。記憶がうまく整理されてきたからかも知れない。自分が分からない。でも歩くことを止めるわけにはいかない。何をやっていても、これは自分ではないという感覚が、小さい頃からあった。母子家庭であることも、これは自分ではないという感覚があった。目の前にいる母親も、本当の母親ではないという感覚？があった。今になって、どうしてこんな記憶が溢れてくるのか、分からない。向き合ったところで、意味があるのだろうか？私は今、一人暮らしをしている。母とはもう何年も会っていない。寂しいという感情もなく、今まで時間が過ぎた。時間が止まったまま、時間が過ぎたのだ。私は私の世界を生きている。母は母の世界を生きているだろう。親子としての繋がりを、今までそれほど感じたことがない。それが当たり前だったし、今でもそれが傷になっているわけではない、とは思う。私にとっては普通だった。別の視点から見たら、異常だろうか？別に母との関係を、今さら掘り返すつもりもない。私は私で生きている。母をフィルターとして見ていた世の中は、暗いものだった。実際に世の中に自分が出てみると、それほど暗いものではなかった。要は自分次第ということを知った。経験と知識が融合して、自分なりの考え方も完成されつつある。私は私の輪郭で生きていかなければならない。過ぎたことなのに、過ぎたこととして、自分を過ぎていかない。内側に、しつこく留まろうとする。私という入れ物に、日々過去が蓄積される。今という時間を生きているのに、過去の時間を生きている、という感覚もある。そうやって私は未来へ運ばれているのだろう。生かされている、という感覚が最近ある。私は私の役割を生きている。自分にあきらめているわけでもない。人にはそれぞれ役割があるんだなと、感じ取れるようになったのかも知れない。もっと精神的に、楽に生きられればいいのに、とは思う。変な仲間意識はストレスになる。会社の人とは友達でもなく、仲間でもない。だからといって、私は孤独ではない。学生を卒業して社会人になった。私は家を出て、一人暮らしをしている。働くことで、この生活を維持している。世の中があって、会社がある。働くことはそれでも楽しかった。その働くことに、今私は疑問を感じている。勢いだけで、もう生きられない。私はもっと、自分をシンプルにしたいのかもね。自分の可能性はこれ以上広がらない。私が本当の自分で生きたがっている。嘘の自分と一つずつ向き合って、叩き潰して昇華させていかなければならない。これ以上、本当の自分からは逃げられない。このままで、生きていかなければならない。分裂していた自分を一つにしなければ。記憶の断捨離。私は自分に対して思想を持たなければいけない。無思想に、勢いだけで自分を動かしてはダメ。もう駄目。絶対だめ。情報に振り回されて、無理をしていた自分を繰り返したくない。自分が自分でいることに、なぜこれほどのエネルギーが必要なのだろう。仕事自体は嫌いじゃない。人と関わり合うことで、私の内面が細かく振動する。その振動が、深淵に眠っていた記憶を掘り起こす。その記憶が感情を激しく振動させる。その振動に勝ちたくて、今まで私は頑張れたのかも知れない。もう同じようには頑張れない。激しい感情の揺れは、もうない。気づいたら溢れてこない。急に私はぽつんという感覚を知った。今まで忙しかった。環境は忙しいけれど、内側がぽつんとなった。「何で私はここにいるのだろう？」そんな感覚。当たり前に無思想に働いてきた。一機能としてね。そのことにプライドを持ってきた。でももういいや。もういい。会社員は使用人。これが私の辿り着いた境地。何だか疲れた。一機能として働くことで、私の中の何かが納得した。そして、「もういい」と言っている。会社に洗脳されていた？私には私の働き方がある。生活を維持するための仕事。で、あるなら、今の会社である必要はない。だからと言って、簡単に辞めるわけにはいかないけれど。でもその準備は、いつでも辞められる精神的な準備は、しておこうとは思う。無意識に朝起きて、無意識に惰性で会社に行くようなことは、今後しないようにしよう。気づいたら時間だけが過ぎていた、なんて嫌だから。所詮私は使用人。人生を捧げたところで、大した見返りはない。会社の中にいると、感覚が麻痺してくるみたい。そりゃそうだよね？その会社の価値観の中で、仕事をしているわけだから。会社が、私にとっての世の中なんだから。仲間意識も自然に生まれてくるしね。でもそれが最近危険だって気づいた。だからいつでも裏切れる準備はしておこうと思う。会社に対して、私は素直過ぎたのかも知れない。自分を犠牲にし過ぎたのかも。自分のために働く。私は創業家一族でもないしね。重要なポジションに就いている人を見れば、何らかのしがらみを感じ取れる。これが世の中というものなのだろう。だから私はもうこれ以上頑張らない。裏と表で世の中は動いている。会社だってそう。努力だけではどうにもならないことがある。笑顔の下には影がある。私だってある。これが生き延びようとする本能なのだろう。会社員は所詮使用人。私は使用人としてのスキルを磨いてきただけ。ただそれだけだった。当たり前に働いてきた。それはそれで意味があった。これからは働くということを、意識的にコントロールしたいと思う。出来ないものは出来ないし、いざとなったら逃げてしまおう。所詮使用人だから、失うものなんて高が知れている。独身だし、ローンもないしね。子供が欲しいという本能が自分の中にあることは、気づいている。ただ、自分の性格を考えるとね。今は何も守るべきものがない。目の前の生活ぐらい？だから私にとっての世の中である会社と、自分にあった距離感で付き合うことが出来ている。ただ、守るべきものが出来たらどうだろう？私の責任を背負えるだけの根性が、この会社にあるだろうか？男に夢をみるほどの美貌を持ってはいないし、そんな純粋でもすでにない。生きていかなければならない。私が背負っている連鎖を、子供に背負わせたくはない。私は美貌を持ってはいない。大した才能もない。普通の人。普通の人が生きづらい時代に移行している。危機感は持っている。持っているから、私は子供を持とうとは思わないのかも知れない。古き良き時代では、すでにない。会社の外側の世の中のことなんて、よく分からない。私にとっては会社が世の中なんだから。これ以上、どんな危機感を持てばいいの？スキルを磨く？私は職人ではない。ただの会社員。ただの会社員が、どんなスキルを磨けというのだ？ただの人だから、会社員になったのだろう。情報によって不自然に内面を鼓舞されるけど、冷静になってみると、一般人の私に何が出来るだろう？株主であれば、その会社から逃げられる。そこで働く私には、何も関係がない。いつもと同じリズムで、働くしかない。会社の中は不可思議な時間が流れていて、本当のことが言いづらい。自分が仲間であることを、何気なくアピールし続けなければならない。会社がなくなってしまえば、今の私は困るだろう。でも、無くなってしまえばいいのにという感情もある。危うい精神状態で、私は働いているのかも知れない。世の中から俯瞰でみれば、私が勤める会社が消滅しても、日常会話の一つのネタとなる、そんなものだろう。自分の輪郭を超えた使命感は、自分を滅ぼしてしまう。だからと言って、会社の上にいる人達を、そっくりそのまま信用することには危険を感じる。私は神経をこっそり研ぎ澄ませていなければいけない。危険を感じたら、いつでも逃げだせるようにね。人の視線はいつ変化するか分からない。いつ裏切られてもいいように、精神的な準備だけはしておかないとね。私の内面には、まだ余白があった。変化できる自分がまだある、ということなのか？ますます自分が分からない。こんな感じで昔の人も、世の中を流れていったのだろうか？私は私らしく、生きているだろうか？人それぞれ生き方は違う。会社の中にいると、自分の生き方こそが正しいと、錯覚してしまうような気がする。自分を肯定することで、自分を動かす動力にしてきた。過去の自分をそれでも私は肯定する。でも反省はする。私は過去から抜け出すために、変化しなければいけない。それには過去と向き合わなければいけない。それには膨大な時間を必要とする。今の生活を維持しながら、秘密裏に進めなければいけない。私はうまく、自分をコントロールしなければいけない。自分を高める作業。もっと精神的に、高い場所へ行きたい。ただ度を超えると、現実の生活に戻って来られないかも。現実の世界は夢の世界ではない。私はうまくバランスを取れるだろうか。現実の世界を知っているから、現実のルールを排除した世界に魅了される。現実の世界は少しずつしか進まない。高い場所からそれを悲観しても、何も変わらない。社長が代わっても、従業員の生活は大きく変わらない。要は支配者が代わるだけ。取り敢えず、偉いと思われる人には頭を下げておけばいい。笑顔でね。私の生活を維持させてくれる人が、私にとってのいい人だ。重要なポジションには出来る人が就けばいい。人それぞれ何かを抱えて生きている。それを理解し、飲み込める人が、そのポジションに就けばいい。人それぞれ決められた時間に会社にやって来て、人それぞれの責任をこなしていく。当たり前な風景だけれど、不思議といえば不思議。秩序正しく協調している。そうやって私の目の前の世の中は日々動いている。私と同じように、悩み苦しんでいるだろうか？近くで働いているのに私は何も知らない。この感覚が最近心地いい。適度なストレスで、とりあえずは孤独ではない。