キャラ紹介:アウル・クロダ

 エラン・ヴィタール 屋敷

「……」

 バロンが執務室のデスクについていた。デスクを隔てた向こうでは、アウルがイーリスのデザインしたドレスを試着していた。

「……アウルは……」

 心底楽しそうにドレスの着心地を確かめているアウルは、ちらちらとバロンへ視線を送る。傍に居たイーリスが少し離れると、アウルはデスクに寄りかかってバロンを見つめる。

「どうでしょうか、私のバロン?似合って……いますか?」

「……もちろん。美しいよ」

「ふふふ……」

 アウルは非常に満足そうにデスクから離れ、イーリスの方を向く。

「こちら気に入りました。流石、私のバロンが見初めただけはありますね」

「うふふ、そうかしら?バロンのパートナーにそう言ってもらえると箔が付くわね」

 アウルの反応にイーリスは頷きで返し、それを見ていたバロンの横にライズがしゃがんで現れる。そして肘で彼を小突き、小さい声で話しかけてくる。

「……」

「昔から思っててんけどさ、お嫁ちゃんってちょっと性格悪くない?」

「……」

「だってバロンちゃん呼ぶときにわざわざ私のって言うとかさ……」

 デスクの影に隠れていたライズの頭上に光の刃が構えられ、アウルが二人の方を向いている。

「聞こえていますよ。微塵切りにしてあげましょうか?」

「うひぃなんでもないです!」

 ライズは現れたときと同じように影に溶けて居なくなる。アウルは光の刃を収め、ふっと息を吐く。

「全く……バロンは私が一番で、私はバロンが一番なのですから所有権を主張して当然でしょう……ねえ、私のバロン?」

「……君の思うようにしてくれ」

 一連の流れを定位置で目を伏せて聞いていたシマエナガは、静かに心の内で

「(マスターの態度にも問題があるのでは?)」

 と思うのだった。

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