キャラ紹介:ミリアルド・ラファーガ

 絶海都市エウレカ 都庁

 都庁の一室、個別に用意されたホテルの客室のような場所で、茶色の長髪の幼女が机についていた。

「ミリア様」

 その傍で立っていたシマエナガが言葉を投げかける。ミリアと呼ばれたその幼女は優し気な笑みをそちらへ向ける。

「どうしました、シマエナガ」

「マスターがお呼びです」

「え、お兄さ……陛下が?」

 ミリアは机の上に広げていた分厚い本を畳み、椅子から離れる。ミリアは肩を惜しげもなく露出したワンピースのような装束で、清楚で落ち着いた雰囲気を纏っていた。

「陛下がお呼びとあらば、すぐに参りましょう」

「はっ」

 二人は個室を後にし、執務室へ向かう。


 都庁 執務室

「……来たか」

 バロンはデスクについて、窓から外を見ていた。二人がデスクの前まで来ると、そちらへ向き直る。

「陛下、ご機嫌麗しゅう」

 ミリアが畏まって挨拶すると、バロンは微笑む。

「そう硬くならなくてもいい。僕とシマエナガしか周りにいないからな」

「ですが……私もラファーガの族長の娘。陛下との友好の証と言う役目を担っている以上は、あまりフランクに接するわけには……」

「……わかった。シマエナガ、しばらく二人にしてくれ」

 バロンが告げると、シマエナガは軽く会釈をして退室する。

「……これでいいだろう」

「でも、陛下――」

「……二人の時は」

「お兄様。もちろん、私から言い出したことではありますが……その、日が昇っている内からこういうことは余り」

「……待て、話が読めん」

 バロンの反応に、ミリアはきょとんとする。

「え?お兄様がわざわざ私をここへ呼んで、秘書の方も居ないのでてっきり……ち、違うのですか?」

「……ははっ、そうか。そういうつもりではなかったが……まあ、本題に入る前にしてもいいかもな?」

 ミリアは顔を赤らめ、すぐに言葉を返す。

「からかうのはやめてください、お兄様!私だけ乗り気だったみたいで恥ずかしいですから……」

「……いやいや、我が義妹は性欲が旺盛で素晴らしいと思うぞ、僕はな」

「そ、そんな風な言い回しはお止め下さい……まるで私が淫乱のようではありませんか」

「……今ここでしようと言ったら、お前はどうだ」

「えと……」

 ミリアは言い淀み、想像が先行したのか目線を逸らす。

「……わかった。では本題に入ろうか」

「えっ……」

 顔を上げると、ミリアは明らかに困惑した表情をする。

「お兄様……お兄様も、妹に恥をかかせたままでは気分が悪いでしょう……?」

「……ああ、そう来るか。なるほどな……」

 執務室のすぐ前で待機していたシマエナガは、室内から漏れる音をしばらく楽しんだという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る