会社にいるだけで、細かく私の内面は振動している。私は仕事をするために、会社に行っているだけなのに。仕事は辛くはないけれど、その振動と向き合うことが苦しい。私は私の範囲でそれでも一生懸命生きてきた。この振動はコンプレックスなのか嫉妬なのか嫌いだからなのか何なのか？ごちゃごちゃしている。仕事だけだったら、どんなに楽だろう。自分の振動と向き合いながら仕事をする辛さ。時代と同じで内面も少しずつしか進んでいかない。こんな私を理解してくれていると、彼に対して勝手に私は思っていた。自分の気持ちにせいいっぱいで、彼の気持ちを感じ取れなかった。現実の中で進んでいく恋愛は断片的。一日中、彼の事を考えているわけにはいかない。それでも。私は独りではないという錯覚で、強くなれた。数年経って、気づくことがある。私は今になって、過去と闘っている。その時に見えなかった風景が、今頃になって過去の記憶として見える。これが後悔という概念なんだろう。私は目の前のことに、夢中で向き合ってきた。それは大切なものを見落としながら、夢中で向き合っていたことを、今頃になって気づいている。何度も何度も過去に帰り拾い上げ、一つずつ、救っていかなければならない。気づかず、通り過ぎた風景。私は自分しか見えていなかった。暴走族が通り過ぎた後みたい。あんな感じに今の私の心境が似ている。余韻が苦々しい。夢中で生きている自分は周りが見えない。見えるのはずっとずっと後になってから。私の時間の歪みを、私は今になって修正している。後悔はしていない。じゃあ。あの時私はどうすればよかったの？だから反省する。過去の自分を好きになれない。過去の自分を見れば見るほど、好きになれない。でも感覚的な生き方はもうイヤ。自分の言葉をきちんと持ちたい。私は自分で自分を暴いて苦しんでいる。目を背け続けたって、生きていけたはず。このままでいることに、この場所に居続けることに、私は危機感を感じている。あるがままの自分に、もっと素直になりたい。私は私以上でもなく、私以下でもない。足し算や引き算よりも簡単なことを、難しく考え過ぎていたのかも。私は私。これを肩肘張らずに自然に出来たら。私は自分も他人も、もっと尊重出来ると思う。日々、淡々と時間が過ぎていく。これから私はもっと深く、大事に時間を生きたいと思う。急いだから、後悔が深くなったのだろう。つい最近まで学生だった。そんな感覚。でもいつの間にか、私はもう若くはない。こんな感覚を自分が味わうなんて、想像していなかったし準備もしていなかった。気づいたら、自分の下の世代がいる。若い人が、最近同じように見える。これからきっと、挫折をするだろう。私にとってはどうでもいいことだ。昔の自分を見るようで、だからと言って、かわいいなどとは思わない。不思議とね。新たな距離感を持たなければいけないわけだから……面倒くさい。私は自分に苦しんでいる。はっきりとした答えを出せないまま、今まで時間が過ぎてしまった。そんな自分をそっとしておきたい。だから仕事以外では関わり合いたくない。そんな私の気持ちを理解して欲しいと、何気なく思う。大勢の中にいることに、楽しさを感じない。感覚で盛り上がる環境は、今の私には強すぎる。人それぞれだから、人それぞれの楽しみ方があっていい。そう私は思う。人それぞれ、何かを抱えて生きている。共感はするけど同期はしない。そんなもんでしょう？私はもう、純粋に若くはない。過去の自分は過ぎた。その事実を、下の世代を見ることで自覚する。若い頃の感性を未だに引きずっている私。それを若い世代と交じり合うことで、そんな自分に気づく。もう過去の自分から脱皮しなければいけない。そんなことにも気づく。このままの私でいることを、私を取り巻く流れが許さない。図太くこの流れを無視してもいいけどね。会社の中では思惑が錯綜している。私が見えている会社は、真実の何パーセントぐらいなんだろう。見えていない景色も、当然あるんだろう？視点の変化で内面も変化する。私が知っている世界で、私は生きている。私が知らない世界を、私は知りたいと思う。俯瞰で自分を見られる目を、私は磨かなければいけない時期なのかも知れない。過剰な孤独は感性を独りよがりにする。健康を壊すほど働いても、誰にも感謝なんかされない。痛々しさを相手に感じさせるだけ。私は自分を痛めつけたかったのかも知れない。会社に対して絶対的な距離感を、持ちたかったのかも知れない。会社員として社会人として正しいことをやっている、その確信が欲しかったから、自分の限界を知りたかったのかも知れない。今思うと自己陶酔だったと素直に思う。過去の余韻を引きずっている、今の私。なるようにしかならないのだろう。それでも。適応していかなければいけないのだろう。世の中はそれでも流れている。正しいとか正しくないとか、よく分からない。そんな私の微々たる意志は、世の中からしたら些細なものだろう。自分を知れば知るほど無力になっていくような気がする。淡々と目の前の仕事をやる。ただそれだけのことだった。それはそれで誰にも迷惑を掛けているわけではないから。ただ、そんな些細な自分にもたまには気づいて欲しいとは何気なく思う。私の内面だって振動している。私はブスだから、その振動は見過ごされやすい。私から見ていた世界。全体から私を細かく見たら、きっともっともっと私は凹むだろう。単に働いているだけなら、こんなにも苦しくはならないだろう。視野が広がるだけで、自分を見つめる視点が変化した。自分を治めるスキルを、新たに身に付けなければいけない。自分の基本はそのままに、輪郭をうまく変化させていかなければ。当たり前な日常を生きていく。それは地球レベルで見れば、相当幸せなことなんだろう。何気なく、淡々と生きてきた。それは一方通行な生き方だったなと、過去を振り返って感慨する。精神的にという意味で。いろんな視点があるし、いろんな考え方があるし、いろんな生き方がある。私はそれに気づかなかった。会社の中にいると、とりあえずは守られる。うまく立ち回ることで、自分を誤魔化せる。私はどうしてしまったのだろう。考えなくていいことを考えているような気がする。何もしない時間が不安だから、不必要な情報を自分に入れ過ぎるから？精神を、意識的に守ってあげなければいけない。自分を責めすぎることは危険。頭の中が、何だかチカチカする。自分に合った適正な距離感で、自分を守らなければ。自分に入れる情報も、賢く選択していかなければ。知らなくていいことは、知ろうしない強さを持ちたい。みんな、どんな感じで日々を生きているのだろう。本当に大事な事は、日常では話さないから。隠している自分がこのまま肥大していったら、現実と接している自分をうまくコントロール出来るだろうか？隠している自分が現実の世界に飛び出してしまいそうで怖い。大人だから、洗練された方法で鎮めなければいけない。何気なく生きている自分にだって、こんな危険が潜んでいる。曖昧なバランス状態で、私も日常を進んでいる。自分の過去にだって、明確な答えを出せていない。若い頃に感じた疑問や怒りはすでに消えている。一過性の発作のようなものだったのだろう。だから今は、純粋な若さが嫌いになった。純粋な若さは滑稽だったと、今になって気づいたから。裏切ることは視点を変えれば悪ではない。生き残るという視点で見れば、悪ではないと信じたい。だから私は裏切られる心の準備もこっそりしているのだろう。度が過ぎれば、世の中から弾かれる。ただそれだけのことなのだろう。私は病気にならないし死なないという、妙な自信があった。それも改めなければいけない。健康診断の結果が微妙に悪かったので、自分も生身のひとであることを自覚した。食べたいだけ食べて、飲みたいだけ飲んできた。その結果がこの体型と、何気ない体調の悪さだろう。肌も荒れている。心も体も、純粋に若かった時とは違う。自分の扱い方を、意識的に修正していかなければいけない。もっと自分の体を大事にしよう。勢いで日常をやり過ごすのは、止めにしよう。少しずつ、自分を動かすプログラムが更新されていく。もっと楽に、もっと時代に合った洗練された自分に変化するために。私には私の生き方があるし、私には私の闘い方がある。現実の自分を、やっと私が受け入れ始めている。男の人は、やっぱり綺麗な人が好きなんでしょう？だから彼は、私から去ったんでしょう？その証拠に彼は綺麗な人と結婚している。過去に対する見解も、日々更新されていく。その都度、私は苦しみを与えられる。日常は淡々と過ぎていくのに。過去に対して、未だに私はエネルギーを使っている。みんな、こんな感じに生きているのだろうか？笑顔の下に、私のような顔を隠しているだろうか？自分のことだって、最近よく分からない。自分の歪みを賢く感じ取って、その都度対応していくしかないのかも。自分をうまくコントロールすることで、精一杯。経済的な劣等感から生まれた感情の歪みは、自ら働くことで解消した。とりあえず、私の目の前には仕事がある。今までは視点が固定されていたけれど、今は視点を自由に配置出来る余裕が生まれている。この時代に内包されている私は、この時代を生きなければならない。悲観してもしょうがない。ただこれだけは素直に思う。「綺麗にうまれたかった」。そうすれば、彼も私から離れていかなかっただろう。そう思いたい。彼の子供が欲しかった。私は彼の子供が欲しかったのだ。今だから、はっきりと言葉に出来る。いや……彼に言った記憶がある。少し、酔っていたと思う。