エンドレスロール:フレス・ベルグ

 エンドレスロール エラン・ヴィタール 最深部草原

 屋敷のすぐ前に広がる草原にて、バロンとステージ衣装のフレスが相対していた。

「手合わせしたい、ってことだけど」

 フレスが体をほぐしながら問う。

「……ああ。お前の技に興味が出てきてな」

「あたしに興味……!?」

「……?」

 フレスは都合のいい部分しか聞こえていないのか、なぜか顔を赤らめる。

「も、もしかしてあんたこれ……手合わせって言う名目で二人っきりにして、技を掛け合うどさくさに紛れてエッチなことしようとしてるんじゃ……!」

「……待て、どうしてそうなる」

「なるほどね、急にあたしをここに呼びだしたのも、あんたが青姦したいから……!それなら納得がいくわ!悪いけど、負けるつもりないから!」

「……まあいい、闘志に火が付いたならそれで」

 フレスは身を屈め、一気に伸ばして飛び込みつつ一回転して踵落としを繰り出す。バロンが軽く往なすと、姿勢を正しつつ身を翻して裏拳を当て、動作の軽さと比例しない衝撃によってバロンの動作を鈍らせ、それを見てから連続で拳を当てていく。四段目を当て、五段目を振り被ってから動作をキャンセルし、螺旋状の闘気を発しながらアッパーを繰り出す。だが流石に動作がわかりやすかったのか、バロンはアッパーに合わせて強く防御を解除して怯ませ、左手を突き出して圧縮した闘気を発し、フレスは防御しつつ後退する。

「……悪くないな」

「そりゃどうもね。元々強いんだし、アリシアの隷王龍になってからは更に体が軽いわ」

「……もう少し技を見せてくれ」

「もちろんそうさせてもらうわ。あたしの貞操を守るために!」

「……そこまで煽られると、そういう趣向でもいい気がしてきたが……戦いを穢すことだけは選べないな」

 フレスが右腕を突き出し、それを左手で支える。

「行くわよ!目ん玉かっぴらいて拝みなさい!」

 空から降ってきたのは、シフルエネルギーで象られた無数の武器だった。

「……なるほど」

 フレスは構え直し、小さな跳躍から平行移動で膝蹴りを繰り出す。それに武器が伴い、弾くバロンの拳の上からそれらの衝撃が追加でダメージを与え、同時に隙を潰す。着地したフレスは地面を叩き、衝撃に合わせて地面から槍が突き出る。飛びながら回し蹴りを踵の方から繰り出し、遅れて当たる斧の重い一撃が更にバロンを硬直させる。至近距離で闘気弾を叩き込んで視界を潰し、強く踏み込んで右正拳を腹に極め、左手から凄まじい威力の闘気を爆裂させ、その反動で左拳を構え直し、再び左拳で地面を叩いて強烈なシフルエネルギーを噴出させて追撃する。

「いくわよッ!」

 呼び出した様々な種類の武器を伴う猛打を叩き込み、止めに螺旋状の特大闘気弾を撃ち込み――重ねて螺旋状の衝撃を帯びながらアッパーを加えて打ち上げ、最高点から掲げた右人差し指の先に生成した巨大な闘気弾を向ける。大爆発と共に両者の視界が完全に潰れ、フレスは着地する。

「どうよ!流石にあんたでもこれは……」

「……確かに、これだけのパワーがあれば並みの獣耳人類など相手にならないな」

 土煙が晴れ、無傷のバロンが現れる。

「うっそ……ぉ!?」

「……もっと楽しみたいところだ。技量は十分、足りないのは威力だけか……」

「今ので威力不足とか……あんたどんな環境で戦ってんのよ!?」

「……どうだ、今のような攻撃をもっと見せてくれないか」

「こうやって全力で攻撃させて、へとへとになったところを襲おうって魂胆でしょ!その手には乗らないわ!」

「……全く。だが無理をさせるのが良くないのも確かだ。休憩しようか」

「え……ちょっと!ここはあんたが襲ってあたしが抵抗するけどあんたの方が腕力あるから強引に抑え込んで嫌がる私に快楽を叩き込むところでしょ!?」

 喚くフレスの抗議を一切聞き入れず、バロンは屋敷へ歩いていく。

「ちょっとー!あんたが先に誘ってきたんだから責任取りなさいよーっ!」

 フレスも彼についていくのだった。

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