或る物語の終焉:Phase4「戻らずの火」
「
再び竜化した彼女の身体は、竜人形態に酷似していつつも、より鋭利な甲殻と爪によって装飾され真炎で象られた一対の翼を携えている。
「ハチドリ、アンタも全力で応えなさい!」
「……!」
余燼は翼で自身を覆う。
「旦那様、私に力を……!」
爆炎とともに変身し、黒鋼との融合竜化形態となる。
「私の生は今日この瞬間のためにあった!愛とか暴力とか、強ければそんなもんはどうでもいいわ!ただ純粋に、全てを極めた力の激突……それこそが、求めていたものだから!」
ディードは縦回転して突っ込み、余燼は回避からの分身たちとともに高速で体当たりをぶつけ、両翼を振り抜いて連続で大爆発させる。攻撃を受けつつも怯まず、ディードは右腕を振り上げ、真炎の爪を伴って切り裂き、左腕を振り抜いて爪をぶつけつつ尾も叩きつけて攻撃を重ねる。更にその瞬間に闘気を爆散させて追撃し、同じように闘気を爆散させて相殺し、その後隙に強烈な手刀を受けて怯まされ、掲げた左人差し指から生じる絶大な闘気が急速に拡大し、容赦なく直撃させて押し込み吹き飛ばす。僅かな力みから追って突進が放たれ、迎え撃つように突進すると激突した瞬間に粉砕され、突き飛ばしからの全方向に極大火球を出鱈目に撃ち放つ。
「(これほどの力をあの時は隠し、片手間に私とソムニウム殿を打ち破った……でも、今は違う!)」
余燼は受け身を取り、大量に放った細身の光線によって火球を破砕し、右手に宿した自らの火球を握り潰して炎を纏い、ドリル状の闘気を生じさせながら突進する。
「〈ギガマキシマムドライバー〉!」
「アハッ!いいわね!それじゃこれからは技名を叫んでもっと激しく楽しく、ねえ!」
ディードは再び短く力み、突進する。
「〈ドラゴニックペネトレイト〉!」
両者の力が激しく衝突し、短く競り合って相殺する。先に余燼が動き出し、右手による斬りつけから両腕で連打し、もう一度右手で激しく斬りつけ、両手の合間で一瞬で凝縮した闘気を解き放つ。
「〈天覇烈葬〉!」
「〈アイアンニューオーダー〉!」
怯んだ瞬間でも構わず、ディードは強引に姿勢を戻して、同じく手に闘気を凝縮させて迎え撃ち、大爆発を引き起こしてお互いに吹き飛ぶ。余燼は右手に巨大な異形の刀を呼び出し、両手で握って突っ込む。
「〈プライマル・アンティクトン〉!」
「そうそう!最終決戦はこうでなくちゃ!」
ディードは自身の右手を巨大な刃とし、応じて突進する。
「〈オリジナル・クライシス〉!」
両者の得物が激突し、炎の刃を砕いて異形の刀が切り返し、ディードを吹き飛ばす。余燼は刀を消し、自身の周囲に巨大な光の柱を幾つも生み出す。
「王龍式!」
「これでこそ風情があるというものよ!真剣極まる激戦であろうと、武を極める死闘であろうと……最後に残るのは!ただこうやって……純粋に勝負に興じる気概よッ!」
「〈
「〈メビウス・リベレーション〉!」
超特大の火球が放たれ、そこに光の柱が刺さり、閃光を解放して拮抗する。ディードは大量の熱線を繰り出して翻り、大火球を撃ち込んでくる。余燼は高速で空中を滑りながら双方を避け、その端で二人の先ほどの攻撃が大爆発を起こす。再びディードが縦回転で突っ込んできて、躱したところに闘気を爆散させて追撃し、さらなる回避からの大量の分身とともに体当たりで反撃し、両翼を振り抜いて大爆発を連続させつつ飛び退く。
「〈
口元から宝石のような雫を吐き出す。
「いいわねそれ!その技、貰うわ!」
ディードも全身から闘気を発し、それを一気に凝縮して雫にし、投げつける。
「〈ゼロフレア〉!」
二つの雫は激突ではなく静かに混じり合い、そして凄絶極まる超大爆発を起こして周囲の景色を極彩色に変えていく。余燼は間髪入れずに巨大なブラックホールを上空に作り出し、そこから巨大な紅雷を落とす。
「王龍式!〈アンセストラル・インソムニア〉!」