それから彼は、私から少しずつ離れていったと思う。彼は私との間に子供を持ちたそうではなかった。そうだよね？今だったら理解出来る。だって私、ブスだもん。ブスとして生まれて、ブスとして今まで生きてきたから、ブスの気持ちとか恋愛事情とか、理解出来る。だから本能的に、美貌を持った男の人を選んだのかも……ではなくて、選んだのだ。優秀な遺伝子を残したい。その本能に、素直に従っただけだ。きっと彼の本能が、私を嫌ったのだ。彼自身はいい人だったと思いたい。私は未だに彼の事を考えている。未練があるとかではなく。過去を見つめることで、自分のブスが余計に嫌になる。社会人としての可能性も、一人の女としての可能性も、もうこの辺が限界なのかも知れない。世界は広かった。私が死んだとしても、それはそれとして、時代は進んでいく。私が他人の死に、それほど興味が無いように、時代もそんな感じに私の死を流れていくだろう。それを恐怖としてではなく、ごく自然な摂理として感じられる大人になりたい。今日の私の精神は、久しぶりに調子がいい。細胞がうまく、繋がっているのだろう。天気がいいからかも知れない。遠くで鳥の声が聞こえる。今日は仕事だと、おぼろげに思ったけれど、起きてみると休日だった。布団を干そう。洗濯しよう。掃除しよう。当たり前なことを当たり前にする。たったこれだけで、時代と適切な距離が取れるような気がする。時代は激しく動いているけれど、情報を閉ざしてみれば、私の日常はそれほど変化がない。不必要な情報を、自分から抜かなければいけない。私は私の範囲でしか生きられない。自分の人生に責任を持つ。私は私の人生に責任を持つ。布団を干したから、太陽の香りで気持ち良く眠れるだろう。掃除をして断捨離もしたから、何かが軽くなったような気がする。柔軟剤を変えてみた。私の鼻が、新しい匂いに気づく。日常も、微妙に変化している。私は病んでいるだろうか？ん？健康だろうか？それともその間で揺れているのだろうか？きっと今のことなんて、過ぎてみなければ分からない。後になって、その時生きていて、過去を振り返る余裕があれば、その時分かるのだろう。今が正しいかどうか、今を生きる私には分からない。ただ布団を干すことは気持ちがいい。掃除も洗濯も気持ちがいい。些細な日常を、とりあえずは維持出来ているわけだから。だから今の私は大丈夫だと信じたい。情報を取らないと不安になって、取り過ぎると不安定になる。自分の立つべき場所を何度も何度も確認しないと、宇宙に突然放り出されたようで、不安と恐怖が入り混じる。自分を取り巻く環境の変化で、自分を大きく不安にさせたくない。投資を始めたのも、その危機感があったからだ。収入源が一つというのは不安。何気なく見ていたニュースで株価は敏感に反応する。視点が変化した。ちまちま貯まることが嬉しかった。会社員として働いて増えていくお金のスピードと、投資で増えていくお金のスピードの違いが何気なく面白いと感じる。残業が減っても不安にならなくなった。会社の環境の変化に、私が不安になっていない。会社に完全に身を任せるのは、とてつもなく不安だった。収入を得る為に、会社に行っている。それ以上でもそれ以下でもない。収入を得られるなら、今の会社でなくてもいい。私は死ぬまで生きなければならない。だから死ぬまで生活を維持しなくてはいけない。生活を維持させてくれる会社が、私にとっては正しい。いつでも裏切れる準備。ある意味、私は会社から守られている。それなのに、いつでも裏切れる準備をしている。生命的に生き残ろうとしている自分と、社会的に生き残ろうとしている自分もいて。私にとって経営者は、すごく遠い存在だったけれど、投資をするようになって、個として見られるようになっている。それなりに、ポジションは手に入れたと思っていたけれど、俯瞰で見ればそれほど価値のあるものではなかった。会社の中にいると、気をつけないと、世の中からズレていくのかも知れない。同じような人ばかりが周りにいるから、それが当たり前として毎日が進んでいく。世の中があって、会社がある。会社があって、世の中があるわけではない。投資をすることで、会社を俯瞰で見られる。私がスリルを感じている。世の中はより便利により快適により安全により楽しくなろうとしている。世の中に貢献出来ない会社は淘汰されていく。今まで何となく日々を過ぎていた。会社の中にいると、世の中が見えない。別に投資で生活しているわけではない。無理をして、利益を上げる必要がない。会社に使われているのではなく、私がうまく会社を使っていると思えるようになった。微々たる金額だけれど、収入が増えた。微々たるといっても、会社員でその金額を稼ごうと思ったら、大変。仕事に行く。こっそり株価を確認する。お金が自ら増えようとしている姿に逞しさを感じる。自分の肉体や精神を変調させてまで、働きたくない。コツコツ貯めることが趣味のようなものだったけれど、貯まるスピードが遅いため、消耗品を買い替えたりである時どっと消えてしまう。会社員は使用人。生かさず殺さずで働かされている。何気なく、そのことに気づいた。銀行に預けて置いても。ある時そう思った。今度はお金という視点で私は自分を見ている。お金は私の生活を守ってくれる。友達でも、私の生活は守ってくれない。当たり前なことだけど。何気なく働いていたけれど、いつこの環境が壊れてしまうのか、想像していなかった。会社内では、準備してある言葉をその都度出していれば、それでいい。それ以上でもそれ以下でもない。それが虚しいと感じた時期もあったけれど、その時期は何気なく自分の中で過ぎてしまった。人生上の苦しみは、結局自分で昇華させるしかなかった。苦しかったな？という感覚だけが、ある。日々、記憶が更新されていく。その記憶に耐えうる自分に、アップデートされたのかも知れない。私は今、それでも生きている。呼吸をしている。今という時代を生きている。そんな自分が今日は愛おしい。自分が何もしなくても、お金は増減を繰り返している。銀行に眠らせて置くより、健康的かも知れない。何より、経済ニュースの吸収力がアップしている。自分の損得に関係があることだから、感性が鋭敏に進化したのかも。何気なく働き、疲れて一日が終わっていた。そんな私の外側で、経済はダイナミックに動いていた。増えたお金で消耗品を買うことで、もともと持っていたお金は減らない。なんか不思議。欲しいものがあったらコツコツ貯めて、買っていた。それが唯一の答えだと思っていた。貯めたお金を投資して、増えたお金で欲しいものを買う。お金は減らないし、欲しいものも手に入る。重要なポジションにいる政治家の発言に、株価は敏感に反応する。私の内面はドキドキする。とりあえずは会社員だし、余裕資金でやっているから大丈夫。お金を守るために、経済情報に私が無意識に反応する。自分の責任で、お金を守らなければならない。私も働いているし、お金も働いている。流れていることで、健康的だと感じる。止まったままの景色を何時間も見続けることは苦痛。当たり前なことを当たり前にやる。それはそれで苦痛。投資を始めたことで、日常に変化が生まれた。当たり前な日常との間を、振り子のように移動する。視点を固定すると感性が老けてくる。自分をうまく分散できるので、気持ちに余裕が生まれた。私は会社に固執していたかも。要は自分の生活が守れればいい。その生活を維持させてくれなければ、維持させてくれる会社に移動するだけ。ただそれだけのような気がする。簡単なことを難しく考えて、もやもやしている強迫観念のようなものが肺の辺りにあって。相手が望んでいる自分になろうとする変な癖が私にはあるから。そんな自分を孤独な時間に取り出してみると、嫌悪感で癇癪を起こしそうになる。流れている時間がふと止まる。生活を維持するために、働いている。私はこの仕事をやるために生まれてきたと思える才能ある人間ではない。生活を維持するために、この仕事をやっていますという普通の人だった。残念ながら。だから今勤める会社に固執する必要はない。生活を維持するために、私は働いている。情報が錯綜し過ぎていて、自分の輪郭を見失っていたと思う。私はブスで一般人。この場所で生きていくしかない。健康的に働きたいと思うし、健康を維持するために、健康的な食事をしたいと思う。世の中に貢献したいと思う。それは本当。ただそれには限度がある。出来ないものは出来ない。世の中があって会社がある。私はその会社の中で、とりあえずは生きていられる。お金を稼ぐ。そのお金で生活を維持させている。世の中が好きとか嫌いではなかった。世の中でしか、生きられないのだ。世の中が過ぎていく時間に、私の肉体は、ある。私はその時間の中で、私の時間を生きなければならない。自分が壊れない適正な距離感で、世の中が過ぎていく時間と私が過ぎていく時間を死ぬまで、調整し続けなければならない。今という時代を生きている。その時代の中を、私の範囲で生きて、流れていかなければ。一日一日、過去になっていく。私は意識していないけれど、生きていられる時間は確実に減っている。ただ。むやみにその時間の中に、自分にとって不必要なものを詰めこむことはやめよう。無理に合わないことをやってもね。続かないし。自分に無理をすることに、疲れた。もう三五歳を過ぎた。気づいたら、三五歳を過ぎている。きっと人生なんて、こんなものなんだろう。不思議だけど、もう自分の為にはがんばれない。私は私に、もうとっくに気が済んでいるのかも知れない。自分を掘り下げて、隅々まで観察したけれど、石ころしか出てこなかった。