キャラ紹介:ホオジロ
エラン・ヴィタール 屋敷
「スズメ」
屋根の上で風に揺られていたスズメの横に、ヤマガラが降り立つ。
「ヤマガラ姉様、首尾はどうでしょう」
「ああ、問題なしだ。今日もここは平和そのものだな。戦争の気配も、危険な野獣の気配もない。不気味なくらい穏やかだ」
「それでいいんですよ、姉様。オリジナルセブンにネストとして仕えていた頃は、世情そのものが荒れすぎていましたから」
「そうだな……鈍らない程度に鍛えているだけで済むのが、一番かもしれないな。そ、それで……ヤツは、今日はどうなんだ……?」
「え?何がですか?」
「いや、わかるだろう。その……」
「ああ!殿は……今日は刀の鍛造をやってる日なので、たぶんゲームとかに誘っても無駄ですよ」
「いや……もういい、自分で情報を集める」
二人が雑談をしていると、ほんの僅かに気配の乱れを感じて、先程までの朗らかとしていた空気が一瞬で引き締まる。
「スズメ……」
「はい……」
屋敷/リビング
「お兄さん、今日はタイマンでツイスターゲームを二時間ほどしませんか?」
「……体格差がありすぎて成立しないような気もするが……」
ドラセナとバロンが二人で雑談をしていると、そこにスズメとヤマガラが現れる。
「殿」
「……ああ。ドラセナ、悪いが部屋に戻ってくれないか。ツイスターゲームは……もちろん、後でやろう」
ドラセナは事態を察して、そそくさと立ち去る。
「……」
バロンは薄く張った闘気で、リビングの入口に居た気配を固めて姿を見破る。
「ッ……」
姿が色付き、レオタードにオーバーサイズのパーカーを合わせたような独特の忍装束のホオジロが姿を現す。
「妹たちを堕としただけはあるようだな……」
ホオジロはバロンの闘気で固められているにも関わらず、鈍いがまだ動けるようだ。
「……」
バロンは臨戦状態を解かないが、ホオジロは彼を正面に捉えると、唐突に武装を解除しだす。
「……何のつもりだ」
「私は戦うつもりでここに来てはない」
跪き、懐から薬包を取り出し両手で捧げる。
「……」
「これは私が調合した……媚薬です。アンレス・ホワイトなどという危険物とは違い、私が素材の収集から一人で行ったものです」
「……ここで使え、と言えば使うか?」
「もちろんです。私は仕えるためにここに来た。スズメやヤマガラでは力不足なこともありましょうが……私ならば、貴方様のご満足頂けるような結果をご用意致しましょう」
ホオジロは躊躇なく、薬包に封入されていた粉末を飲み込む。
「んっ……くっ……わ、私の意志は、届きましたでしょうか……」
効き目のほどは凄まじく、ホオジロはすぐに顔を上気させて、小刻みに荒く息をする。
「……まあ良いだろう」
バロンが彼女へ近づくと、それだけで目を見開いて更に荒く鼻息をする。そしてバロンは片膝を折り、右手でホオジロを上へ向かせて視線を合わせる。
「……歓迎するぞ、ホオジロ。お前が忠誠を誓う限り、僕はお前にやれるだけのことはやろう。まずは……その熱を発散させた方が良いか?」
「お館様……」
「……ちょうど妹たちも見ていることだしな」
その後結局、想像以上に盛り上がったために、ドラセナは自室で待ちぼうけを食らったのだった。
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