第17話 新勢力確立。
艦隊
皇国は自領への
付け加えるなら、皇国では、ユーグは巡洋戦艦や強襲揚陸艦などの主力艦を保有しているとの情報を得ていなかったにもかかわらず、今回実際に龍宮星系において巡洋戦艦や強襲揚陸艦が撃破されたと発表した。ユーグ艦隊として龍宮星系に現れた艦船のうち少なくとも主力艦は中華連邦の艦船だったことは明らかだが、表沙汰にしたくなかったのだろう。
今回の皇国の対応を見ても、ワンセブンの見立て通り皇国内の主要ポストにユーグ、大華連邦に
今回の侵攻作戦の完全失敗にユーグの後ろに控える大華連邦も、初期の対応だけは素早かったが内部では混乱しているようだ。二回の作戦による主力の強襲揚陸艦4隻の喪失は大華連邦にとっても大きな痛手となっている。
特に、今回失った2隻の強襲揚陸艦に乗り込んでいたのは大華連邦海兵隊の精鋭たちだ。それが2個連隊丸々失われたことが大きい。艦の建造は1年もあれば可能だが、失われた海兵隊の補充には3年は必要だ。大華連邦の地上戦力の投射能力が大きく低下したわけで、これまで力により連邦に飲み込まれてきた周辺部諸星系が動揺していることは
また、今回の大華連邦の戦力低下に伴い、大華連邦とスラビア共和国との境界領域に対するスラビア共和国からの圧力が強まる可能性もある。不確かだがスラビア共和国の主力艦隊が境界領域方面に集結中との
そういった国際軍事情勢には無頓着な皇都のメディアは、ショッキングな出来事や政府を批判できるような材料があれば飛びつくわけで、今回は、
竜宮星系からの救援要請をまたも航宙軍が無視したことももちろん批判のやり玉に挙がっている。時間的関係で救援は不可能だったのだが、救援の
そういうことで、次のような活字がメディアに躍った。
【またも失態、航宙軍!】
【航宙軍は皇国民を見捨てるのか!?】
【村田単艦艦隊、敵侵攻艦隊を完全撃破!】
【救国の英雄、村田侯爵】
【独身、村田侯爵の華麗なる女性遍歴】
最後のふかし記事にはちゃんと抗議するよう皇都に残しているうちの筆頭執事、代田にしっかり言っておかないといけないな。
さらに健康を理由として航宙軍を退役したはずの俺が、元気に活躍していたことが憶測を呼び、俺の前回の活躍に嫉妬した航宙軍が俺を無理やり退役させたのだという根も葉も
航宙軍の広報担当は、俺の退官を円満退官だったとしきりに反論したが、事実われわれの活躍に嫉妬していたわけで、軍内の個人に対するインタビューを軍から許されたあるメディアからインタビューを受けた某将官は、軍に関わる個別事項には答えられないと歯切れの悪い受け答えをしていたようだ。
そして、先の軍法会議まがいの会議に俺を呼び出した将官連中、北条大将以下7名、北条派というべき将官は全員予備役に編入されたようだ。箸にも棒にもかからない高給取りが予備役に編入されたことは皇国航宙軍の戦力アップになるに違いない。しかも、北条家の権勢にかなりのダメージを与えることが出来た。ワンセブンの見立てでは、今回退役した連中のなかにも国外勢力の汚染が進んでいた者が複数いたということだった。
これまで、皇都に屋敷を構えていただけで積極的な動きをあまり見せることのなかった村田侯爵家が、本格的に本拠を据えた竜宮星域に対して、多くの資本が触手を伸ばし始めたようで、人工惑星
開拓コロニーの二次募集に応じる者は、時間の経過とともに開拓コロニーの実態が明らかになってくる関係上、一次募集時と比べ格段に少なくなるのが通例なのだが、村田侯爵家が乙姫へテコ入れするとのうわさが流れ、惑星乙姫への移民希望者が殺到している。そのうわさをうわさではなく真実とするため、乙姫開拓コロニーの行政府に対し多額の資金を貸し付けた。この資金で人口1億超えが建設の目安とされている軌道エレベーターが間もなく着工されるはずだ。これにより、惑星乙姫への移民希望者がさらに増えることが予想される。
一歩一歩、そう一歩一歩だ。
[あとがき]
ワンセブンの17ですが、第1話のあとがきで述べたように、むかし実写ロボットもので大鉄人17(だいてつじんワンセブン)というのがありまして、それをリスペクトしたものです。特撮技術はショボい作品でしたが内容はかなり高度な作品でした。
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