この場所が、私の世の中での、最高到達点なのだろう。人と擦れ違うだけで、怯えていたような気がする。そんな自分が嫌いで、だからがんばれたのかも知れない。馬鹿にされているような感覚がいつもあって、だからそれが強いバネになったのかも知れない。私は私の強さを知った。気づいたら、楽になっている。だからもういい。何がいいのか、自分でもよく分からないけれど、もういい。過去の自分をエネルギーとして、私は頑張れた。頑張ることで、過去の自分に何かしらの答えを出すことが出来た。だから、もういいのかも知れない。今の自分をそう理解する。出来ることなら、仕事は辞めてしまいたい。別に、私の代わりはいくらでもいる。だから未練はまったくない。人の幸せに興味が無くなった私を私自身、どう理解すればいいのだろう。他人の不幸を味見することで、味気のない日常に無理矢理意味を持たせようとしているのだろう。これが現実と、自分を馬鹿みたいに納得させている。その現実に私自身、限界だから。現実を壊してしまいたい。でも理性がギリギリで止める。そして他人の不幸が、そんな私を一時的に癒す。この繰り返しが私の日常だ。いつの頃からか、変化が停滞している。このまま死んでも未練はないと思ってはいる。でも死にたくはない。見るものすべてが新鮮ではなくなっている。こんな時間は早く過ぎてしまえばいいと、毎日思っている。私の時間は止まったまま、興味のない時間だけが過ぎていけばいいのに。朝になって夜になる。今までそんな当たり前なことにも、意識していなかったような気がする。今まで私は、何に意識を集中していたのだろう。今となってはどうでもいいことで、都合よく忘れている。感覚の使い方が、変化したのだろう。私は私として生きてきた。地球に生まれて、たまたま日本に生まれて。だから私は日本人。地球規模で見れば、私はきっと幸せなんだろう。最近、何を考えればいいのかよく分からない。目の前の仕事を、とりあえずやってはいる。これを繰り返していれば、見えている景色も変化してくるかも知れない？無理矢理その景色を動かす必要はないと思うし、そんなエネルギーは、今の私にはない。余分なちからが抜けて、なすがままになっている。だからといって、自分の輪郭を見失っているわけではない。このままを受け入れるしかないんだと、いい意味で、諦めたのかも知れない。私は私のやるべき事をやっている。何とか自分の輪郭を保っている。税金だって、きちんと払っている。今まで自分を何とかしてきた。それでやっとほんのちょっぴりの、自信がついた。だからこれからも、生きられるかも知れない？とりあえず、転職をしてみた。何気なく、転職サイトに登録したら、オファーが来た。転職そのものに、それほどストレスは無かった。自分でも、そんな自分にびっくりした。初めての転職だったけれど、会社に対する未練は何一つない。私は私のやるべき事をすべてやった。前の会社に対して、そんな感慨しかない。恨みという感覚が、なぜか自分にある。その感覚を認めることに、なぜか素直になれた。投資をしているからかも知れない。自分をより高く評価してくれる場所へ移動する。当然の、自然の摂理に沿っていると、自分では思う。ごちゃごちゃした世界から、新たなごちゃごちゃした世界へ。ただ免疫が出来ているので、まったくストレスはない。自分なりの人の地図が出来ているので、初対面の人でもその地図を元に、対応できる。世の中があって会社がある。その会社には、同じような人が働いている。見える景色は結局同じ。それほど記憶に残らない日常がまた、続いていく。でも私は孤独ではない。生きていくとはこういうことなのかも知れない。自分の距離感で生きていくには勇気がいる。自由に私は生きている。だって選択が出来るのだから。独りになることが怖くない。自分の距離感で生きづらくなったから、転職したのだ。転職したことで、私は自由になった。もう私は学生ではない。学生特有の仲良しごっこが、学生の時から嫌いだった。こんなことをやっている自分がとにかく嫌いだった。そんな自分をどう理解していいのか、その時は分からなかった。今は分かる。あの時、私は弱かった。独りになることが、怖かった。社会人になって、あの頃と比べようもないくらいに、私は強くなっている。過去は完全に過ぎてはいない。私はまだ、過去の自分と闘っている。自分に対する嫌悪感を、未だに引きずっている。そんな自分が時々嫌いだから、死にたくなる時がある。死なないけどね。日常は忙しなく過ぎていく。私の精神は救われないまま、そのままで時間は過ぎていく。本当の自分と向き合わなければ、本当の自分は救われない。そんなことは分かってる！会社に行けば、本当の私は求められていない。機能としての私が求められる。そろそろ私は恋人が欲しいのかも知れない。自分を深く見つめてくれる、本当の恋人が欲しいのかも。自分なりに考えて、日々を生きている。私は普通に生きているつもりだけど、実際どうなんだろう。不安……。このまま流れていこうと思えば、流れてしまえる。もう、生きることをやめられない。自分の意思を、しばらく無視していたいとも思う。考えることは、ある意味苦痛。自分を見限ってしまいたいと思うけれど、僅かなプライドがそれを許さない。時代と無関係に生きたいと思うけれど、そういうわけにもいかない。結局私は自分から逃れられない。時代はますます便利になっていく。私的には、もう十分な気がする。とりあえずスマホにしたけど、それほど使わない。人間の本質は何も変化なんかしていないのに、便利にはなっていく。今まで築かれたシステムをめちゃくちゃにしたところで、一般人である私の日常は、それほど変化なんかしないだろう？そんな想像をしてみる。何の為に私は働くのか？それはとりあえず生活の為。私のちっぽけな生活の維持の為。こんな些細なことにも、気づいていなかったような気がする。だから私は転職した。より高い収入が得られるので、会社を替えただけ。ただそれだけのことだ。自分なりの人との距離感に気づいたので、転職することに抵抗はなかった。よく考えれば、孤独になることは怖くない。いつでも見限っていい人。よく考えれば、いつ裏切られても自分に影響がなければ、別に怖くはない。誰にでも好かれることは不可能だ。少しずつ、自分の輪郭がはっきりしていく。想像した通りに、私は生きていない。自分を知らなかったから、仕方がない。現実の自分に合った想像を、していかなければいけない。好きで今の仕事をやっているわけじゃない。微妙な緊張感で、毎日をやり過ごしている。自分と何とか折り合いをつけながら。その緊張感が転職サイトのオファーによって、完全に崩れた。だから私はあの会社を辞めた。微妙は精神のバランスで、私は何とか毎日を生きている。働くことで、私はそんな自分を知ることが出来た。目の前の仕事はきちんとやる。でも未練はない。私には私の、会社に対する距離感がある。予定では、結婚をして会社を辞めて、子育てをしているはずだった。予定が変化したので、呼吸も変化させなくてはいけなくなった。とりあえず会社で生き残らなくてはいけなくなった。会社員としてのモチベーションを、維持しなくてはいけない。自分の中で、何かが変わろうとしている。学生の時のような、期待感ではない。残業をする時のような感覚に、近いかもしれない。やりたくはない。でもやらなくてはいけない。あ～あ。というような。やったからといって、自分の中で何かが大きく変わるわけではない。この環境を、幸せと受け止めなければいけないのだろうか？大人として。私は幸せだろうか？美しく生まれたかったと、だから私は想像するのだろう。自分の輪郭の外側には、素敵な世界が広がっていると、私はまだ頭の片隅で思っている。どうやら私は自分の現実を受け入れたくないらしい。隙あらば逃げ出したいと、転職したばかりなのに思っている。こんな感じで私は日々、生きている。淡々と過ぎていく時間。株価を見ることが、何気ない楽しみになっている。数字が変化していくことに、意味がある。数字の変化に、掲示板がリアルタイムに反応する。数字の変化に、投資家の感情が激しく揺れる。私も含めて。その感覚を味わいたいから、投資をやっているのかも。もちろんお金を増やしたい。家賃を、投資で払えるようにはなっている。最初はそれで満足していたけれど。新しい自分が、自分の中に生まれている。その新しい自分を正しくコントロールするスキルを、身に付けなければならない。お金が増えることで、今まで視界に入らなかったものが、見えるようになる。そんな誘惑に向き合うスキルを、私は身に付けなければいけない、と思う。投資で利益が出ているため、自分の輪郭に余裕を持てる。残業がなくても別に困らない。たった一〇円動くだけで、残業する以上に利益が出てしまう。会社員として、今まで少しずつ貯金をしてきた。そんな自分を俯瞰で見た時に、危機感を感じた。投資をするつもりはなかったけれど、何気なく読んでいた投資に関する本が、自分の中で熟成されて、その危機感とうまく結びついたのかも知れない。何気なく流れるニュースで株価は反応するということは、意識の片隅で毎日知ってはいた。働くことは嫌いではないけれど、自分の体力には限界があるということを、ある時知った。お金に働いてもらい、そのお金で今の私は家賃を払っている。自分の精神的、肉体的な輪郭を、うまく守れている。自己責任というところが、緊張感がある。一日、それほど頭を使わない会社員の日常と、だからうまくバランスが取れているかも？