「〈アルテマブレイド〉!」
ディードが右手を掲げ、掌から極大の光線を撃ち放って迎撃し、即座に両手を合わせて水平に突き出し、掌からより威力を増して極太の光線を放つ。余燼の軽い回避からの急接近によって行動を中止し、そして両者は両手を掴み合って競り合う。
「いいですね、これ……!」
「そうでしょ?何の横槍もない、最強に最も近づいた私たちだけの特権……最ッ高でしょ!?」
「ええ、ええ、はい!」
右手の戒めを解いて拳を鼻面に叩き込み、あちらの右手で放られて瞬間移動から右腕の一閃をぶつけられ、左、右と交互に受けた後、同時の振り下ろしを受けて更に傷を負う。
「まだまだ……!」
余燼は一気に距離を引き離し、大量の魔法陣を重ねて呼び起こす。
「王龍式!〈エヴォリューショナル・ワールプール〉!」
口から極彩色の螺旋光線を撃ち出し、ディードも同様に最大火力の熱線を撃ち返してくる。
「〈ミストルテイン・ソムヌス〉!」
着弾の爆風の影から同時に突っ込み、先にディードが右腕を振るう。左脛で往なし、翻って尻尾を脳天に打ち付け、だが左腕の一撃を受けてよろけさせられ、今度はあちらが翻っての裏拳を叩き込み、大きく振り被って右腕を振り下ろす。真炎の斬撃を受け、その進むままに押し込められる。
「〈ディクタトル・フランベ〉!」
ディードの威勢の良い掛け声とともに、どす黒い怨愛の炎が滝のように連続で余燼へ降り注ぐ。
「王龍式!〈
紫光を帯びた強靭な冷気を迸らせて怨愛の炎を凍てつかせ、重ねて放った闘気の衝撃波で破砕し、紫光をディードへ届かせる。表皮に触れた瞬間に猛烈に侵食し、だが彼女から迸る闘気によって瞬時に焼き尽くされる。
「本当に最後のお楽しみの前に、やりたいことは全部やらせてもらうわ!」
ディードは自身を真炎の盾で覆い尽くし、加速度的に力を高めていく。
「楽しいわね、本当に……鍛え上げた自分の実力を、等しいか、越えてくるような相手に全て曝け出す……自分がもっと弱かったら、なんて何度も考えたわ、何度も、何度もね……」
「ディード殿……」
「だってそうは思わない?周りが誰が強い、誰が弱いなんて話をしているのに、私は話をする前から蚊帳の外。冷やかしで挑みに来る暇な奴すら居なかったのよ。特にバロン、あいつには心底失望したわ」
「……」
「でもこうして、置き土産のアンタが私に人生最高の時間をくれてるんだから感謝しないとね?」
「その通りです……全ては、旦那様のために!あなたを討ち、私が最強になる!」
真炎の盾から巨大な斬撃が輪を描いて飛び、余燼は瞬間移動で躱しながら接近していく。大量の熱線で牽制しつつ、偏差射撃のように大火球を連射し、余燼は無数の分身に分かれて消え、分身とともに真炎の盾に一気に突撃して攻撃し、本体が目前に現れて両翼を一閃して大爆発させ、急上昇からの急降下で一気に爆裂させて追撃し、右腕の一閃から凝縮した闘気を弾けさせて猛攻を仕掛け、真炎の盾が反撃を繰り出してくる。それを潰すように闘気を爆裂させて後退し、そこから全身全霊の熱線を解放し、真炎の盾を捻じ曲げて貫通せんと燃え滾る。撃ち切った瞬間の大爆発で盾を粉砕すると、ディードは溜めきった真炎を解き放つ。極太の熱線が血管のように空間に伸び切り、絶類な力が全てを焼き尽くす。余燼は同じように怨愛の炎で盾を作って防ぎつつ、両腕を怨愛の炎で包みこんで灼熱の大火球を生成する。左の大火球を投げつけ爆発させ、そこに右の大火球を接近からの直接押し当てて追加で大爆発させ、両者が同時に動作を中断して吹き飛び、落下していく。
「さあて、いよいよかしらね……?」
「(旦那様、奥様……私は、あなたたちのために……何より、私自身のために……!)」
涯なく落下していき、やがて翻って虚空に着地する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます