キャラ紹介:コクウェ
エラン・ヴィタール 屋敷
「旦那様ーっ!」
ハチドリが慌てた様子でリビングに現れ、ちょうどエリアル、メイヴ、アウルと共にテーブルを囲んでいたバロンを呼ぶ。
「……どうした?またアリシアが何か壊したか?それともフレスが力を込め過ぎてルーズリーフを貫通して机を削ったか。ドラセナがハンドメイドをしくじったか。それか、オオミコトが下らん発明をして他を巻き込んだか」
「違います!母上が!母上が来たんです!」
「……ほう?」
バロンが……他の三人も、割りかし驚いた表情をする。
「そう言えば、まあハチドリにも家族はいるわよねえ」
エリアルがクッキーを一個口に放り込み、アウルが続く。
「それで、お母様はどこに?」
「シマエナガさんに頼んで客間で待機してもらってます!」
「……すぐに会いに行こう。君の母上には、きちんと挨拶をせねば……」
〜数分後〜
客間の扉を開け、バロンとハチドリ、エリアルとアウルが入室する。室内では、ソファで寛ぐ兎耳の……トランジスタグラマーを体現しているような少女と、その近くで直立しているシマエナガが居た。
「……」
バロンが立ち止まり、エリアルとアウルが「え?マジ?」と言わんばかりの表情をしていると、少女が立ち上がって歩み寄ってくる。
「こんにちは〜なのじゃ〜」
「……ああ、こんにちは。あなたがハチドリさんのお母様……ですか」
「その通り〜なのじゃ〜」
間延びした喋り方で、浮遊感のある声色でそう言ってくる。
「……僕の名前はバロンと言います」
「ハチドリちゃんから聞いておるのじゃ〜わたしの名前は、コクウェと言いますじゃ〜」
自己紹介の終わったところで、ハチドリがコクウェの肩を掴んで抗議の声を上げる。
「母上!なんで急に来たんですか!しかもなんでここがわかったんですか!」
「あらあら〜ハチドリちゃんが自分でお手紙に書いてたのじゃよ〜?」
「あれっ、そうでしたっけ?でもでも!アポ無しで来るなんてびっくりするじゃないですか!」
「いやあ〜お手紙の中でハチドリちゃんが凄く楽しそうだったから〜そんな素敵な旦那さんなら〜私も娶ってもらおうと思って〜」
その言葉にバロンが硬直し、エリアルに視線を送る。すると彼女は近寄って、小さな声で返してくる。
「獣耳人類はオスに分化できるけど、オス化した獣耳人類は急激に寿命が縮まるの。恐らくは、空の器の待つ楽園に辿り着く前に滅亡しないためのフェイルセーフだから、そういう風になってるんでしょうね」
「……なるほど、あの嫌々やったサバトには、オス化した獣耳人類を最大限使い潰すという意味もあったわけだ」
「ええ、まあ、考察は程々にね」
エリアルが離れ、バロンが注意を戻すと、ハチドリとコクウェが二人で彼を見上げてきていた。
「旦那様!母上もここで暮らしたいと言うことなんですが……いい、でしょうか……?」
「うふふ〜家事と手先仕事は得意ですのじゃ〜」
「……構わないぞ。今更一人増えたところで変わるまい」
「本当ですか!ありがとうございます!」
ハチドリはコクウェの手を掴みぴょんぴょん飛び跳ねる。
「また……巨乳要員が……」
揺れるコクウェの胸部を眺めて、アウルがやや失意の言葉を吐く。
「ぷっ」
エリアルが笑い、バロンが深く鼻息を一つする。
「……(マドルにアリシア、僕とエリアル、シマエナガくらいの時は静かだったが……すっかり賑やかになってしまった……嗚呼、ニブルヘイムに居た頃が懐かしい……)」
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