プレイヤーである会社員の私は主観で。投資家である私は俯瞰で。そんなふうに自分を使い分けることを、今の私は楽しんでいる。会社は株主のものであるということを、投資をすることで知った。社会的意義の高い会社に私は投資をしている。そのリターンとして、私は利益を得ている。そこで働く人達に対して、不思議とそれほどの感情も思い入れもない。サッサと株価を上げろと、パソコンの画面を見ながら下品に囁いている。会社員として働く私のやっていることなんて、世の中から見たら、こんなものなのだろうと、会社で働く自分を思い出している。私は所詮使用人。目の前の仕事はきちっとやる。大人だしね。でもそれ以上の思い入れも、プライドもない。投資をするようになって、視点が変化した。毎日みんな働いている。働くということに、慣れ過ぎているように、私には見える。それほどお金にならないことに、なぜこれほどプライドを持てるのだろうと。私はもっと、狡猾に生きられるかも知れない。優秀な経営者はそれほどいないということを、投資をすることで知った。大事なお金を投資する以上、経営者の言葉をそのまま鵜呑みにすることは出来ない。私は転職をした。少しだけれど、給料が上がった。今とりあえず、生きられている。馬鹿笑いするほど楽しくはないし、憔悴するほどつまらなくもない。こんな感覚が今となっては心地いい。健康を意識するようになって、食べるものを意識的に変えた。少しずつ、毎日私が変化している。仕事がなければ生きられないけれど、健康を害してまでやるような仕事でもない。前の会社を辞めることで、不必要な人間関係を強制的に切ることが出来た。今となってはそれも過去になっている。自分にとっては不必要な人達に対する対応策も、思想として肉体に染みこんでいる。自分を守らなければならない。こんな私は間違っているだろうか？日々、私の思考は変化する。私の精神は、どこに辿り着こうとしているのだろう。何を求めて思考を繰り返すのだろう。居心地の悪さを感じていたから、私はきっと転職したのだろう。残業が無くなり、収入に危機を感じたから、投資を始めたのだろう。会社に労働を売り、僅かなお金を得る。そのお金で生活をやり繰りし、ほんの少し残ったお金を銀行に積んでいた。何年預けても意味がないということに、ふと気づいた。そのお金を投資に回し、お金に働いてもらい、今では家賃を払えるようにはなっている。結婚して、子供を育てている予定だったけれど、予定が変化して、今の私がこんな感じでここにいる。今という時代を、それでも私は必死で生きている。過去の価値観で、生きようとしていたのかも知れない？でも私は今という時代を生きているのだから。死ぬときに、パッと消滅してしまえたらと想像する。誰にも迷惑を掛けないし、そこで私の人生が綺麗に終わる。最近、自分の死を意識する。それほど生きたいとは思わないけれど、率先して死にたくもない。時代に寄り添って、とりあえずは生きていこう。自分の輪郭を、やっと意識出来るようになってはいる。母子家庭で育ったことを、それほど意識したことはなかったけれど、今になって、気づかないフリをしていたことが、頭を流れる。今を生きているはずなのに、過去の些細な実は気にしていたことに、今を生きているはずの時間が止まる。過去と向き合うのも、エネルギーが必要。今になって、過去の現実と向き合っている。その時の私は、その現実に向き合う強さが無かった。だから気づかないフリをして、自分を守った。あの時の私は、傷つくことを恐れた。今だってきっと、何かに気づかないフリをして、現実を生きているのだろう。気づかないフリをして、そのまま生きてしまえたら、どんなに楽だろう。自分が強くなって、初めて向き合えることもある。そんな記憶が私にも、まだまだ眠っているのかも知れない。現実の世界に過去が侵入する。少しずつ、撃破していかなければいけないのかも。私は毎日強くなっていると信じたい。過去の自分に負けたくはない。他人の弱さを巧妙に感じ取り、その隙間に土足で入ってくる人種がいる。そういう人から自分を守る技術はいつの間にか身に付いている。何気ない日常を流れていくにも、技術を必要とする。仕事だけだったら、どんなに楽だろう。自分をコントロールすることだって、日々、かなり高度な技術を必要とするのに。私が生まれるずっと昔の人も、こんな感じに自分に苦しんで、一生を終えていったのだろう。自分を主張し過ぎた若い頃に、恥ずかしさをまた感じる。時代は流れている。自分だって、その流れの中の、ほんの一部。そんな単純な事に悲観していた自分に、また恥ずかしい。私は何様のつもりだったのだろう。もっと精神的に、静かに生きられるような気がする。私はもっと自分を俯瞰で見られる目を、磨かなければいけないのかも知れない。転職してから顔のブツブツが消え始めている。ストレスを感じないようにしていたのだろう。相手が望んでいる自分になろうとする自分。そんな過去の自分も消え始めている。もっともっと、自分をシンプルにしていきたい。私は自分の輪郭で生きていかなければいけない。その輪郭の内側に、時代が意識と関係なく流れこんでくる。人間て、こういうものなのかも知れない？これはこれで、おもしろいのかも。自分より強い人とは闘わない。そもそも闘う必要もない。自分の輪郭が崩れそうだったから、転職した。私は逃げたのだろうか？いや自分を守ったのだ。冷静に考えてみると、生活費を稼ぐために働いている。会社や目の前の仕事に生涯を掛けるほどの愛着はまったくない。であるなら、精神的にも経済的にも自分にとってより良い環境へ移動してしまえばいい。私は普通の人。より良い環境を与えてくれる支配者を、選ぶだけだ。あの人とは別に友達ではないし、仲がいいわけでもない。そんな割り切りが、私を精神的に救ったと感じる。あの人に嫌われても、別に自分は何も困らない。そんな冷静な判断が、私を救ったのかも知れない。私は孤独でもないし、寂しいわけでもない。会社や他人に対する距離感を、毎日毎日確認しないと不安になってくる。自分を出し過ぎてもいけない。でも自分の気持ちも大事。自分の事を、今日も私は考えている。出来ないものは出来ない。自分の輪郭を言葉にするには勇気がいる。出来なかったストレスが、ブツブツとなって皮膚に現れたのだろう。転職して、その時の私の輪郭を頭の中で言葉にしている。あの時私は、あの場所から逃げたかった。ただそれだけだった。もっともっと時間が過ぎたら、もっともっと緊張感がほどけてくると思う。とりあえずは日々を、生きていかなければならない。生活から解放されたら、どんなに精神的に楽だろう。いつでも会社を辞められるという安心感が、欲しい。残業が減った、その補てんに投資を始めた。今のところ、残業分以上に結果が出ている。私の気持ちが不自然に揺らいでいる。私は投資に対して、自分をコントロールする、新しい思想を持たなければいけない。残業分くらい増えればいい。そう思って始めた投資だけれど。資産を大幅に増やせるかも知れないという、気持ちの揺らぎ。私が地道に働いている会社の外側では、時代の変化を敏感に察し、受け入れ、予測し、様々な思惑が水面下で蠢いている。それが私には、今まで見えていなかっただけだ。アベノミクスが始まる前に動いていたら、大きく資産を増やすことが出来ただろう。一生懸命働いても、プラス残業代。それほど給料は上がらない。貯金が少しずつ増えることが楽しかったけれど、増えるスピードが遅いため、日常生活の維持に消えていく。塵が積もって山となる前に、私が死んでしまう。私には寿命がある。何百年も生きるのなら、少しずつでいいのかも知れない。私の中で、何かが変化している。大幅にね。一生懸命、何も考えずに働けばいいというものではない。会社の中では仲良しごっこの時間が流れている。平和にね。上場企業ではないし、親会社の言う事を聞いていればいいのだから、そこで働く私のポジションとしては、楽。見えなかったものが見え始めている。私の知らない所で、莫大なお金が思惑で複雑に動いていた。会社に対する私の効果なんて、鼻で笑ってしまうほどのものだったのだろう。みんなのおかげ。その言葉に今は純粋に共感出来ない。なんでだろう？それでも私は今現在、一会社員だから、その感覚をうまく隠し、共感しているフリを演じなければいけない。私は生きられる、と思う。会社という枠の中にいれば、取り敢えずは雨風世間の視線から、守ってもらえる。この枠を飛び出す勇気も個人的な力も、私にはない。だって私は普通の人だから。だからこの枠を、賢く利用したいと思う。いつでも辞めたい気持ちはある。でも勇気がないし、辞めたところでやることがない。もう私は三五歳を過ぎている。若い頃は、過ぎていく時間に意味があったような気がする。達成感もあった。もう。過去から未来へ移行したい。この場所から、そろそろ移動しなければいけないのかも知れない。時代は流れていけばいい。私はその時代に合った自分に変化させていけばいい。それでも私の本質は変わらない。何の為に生きているのだろう。そんなことを何気なく考えるけれど、馬鹿笑いするほど楽しくもないし、憔悴するほどつまらなくもない。何となく、楽しいよ？私。苦しかった時もあったような気がする。でも都合よく、今の私は忘れている。逃げてきたわけじゃない。でも逃げてきたこともある。私はそんなに立派な人なんかじゃない。いい、加減で今は日常を流れているような気がする。私は綺麗ではないし、男の人からチヤホヤされたこともない。