或る物語の終焉:Phase5「三千世界の夜明け」

 淵源領域 エンドレスロール

 両者は竜化を解き、元の人間の姿に戻る。ディードは切り落とされた髪が元に戻っており、互いに目立った傷もない。

「行くわよ!」

 ディードは再び自身に真炎の巨腕を侍らせ構える。

「あなたの全力!引き摺り出して見せる!」

 ハチドリが抜刀するや否やディードが空間を捩じ切る高速の蹴りを繰り出し、弾いたところに後方へ回転しながらステップを踏んで動き、右拳を地面に叩きつけて熱波を起こしてハチドリのサイドステップを誘い、両腕で岩盤を捲り返すように真炎の塊を投げ飛ばし、巨大な隕石のようになって降り注ぐ。ハチドリが高速移動で真炎から逃れつつ脇差を異形の刀に変え、斬閃を設置しながら瞬間移動で背後へ回ろうとし、ディードが左拳を振りながらそちらへ向き直り、真炎の右巨腕を弾丸のように射出する。威力からして分身での防御は不可能と悟り、ハチドリは構えから射出から巨腕の速度まで、動作が一瞬で済まされたそれをギリギリで瞬間移動して躱し、更に左巨腕が偏差射撃で放たれ、瞬間移動先に見事にヒットする。異形の刀を全力で振るって、往なすというよりは無理矢理に相殺して防ぎ切り、そこにディードがその場でストンプして起こした巨大な熱波が届き、瞬間移動中の身体を捉えて怯ませる。

「焼き尽くす!」

 ディードは力を溜めつつ竜化し、ハチドリの怯みが続く一瞬に闘気を爆裂させる。衝撃波に続いて凄烈な熱波が轟き、衝撃波を耐えてから熱波を切り裂き、ディードは竜化を解きながら真炎の巨腕を復活させ、斬閃を破壊しながら突進してくる。籠手から火薬を撒き、ディードの両腕による交差攻撃を火薬へと転じて躱し、爆発させて後退し、異形の刀に怨愛の炎を宿してリーチを増強して薙ぎ払う。しかし平然と右巨腕に受け止められ、素早い反撃の左巨腕を振り返し、爆発して飛び上がって躱し、そこに頭部だけを長虫へと竜化させ、巨大な口で噛み付く。ハチドリは咄嗟に余燼へと竜化し、同時に両翼を振り抜いて衝撃波を起こして噛み付きを弾き、ディードは頭部を戻して竜化し、飛び上がって両腕で余燼を挟み込もうとするが、余燼は竜化を解いて躱し、懐に落ちてから再び竜化して、融合竜化の巨体で押し返し、両者同時竜化を解いてハチドリは鋼を帯びた右拳を放ち、ディードがそれを左拳で迎え撃つ。

「私の拳を受け止めるヤツが居る……それだけで、どれだけ満たされることかッ!」

「でもまだ……あなたの拳を砕くには足りない……!」

 お互いの拳が弾かれ、瞬間に次の拳を繰り出す。それを繰り返して、猛烈な拳突の連打の応酬が繰り広げられる。

「あはははっ!見える、見えるわ!最後の力が、私とアンタの最奥に眠る、極限の闘争本能が!」

「ふふ……!もうこれ以上の戦いなんてない……ならば!ここでありったけをぶち込む、だけです!」

 ハチドリの左拳とディードの右拳が激突し合い、強く弾かれる。そしてハチドリが左拳を握り締めて火薬を爆発させ、続くディードの左拳を右肩に掠らせながらこちらの左拳で腹を強打し、打面を爆発させて吹き飛ばす。両者は降り立ち、ディードは腹から煙を上げながらも構え直す。ディードは真炎の巨腕を召喚し、超高速のスライド移動から右巨腕を薙ぎ払う。分身を盾とした瞬間移動で下がりつつ躱すと、ディードは迷いなく踏み込んで左巨腕で薙ぎ払う。それも同じように躱された瞬間、両巨腕を自身の頭上で合わせ、ドリルのように高速で回転しながらハチドリへ突っ込む。異形の刀で往なしつつ向き直って構えると、回転を止めて着地したディードが巨腕を高速回転させながら射出し、それを二回連続でスライドして躱したハチドリの間近に瞬間移動し、竜化して瞬間的に闘気を爆散させる。籠手から大爆発を解放して相殺しつつ、竜化を解いたディードが飛び退く。

「まだまだ行くわよ!」

 真炎の巨腕を再び召喚し、ハチドリも応じるように怨愛の炎で同じような巨腕を生み出す。同時に踏み込み巨腕それぞれが組み合い、壮絶な膂力を込めて押し合う。完全に拮抗したそれらが爆発し、後退した瞬間にディードが再び巨腕を召喚して合わせ、高速回転させながら射出する。ハチドリは右手を左手に添え、籠手の内部を燃焼させて大爆発を起こして熱線を放って迎え撃つ。爆風の影から巨腕が大量に降り注ぎ、ハチドリは赤黒い太刀を抜いて帯電させてから投げつけ、巨大な紅雷が降り注いで巨腕を破壊する。ハチドリは即座に飛び出して蒼い太刀を抜きつつ、刀身に怨愛の炎を宿してディードまで急接近し、左手から火薬を撒き散らしながら舞うような連撃を繰り出す。強力なリーチと弾ける爆炎によって微小なダメージを与えるも、ディードはその猛攻すら平然と受けて構え、右腕を振り抜いてハチドリの動作を強制的に中断させ、更に猛烈な真炎で煽って空中に飛ばす。だがハチドリは空中で赤黒い太刀へ持ち替え、帯電したままのそれで一閃しつつ着地し、防御したディードの左巨腕を貫通しつつ本人へ電撃を叩き込み、太刀を脇差に持ち替えてから異形の刀へ変身させ、大きく翻って振り抜く。自由に振れる右腕で防御し、まるで鍔迫り合いのように鎬を削る。渾身の力で右腕を押し上げ、即座に腹を切り裂きながら擦り抜け、振り返る。

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