与太話:規制されない写真集
「アンタにこれあげるわ」
執務室にていつものようにデスクについていたバロンの下へ、一冊の本が投げ込まれる。遅れて現れたのはメイヴだ。
「……なんだ」
バロンが本を手に取って見ると、表紙には裸体のメイヴの写真がでかでかと飾られていた。
「……写真集?」
「そうよ。レミューリアで定期的に国から発売してる写真集」
「……なるほどな。興味はないが……」
そう言いつつ、バロンは食い入るようにページをめくっていく。
「……」
「まあ、普通なら自分の金で買ってもらうところだけど、アンタだけは特別よ。泣いて感謝なさい」
「……いい尻だ。素晴らしいな。ところで……その、国から発売されてるというのは」
「聞いての通りのことよ。レミューリアではあらゆる性的コンテンツが規制されてるわ。対人、性別問わず、オナホも動物もね。でも、アタシが公式で出してる作品は別なのよ」
「……ほう」
確かにページを進めていくと、裸体のメイヴが煽情的もしくは魅力的なポーズや構図で現れる。
「……これはなんというか……抜けるというよりは芸術の域に到達している気がしないでもないが」
「ふふ、まあアンタの好きなように褒めなさい。つまり、レミューリアの国民は男も女もアタシをオカズにする以外あり得ないのよ」
「……凄いな、割れ目も無修正だ」
「アンタはアタシの体のこと全部知ってるからわかるだろうけど、画像の加工もナシよ」
「……なるほど、まさに公式が最大手と言うわけだ」
「さてと」
メイヴは喋り終わったとばかりにバロンに歩み寄り、写真集を奪ってデスクの上に投げ、体を絡みつかせる。
「誰でも見られるアタシの体、隅々まで確かめたくなったでしょ?」
「……最初からその目的だったんだろう」
「わかっているなら、せいぜい女王を失望させないよう努めなさいな」
「……(誘い受けは人を選ぶからな)」
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