自分のテリトリーを知った。だからこんなに精神が静かなのかも知れない。私にとって恋愛は、それほど重要なものではなかった。恋愛中毒という感覚が、この歳になっても理解できない。そんな人が、過去に私の近くにいたことがあったけれど、うまくその人の感覚にリンクできなかった。きっと私にその波長がないのだろう。私の頭の中には、今まで出会った人が記憶としてたくさんいる。これはこれで何の意味があるのだろう。自分で自分がよく分からない。取り敢えず、目の前の生活を繋げなくてはならない。だから明日も仕事に行かなければいけない。夜になり、過ぎていく時間。私は私の時間を過ごせばいい。早く大人になりたかったし、早く自立がしたかった。一人でいられる強さが欲しかった。気づいたら、三五歳を過ぎている。これはこれで、感覚的に悪くない。時代にそのまま流されていたら、こんな静かな自分ではいられなかったかも知れない。時代は個人である私には素っ気ない。だから私も時代とは、適正な距離を取ることにする。私は私。死ぬまでは、生きなければならない。私は私の人生に責任を持つ。それだけでも、偉業だと思う。別に孤独ではないし、寂しいわけでもない。このまま世の中の秩序が流れていくわけではないし、現に時代に合わなくなった企業は淘汰されている。それはそれでおもしろい。もうすぐ定年退職の一般職の人を見ていると、狭い枠の中でそれほど頭を使わずに数十年を過ぎて来たことを思わせる。会社という枠の中は、どうやら大事な感覚を退化させるらしい。枠の外側に無関心でも、それなりに生きていける。世の中は大きく動いている。自分でも気づかずに、もしかしたら私は退化しているのかも？みんなが退化していたら、その中にいる自分の退化は気づかないだろう。投資をすることで、今まで私を通り過ぎていた情報が目に留まる。今まで何気なく流れていった時間。その目の前を流れていく時間に孤独を感じたこともあったし、ふと感謝をしなければいけないと、素直に思ったこともある。集団を導く人に、私はもっと注意を向けなければいけないのかも知れない。いい意味で、私は大人になっている。社長だからといって、そのまま言葉を信用するほど、すでに純粋ではない。考えることを、私は止めてはダメ。そんな危機感がある。もうすぐ定年退職のその人を見るたびに、そんな危機感が私に生まれる。考えることを辞める時が、きっと私の死、なんだろう。今、私が働いているこの会社の人は、会社の外側で何が起きているのか、気づいているだろうか？何だかドキドキする。家賃分くらい増やせたらと思って始めた投資だったけれど。会社の中で生き残ることは重要だけれどその会社が無くなってしまえば意味はない。何の為に私は働いているのだろう？会社があって世の中があるわけではない。世の中と会社の狭間で、私は私の輪郭で生きている。会社は世の中を、より便利により快適により安全により楽しくするためのものでなければいけない。自分に固執する生き方に、私は疲れているのかも知れない？もっと世の中に貢献する生き方を、私は求めているのかも知れない？このままの生き方でいい筈なのに、何を私の内面はイライラしているのだろう。もっと安全に、もっとずる賢く生きられるはずなのに。見えなかった世界が見えることで、私の内面が戸惑っている？だからといって、私は私の輪郭を飛び出すことは出来ない。自分の無力さがもどかしい。会社も世の中も、きっともっともっと良くなるポテンシャルを持っている。なのになぜ会社も世の中も、こんなにも変化が遅いのだろう。変わりたくないのかも知れないし、変わることが怖いのかも知れない？世の中との接点である、会社で生きている私。自分は今どこに立っているのか、分からなくなる時がある。もう答えを出したことが、何気なく私を苦しめる。目の前の仕事。それは私が選んでしている仕事。なのに最近また、気持ちが冷めている。この感覚は、年齢的なものなのだろうか？転職はしたけれど、仕事に対する野心はすでにない。私はいったい何をやっているのだろう。そんなポツンとした感覚が、何気なく私を苦しめる。やらなければいけない。そんなことは分かっている。ぐるぐる記憶が回る。それに対応する感情に、振り回されている。この場所で生きていくという覚悟が、私にはないのかも知れない。若い時にはもっと、人生に対して真剣だったような気がする。今は一日を生き抜くことで、精一杯。それでも何となく過ぎていく時間。この時間を重ねた先に、それほど大きなご褒美がないことぐらい、私だって気づいている。この仕事をやる為に生まれてきたとは感覚的に思えない。でもやらなければ、日々の生活を維持出来ない。だから少しでも環境のいい会社を選び、転職した。だからこれでいいではないか？と私は自分に言い聞かせている。でも私が納得しない。だからといって、私は何がやりたいのだろう？こんなことは、誰にも相談出来ない。生活はとりあえず安定しているではないか？投資で家賃が払えているではないか？これ以上、私は何を望んでいるのだろう？いまさら若者特有の焦燥感？私は母が嫌いだった。今だからこそ、その時の気持ちを受け入れることが出来る。母とはもう何年も会っていない。母はきっと、私を愛していなかったのだろう。だったら私を産まなければよかったのに。私の思考が過去へ遡ろうとしている。私の精神は耐えられるだろうか？現実を生きる私の精神がぐらついている。だから私は自分の過去を、知ろうとしているのだろう。私は点として、生きてきたような気がする。その点を結び、線にしなければいけないのかも知れない。時代は流れているし、流れてきたし、これからも流れていくだろう。その、今という時代に参加している個としての私。時代にとったら個としての私なんて、鼻くそみたいなものだろう。私はどうしても、自分を卑下してしまう。大切だとは思えない。母に抱きしめてもらった記憶がない。だからかも知れない？私の精神は、今現在正しく機能しているだろうか？社会人として働いているけれど、うまくはやっていると思うけれど、どうなんだろう？外から見たら、きっとただのブスだろう。でもこんな不安を感じている私の内面なんて、誰も見ようともしないし気づこうともしない。小さい頃、いつもそうだった、と思う。もっと母に、気づいて欲しかったような気がする。その時の感情が、今になって甦ってくる。私はあの時寂しかった。母は、女でありたかったのかも知れない。母ではなく、ね。その時に生まれた心の揺れを、私は今も引きずっている。私の内面はあの時から、きっと何も変化なんかしていない。愛されたい気持ちを、今もずっと引きずっている。母はいつも家にいなかった。学校から帰っても、家なのにいつも不安だった気がする。母が、もう帰ってこない気がした。私は安心できる場所が欲しいのかも知れない。会社にいるだけで、なぜか不安。その時の心の揺れは、あの時の心の揺れに似ている。学校にいても家にいても、なぜか不安だった。それは社会に出ても変わっていない。根本が何も変わっていないのだ。私はここにいて、でもずっと母を待っているのかも知れない。ずっとずっと私は不安だった！自分の本当の気持ちを、母にさえ、言った記憶がない。母は私を邪魔だと思っていた。今だから、それを冷静に受け止められる。だったら私を、産まなければよかったのに。「馬鹿な女」と、母を思う。子供を愛することが出来ないなら、その覚悟がないなら、産まなければよかったのに。私には、生まれた時から父がいなかった。母子家庭で育ってきた。それは私にとっては普通のことだった。だから男の人との距離感を、うまくつかめないのだろう。過去の恋愛を頭の中で、何度も反芻する。父親を無意識に、求めてしまっていたのかも知れない？そんな過去の自分を暴くことが、なぜか精神的に痛い。過去の自分と向き合うことで、私は救われたいと思っている。今いる自分は、本当に私なんだろうか？会社での私は、会社に求められる私を演じているだけだ。それを嘘だと思うわけではなくて。それはそれで必要なことだと思うから。私はきっと、行き詰っているのだろう。だから過去へ過去へと遡って行こうとしているのだろう。過去への扉を開いた。そんな感覚がある。現実を維持するための仕事を早く終わらせて、私はすぐに過去へと戻らなければならない。外の世界で見るべきものは、もうすでに見てしまっている。無責任な、そんな達成感がある。過去を処理していくことで、きっと現実は変化していく。そんな確信がある。今の自分を形成している回路が、破壊されてしまうかも知れない。でも私はそれを恐れない。きっとそこまでの人、だったのだろう。自分のことは、嫌いでもなく好きでもない。母親に愛されたことがないから、会社に愛されたくて、仕事を頑張ったのかも知れない。今はそう思っている。辞めちゃったけどね。私の心は毎日変化する。私は私を保つことで、せいいっぱい。外の世界は外の世界で、新しい秩序が生まれそうでぐらぐらしている。会社の枠の中にいる私は、取り敢えずは安心だろう。自分をずる賢く守ろうとは思う。今度の会社も、仕事に酔わせてくれる経営者ではないから、だから私が目の前の仕事に疑問を持つのだろう。仕事に酔いたい私。仕事を辞めたい私。一日のうちに、いろんな感情を持った自分と向き合わなければいけない。ぎりぎりの精神状態で、私は一日を生きている。目の前の仕事を生活の為だと割り切ればいいのに。もっと私は無感情になればいいのに。自分を信用し続けるにも、かなりのエネルギーを必要とする。自分を裏切って、もっと楽に生きられればいいのに。