☆与太話:濡れそぼつ大蓮華

エラン・ヴィタール 屋敷

「オオミコト殿っ!」

 リビングのテーブルにて無駄に優雅にオオミコトが麦茶を飲んでいると、そこへハチドリが現れ、勢いのまま対面の席につく。

「んー?どうしたのじゃ?」

 マグカップをテーブルへ置き、軽めのゲップをしつつ言葉を返す。

「オオミコト殿のお力の核……濡れそぼつ大蓮華ラティラハスヤのことなのですが!」

「うむ?ああ、ヒトが書いた書物の中に、同じ名前のエロ本が……」

「うぇ!?そうなのですか!?……じゃなくて!あれはどういうものなのでしょう?使っている側としては、正直普通の闘気とさして変わらなく感じるのですが……」

「まあ、戦闘向きではないしの。朕の役目は、愛の全てを知ること。そのためには、たくさんの生命が必要じゃろ?朕の力は生殖や進化、生存に特化して作られておる。まあ要は……ほぼ精子じゃな!」

「えと……それって、私が頂いても良かったのでしょうか……」

「まあまあ、良いじゃろ。どうせヌシはバロンの尻を狙ったりせんのじゃろ?」

「旦那様のお尻ぃ!?狙いませんよ、そんなところ!」

「なら問題なし、常に体力満タンで無限せっくすらいふ、じゃ!」

「うーん……」

「まあ戦闘での使い道を考えるならば、朕の力ほど生命力の維持に特化したシフルエネルギーもあるまい。攻撃に転用したところで思うような戦果は得られぬじゃろうが、ヌシを生かすというところで言えば右に出るものはおらぬぞ?」

「なるほど……確かにそれなら、私が効能に気付かなかったのも納得ですね!」

「そうじゃ!じゃから、この力さえあればあのにっくきバロンのチ◯ポを年単位で苛め続けて先に失神させられるのじゃ!」

「おお!それは確かに生命力が補強されていることを実感しやすいかもしれないですね……!」

 と、そこへ偶然バロンが通りかかり、オオミコトが話題を振る。

「ということじゃぞ、バロン!」

「……何の話だ。ハチドリに変なことを吹き込むなよ」

「何を言うか!朕とハチドリは極めて真面目に性生活の話をじゃな……」

「……………………いやまあ、必要なことだな。何かあったら、遠慮なく僕に言ってくれ」

 そうしてバロンが立ち去る。

「のう、見たか今の?」

 オオミコトがいたずらっぽく笑んでハチドリに視線を向けると、彼女も満面の笑みで返してくる。

「はい!旦那様が『遠慮なく僕に言ってくれ』って言ったら、何してもだいたい許してもらえます!……鍛錬以外で怪我するようなことをすると、物凄く怒られますけど」

「よーし、今夜はこの屋敷の全員で奴を襲撃じゃ!」

 二人は妙に楽しげに、その後も雑談を繰り広げるのだった。

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