母が帰って来なかった日、私はそれでも泣かなかった。小学生の時だったと思う。私には、プライドがあった。泣いたら負けだというプライドが、なぜか備わっていた。自分でも、そんな自分に不思議だった。あの時私は、一人でいることの恐怖に勝ったのだ。母がいなくても、生きられるかも知れない。あの時私は、そう確信したんだと思う。私は子供ながらに、母を信用していなかった。女であろうとする彼女が、私は嫌いだった。その時の気持ちを、私は今、言葉にしている。日記ではないけれど、ノートに溢れてきた記憶を何気なく書いている。すでに一冊書いてしまったので、燃やした。一枚一枚破いて燃やした。どういうわけか、すっきりしている。これは、自分を救っている行為なのだろうか？私は無意識に、傷ついていたのだろうか？私は毎日毎日ノートに書き込んでいる。友達にも言えなかったこと、現在の気持ち？過去の気持ち？脈絡のない言葉が連鎖的に溢れてくる。ずっと私はこんな気持ちを深奥に隠していたのだ。書き散らすことで、現実とのバランスを保てる。私の中にいる、もう一人の私が癒しを求めている。生まれ、抑圧されていた感情は消えてはいなかった。ずっと解放される時を、待っていたのかも知れない？今を生きているのに、幼い時の感情が生々しく今に甦る。もう一度、内面を生きている。現実との接点を持ちながら、私は内面への旅に出る。本当はもう、辞めてしまいたいけれど。社会に出る前は、高尚な理想があったと思うけれど。今は自分のことで精いっぱい。現実に負けたわけではない。本当の自分を知っただけ。私は私の範囲内でしか生きられない。それを私が知ったから。ん？私は急に今の自分に戻っている。ノートに自分を書くことで、最近うまく自分を認識出来ている。現実はきっとこんなものだろう。取り敢えずは建て前で、現実には対応しなければならない。馬鹿らしいとは思うけどね。私は大人だから、嫌いな人にも取り敢えずは挨拶をしなければならない。最近私はさらに狡賢くなって、会わなければ挨拶をしなくていいので、なるべく会わないように注意している。大人だから、嫌いとは言えない。だからなるべく会わない。本音を取り敢えず隠して、建て前で自分を守らなければならない。私は教育者には向かない。なろうとも思わないけれど。若い時、私の思考は未来へ向かっていた。今は思考が過去へと向かっている。過去へ向かうことで、今の自分を知ろうとしているし、精神的なバランスを、やっと保てている。若い時の、あの未来に対する漠然とした希望は、偽りではなかったのか？と。認めたくはないけれど。あの時見えた光は、今となってはよく分からない。自分なりに勉強はしたけれど、今現在の私は会社員。会社の使用人として生きている。冷静になって考えると、今の私にとって大事なのは衣食住。これを死ぬまで維持していかなければならない。私は若くて純粋だったから、偽りの光に酔うことが出来たのだろう。取り敢えずは生活を維持していかなければいけないから、会社は辞めたくても辞められない。会社に対するそれ以上の愛情はまったくない。目の前の仕事は取り敢えずきっちりやる。私に与えられた責任だから。若い時に、偽りの光に曖昧にされた輪郭を、明確にしなければいけない。自分の生活は、自分で守らなければならない。私は自分を守るための、明確な言葉を持たなければいけない。私は純粋に若くはない。あっという間に時間は過ぎている。でも焦ることはない。私はあっという間に過ぎた時間を、もう一度確認しながら生きているではないか？何かを信じて私は生きてきた。自分の衝動を信じて、無思想に勢いだけで生きてきた。そんな自分に疲れてしまった。どこで間違ったのか？その検証のために、私は自分の深奥へ潜入している。まだ明確な答えは出ていない。目の前に、広大な世界が広がっているからだ。自分を深く掘り進んでは現実に戻る。現実に対応する自分が少しずつ変化していく。私が自分に気づいていく。私には、現実を選択できる、自由がある。現実は目の前を動いている。私はそれに逐一反応している。それはきっとこの広大な場所が、影響しているのだろう。目に映る風景が広大な場所とリンクし、私の感性に影響を与えている。私はもしかしたら、まだ進化できるかも知れない？そんな予感は、ある。何気なく過ぎている退屈な日常も、私の感じ方が微妙に変化している。今日の精神状態はいいかも知れない。今の自分を大事にしたい。私の外側の現実は停滞しているかも知れないけれど、内側は未来へ動き出している。私個人としては、いい感じ。仲間？今はそんな言葉に笑顔で合わせられる余裕がある。でもいつでも裏切れる準備はしてある。自分の内側の深奥には、広大な世界が広がっている。それに私は気づいた。ここを基準に、現実に対応する自分を破壊し、新しい自分にアップデートする。古い自分にいつまでも固執したくない。その繰り返しで未来は見えてくると信じたい。若い時とは違う感性を、楽しみたい。純粋に若いだけの感性には、二度と戻りたくない。後悔はしていない。十分に、楽しんだと思う。私は私でしか生きられない。私の深奥に共通する人と、出会えたらいいなぁと、最近思うようになった。コンプレックスから、容姿のいい人を好きになったけれど、繋がりを持てずにうまくいかなかった。日常を、何気なく支え合っていける人がいいなぁと私が思っている。自分の思い通りにいかない。だから自分の輪郭を保ったまま、その都度反応すればいいのではないか？そう考えるようになった。自分の生活をまずは基本に考えなければ。ノートに自分を書くことで、ぐちゃぐちゃしている自分が落ち着き始めている。自分を一つずつ取り出していく作業は、意外にスリルがある。私は自分の構造を理解しようとしている。どんなパーツで組み立てられているのか、確認している。私は自分を完全に理解していない。これはこれで不思議なことだと、何気なく思う。自分のことをそれほど知らなくても、生きてしまえる。これはこれでどうなんだろう。私は自分を知ろうとしている。今はそれに、一番エネルギーを使っていると思う。私はうまく、自分を経営出来ているだろうか？日々の生活を維持させるために、仕事をしなければいけない。本当はそのエネルギーを、自分の事だけに使いたい。でもそれは現実的には無理。でもこのままでは現実の生活を維持させる精神状態はいずれ破たんする。だから私は深く、自分を見つめなければいけない。そのためのエネルギーの分配だ。日常を普通に生きているだけなのに、なぜこれほどの危機感を私は持っているのだろう？私はただ、内側からの衝動に従っているだけだ。私が生きようとしている。生き残ろうとしている。日常生活に疲れ切っているのに、私はそれでも生きようとしている。こんな自分に滑稽だ。笑ってしまいたくなる。もっと苦しまずに、楽に生きたい。それには自分を知ることが必要だ。自分の範囲を超えたものから、自分をうまく守らなければならない。自分と無関係な情報は、残念ながら皮膚の表面を滑り落ちていく。私はこうして洗練されていくのだろう。生存に必要な情報には、自然と感性も真剣になる。どんなに時代が移ろっても、自分から抜け出ることは出来ない。自分に害が出る繋がりは、切ってしまわなければいけない。だから私は強くなろうと思った。自分が強くなれば、自分に害を与える存在を何気なく切ってしまえる。私は素っ気なく、それを通り過ぎるだけだ。私は孤独になることが怖くない。繋がりが消えてもまた、自分に戻ればいい。最近妙に、なるべく正しくありたいと思う自分がいる。私の本質は、ものすごく下品かもしれない。それを知っているから？なるべく正しくありたいと願っている自分がいる。難しいけれどね。自分の都合よく生きられない。だから適度な緊張感を持って呼吸していないと、本当に私は精神的にも醜くなってしまうような気がする。裏切るというテクニックを、うまく使いたい。正しくあろうとする自分を、信じてあげたい。今の私は過去の私ではない。そこにはプライドが持てる。私はそれほど弱くはない。執念深く、それほど生きたいとは思わない。思わないけれど、まだ死ぬわけにはいかない。今現在の私はどうゆうわけか、生きたがっている。まだ自分に対して明確な答えが出ていない、もやもやがある。私はこれからかも知れない？何がこれからなのか意味不明だけれど、私はきっと、これからなのだ。いつも会社で会っている人の、私に対する視線は随時変化する。その視線の強さから、自分を守らなければいけない。それにはそれなりのテクニックを必要とする。自分の輪郭を、うまく変化させなければ。これはこれでスリルがある。何の為の繋がりか？私は一つずつ、冷静に考えなければいけない。何の為に、この人に気を使うのか？裏切られても私は大丈夫だろうか？いくつかシミュレーションをしておかないといけないかも。距離感の変化に、敏感にならなければいけない。日々の人間関係は、何気なく静かに殺伐としている。それが無意識にストレスになっていく。会社を辞めてしまえる経済力に、だから私は憧れるのだろう。世の中の均衡が崩れ始めている。私には直接的には関係ないけれど、それに対してわくわくする自分がいる。きっと世の中の水面下で、何かが動き始めている。私の深奥みたいにね。世の中の秩序の中で、かろうじて私は生きていられる。世の中をピラミッドで表現したら、私なんてきっと下の方だろう。そのピラミッドが崩れたところで、私の受ける損害なんて、軽微なものだろう。であるなら、崩れてしまえばいいのにと、何気なく気づかれないように思っている自分がいる。私にとって、今ある秩序は息苦しい。でもその秩序に従わなければ、今の私は生きていけない。秩序が固定するから視線が固定する。その視線に、取り敢えずは合わせなければ、息苦しさと闘う、別のスキルを身に付けなければいけない。私は私。たったこれだけのことを維持するために、何で私はこれほどまでにエネルギーを使っているのだろう。世の中を無視できるほどの経済力は、今の私にはない。だから世の中に、不本意ながら、寄り添うしかない。その世の中に寄り添う会社という組織に、私は嫌々ながら所属している。長い時間を掛けて築かれたこのピラミッドが、崩れてしまえばいいのにと、今の私は頭の片隅で願っている。崩れてしまっても、要は今のちっぽけな生活が維持できればいいわけで。きっと私は新しい秩序の中で、何気ない存在として生きていくことになるのだろう。奉公した城が目の前で燃えている。そんな戦国時代のようなことが起こっても、私は次の奉公する城を探すだけ。簡単な事だ。私は自分の範囲内でしか生きられない。薄っぺらい繋がりだけでは、目の前の生活を維持出来ない。目の前の生活を維持させてくれる会社こそが、私にとっての真実だ。働きたくて、働いているわけじゃない。自分のリズムを崩してまで働いているのは、目先の生活のため。普通の日常を流れていると、不意に不安になる。自分はなぜこんなことをやっているのか、いちいち確認しないと不安でおかしくなってしまいそうになる。考えることを止めてしまえば、いいとは思う。でも私は生きている。日常は流れていく。私はその流れに対してうまく反応しているだろうか？親も、生きる時代も選べない。私は自分の背景をあるがままに受けいれて、今という時代を生きなければならない。だからといって、それほど憂鬱では、ない。私は私。普段は人混みの中にいる方が楽。何も考えないで、仲間モードに合わせていればいいのだから。でもいつでも裏切れる準備はしている私。沈没する船に、いつまでも残っていてもしょうがないでしょう？それが小さなグループでも、だ。私は一人が怖くない。それは大きな武器だということに、私が気づいている。自分のことが、ほんの少しだけ、好きになったかも。毎日が、馬鹿笑いするほど楽しくもないし、だからといって、憔悴するほどつまらなくもない。私はここにいる。それを、私が知っている。ここにきちんと、私が生きているじゃないか？害になる繋がりを、切ってしまえる勇気が、今の私にはある。学生の時の私より、今の私は弱くない。一人で闘える勇気が、今の私にはある。自分の力で、すべてを破壊できたら、どんなに美しいだろう。そんな馬鹿なことを考える。地道に積み上げていく日常を、一瞬で破壊してしまえたら、どんなにすっきりするだろう。好きでもなく嫌いでもない人を、その日の気分で殴り殺せたら、どんなにすっきりするだろう。きっとすべてが終わる。だから私は理性で自分をコントロールしなければならない。母は私を愛してはいなかった。母と一緒にいることが、なぜか不安だった。母は、私をなぜ産んだのだろう？愛せないなら、産まなければいいのに。母に対する憎しみが、今の私の思考を形成している。そう私は確信する。人の、愛し方が分からない。それはきっと、私が愛されたことがないからだ。男の人との距離感が、よく分からない。それは私に父親がいないからだ。不完全なまま、私は世の中に存在している。この歪んだ心は、矯正できるのだろうか？こんな私は生きていく資格があるのだろうか？私は本能的に、子供が欲しかった。でも今は、持たなくて良かったなという安心感がある。きっと過去の私に、答えを求めにいくだろう。その過去の私は、母に愛されたという記憶も感触も持っていない。私はどうやって、子供を育てていくつもりだったのだろう。一人で生きていけるスキルは、身に付いているとは思う。ただどうやって私は、育てていくつもりだったのだろう。きっと私は、人を好きになったことがない。自分のコンプレックスを源泉とする感情を、恋愛感情だと勘違いしていたのだと思う。人を好きになるということが、よく分からない。そのことに、最近気づいた。私は馬鹿なのかも知れない。自然なことを、無理やり深く考えようとしているわけだから、きっと馬鹿なのかも知れない。なぜ食事をするのだろう？と考えることくらい、自然なことを不自然に考えているのかも知れない。私は普通だと思っていたけれど、異常かも知れない？健康な精神を持っていると、疑いもしなかったけれど、自信がない。気がついていないだけで、私は病んでいるのかも？自分で自分が分からない。本当に追い詰められないと、自分の本性なんて見えてこないのだろう。何となく、人間関係はうまくいっている。何となく仕事で一日が終わる。だからきっと、曖昧に死にたくなるのだろう。死をそれほど意識せずに、生きられている。死の感覚が、曖昧に全身に分散されていく。死の感覚を一点に集中するような出来事があった時、強烈な生を渇望するのかも知れない。東日本大震災の時、初めて私は地震に恐怖を感じた。足が震えた。私の内側から、まだまだ記憶が溢れだす。もしかしたら、私は精神も便秘中なのかも。古い記憶はどんどん私を流れていけばいい。私は私の輪郭でしか生きられない。すべての人の幸せを想像では願うけれど、すべての人とは繋がれない。地に足をしっかりつけて、自分の言葉をしゃべらなくてはならない。私は何のために生まれてきたのだろうか？馬鹿笑いするほど楽しくもないし、憔悴するほどつまらなくもない。私は何のために生まれてきたのだろうか？それでも私は私として生きているし、考えて、自分なりに答えを導きだそうとしている。自分と向き合っているじゃないか？自分にとって居心地のいい場所を、選び取ってきたじゃないか？私は何のために、生まれてきたのだろう？私は何のために、生まれてきたのだ！きっとまだ私は生きられる。毎日は少しずつでも変化しているし、自分にとって都合の悪い記憶も少しずつ擦り切れ、風化している。こんなにも、私は静かにのた打ち回っている。やすらかになれる日は、もうずっとずっと先なんだろう。現実の自分はそれほど好きではない。でも少しだけ、信じてあげられるようにはなっている。それほど美しくはない肉体に、私という精神が流れている。どこまで私の精神は到達できるだろう？私は今、どの辺にいるのだろう？これからも、肉体に束縛されていくのだろう。明日も明後日も、また多分、適度に憂鬱な日常が続いていく。働くことで、いのちを繋いでいける。安心感が欲しいから、それ以上のものが欲しくなる。それ以上のものを持ったら、別のスキルを必要とする。精神は広がり始め、高揚するから。私は選択出来る自由が欲しいから、経済的な上昇志向があるのではないのか？自分の輪郭に、言葉も態度も視線さえも閉じ込めている。それを賢くずる賢く選択して、自分から出しているだけ。私の本性は、自分でもよく分からない。この場所から抜け出たとして、私は変化するだろうか？抑圧されている自分が、飛び出してくるだろうか？現実だけでは生きられない。過去を見つめることで、私は現在の自分を修正しようとしている。このままの私で生きたら、将来破綻する。そんな危機感があったと思う。自分を持続させる、思想が必要なのだ。時代が変化しても、自分を維持できる思想。それをずっと今まで私は、探しているのかも知れない。未来は生きてさえいればやってくる。今私のやるべきことは、過去を元に、自分をゆっくり修正し、自分の基本を作る。後は時代に反応させていくだけでいい。最近毎日眠いのは、激しく頭の中が動いているからだろう。自分を制御するプログラムが日々、更新されていく。私はもうすぐ生まれ変わるだろう。そんな予感がする。だからといって、劇的に何かが変わるというわけではないとは思うけどね。頭の中が動いている感覚は、もどかしい。視線も距離感も、更新されていく。私は変わることを望む。それによって私から離れていく人の視線を私は、恐れない。どうやら私には、辿り着きたい領域があるらしい。精神的な昇華を、私が望んでいる。自分に対して自由に生きたい。自分の言葉でしゃべりたいから、私は強くなることを望む。自分をもっと、大事にしよう。そう自分に答えを出した頃に、ふと、前の会社での友達が私にメールをしてきた。私と数年前に付き合っていた人が離婚して、子供を引き取ってシングルファーザーとして育てていると。彼女は私が彼と付き合っていたことを知らない。そう思っていたけれど、彼女はすべてを知っていた。というか……。彼は私と彼女と、同時進行で付き合っていたらしい。彼女はそれを承知で、彼と付き合っていたことを、私は今さらになって知った。知ったことにより、私は少し傷ついている。彼は彼女をも捨て、綺麗な人と結婚した。彼が結婚したことを、私は彼女から聞いたのだ。今更知らなくていいことに、心が乱れる。彼女の視線を、今になって想像する。彼はきっと、私の事を彼女に言っていたのだろう。彼女は素知らぬ振りで、私と友達ヅラをしていた。彼女は何で、私にメールをしてきたのだろう。彼が離婚し、シングルファーザーになったことを、誰かと共有したかったのだろうか？確認はしなかったけれど、彼女は彼に会っているような気もする。どうでもいいけれど。だから私は彼女を着信拒否にした。もう私はあの時の私ではない。向こう側では生臭く時間が流れている。今の私はそんな感覚しかない。ただ彼がシングルファーザーになったという情報は、私のどこかを救った。