エンドレスロール:肌寒い季節
エンドレスロール セレスティアル・アーク
「好き、好き、好き」
ハルが一輪の花を持って、花弁を千切る。そこに明人がやってくる。
「よう、何してんだ?」
「あ、だぁ……花占い、した。ハル、こうした。好き、好き、好き……」
「あー、そういうのは好き、嫌いってやるもんだぜ?そうじゃないと占えないだろ?」
「だぁ……」
ハルは明人を見上げる。
「私、ちょーじょなの。だから、みんなよりだぁを独占する、したいの」
「ははっ、じゃあもっとハルがエロエロになったら俺は夢中になっちゃうかもなあ」
「えろえろ……」
ハルは花を捨て、明人に抱き着く。
「おほぉ、股間にk……」
明人が下心を微塵も隠さずににやけると、ハルは笑う。
「えへへ、だぁと楽しいこと、したい……!まぁに怒られていいから、したい……!」
二人が融合し、凄まじい力が膨れ上がっていく。
セレスティアル・アーク 屋上庭園
ハルは副腕を備えた超大型四足竜となっており、嬉しそうに咆哮を轟かす。
「アリアちゃん!」
燐花が鎧姿で駆け寄ると、そこにはアシストスーツに身を包んだアリアがいた。
「燐花ちゃん、準備オッケーなのです?」
「もちろんです。ハルが明人くんを攫ったと聞いて、戦える人の中で動ける人を集めてきました!」
燐花の後ろには、フルアーマーのニルとアルファリアがいた。
「ボーマンの母上がご乱心なされるとは……」
「全く困った同志よな。後でしっかり灸を据えてやらねばな」
二人も臨戦態勢に入り、燐花は旗槍を、アリアは高周波ブレードをそれぞれ構える。
「ハル―!明人くんを解放して元の姿に戻るのですよー!今ならまだ、ちょっとだけお説教で許してあげるのですー!」
アリアが呼びかけると、ハルは四人を正面に捉え、言葉を返す。
「めえ。だぁを独り占めする、こうじゃないと出来ない。まぁとか、みんなと一緒にだぁとぬぷぬぷする、楽しい。でも、だぁは私に全部出してくれない」
「それはみんな同じなのですよー!」
「やだー!いもうとよりちょーじょが偉いもん!」
ハルは身悶え、口から不規則に明滅する大火球を繰り出す。少し浮遊した後落下し、強烈な爆発を起こす。
「お任せを!」
ニルが飛び出し、盾で爆風を受ける。その影からアリアが飛び出し、空間を時間で固めて足場とし、ものすごい速度で飛び継いで急接近する。
「めえ!」
ハルが左副腕で空中を薙ぎ払い、アリアはブレードを副腕の甲に刺して飛びつき、ハルがそちらに気を取られた瞬間に、アルファリアが大量の火柱を生み出してハルを押し潰し、続けて彼女の顔面近くで冷気を爆発させ、更に両手から真雷を放って拘束する。
「んふぅ……だぁの手とびりびりで気持ちぃ……!」
ハルが嬌声を上げて悶え、燐花が少し怪訝な顔をする。
「え……ちょっと何してるんでしょう、あれは……」
困惑する燐花にニルが並ぶ。
「まあまあ燐花殿。父上の魔性に狂ってしまうのは、我々にはいつものことです、そうでしょう」
「それはそうなんですけどね……まあいいです。ハルから明人くんを取り戻して、ハルにはアリアちゃんから折檻してもらいましょう」
「罰はともかく……父上を独占するのはよくないことですのでね」
二人は飛び出し、副腕から離されたアリアに代わって前線へ進む。真雷の拘束を受けたまま、ハルは右副腕を大きく振りかぶって叩きつける。前方に粘ついた黒炎が湧き出し爆発する。それを敢えて真正面で受けて耐え、燐花は地面に直線状に怨愛の炎を飛ばす。更に鎧から爆炎を噴射して急加速し、左副腕による薙ぎ払いを急上昇で躱し、再加速して旗槍を左副腕の甲に突き刺し、そのまま地面に縫い付ける。そして刺さったままのブレードを掴み、前腕部まで切り裂いて飛び上がり、一閃して切断する。そのままアリアの下まで戻り、飛んできた旗槍を掴み、ブレードをアリアに手渡す。ニルが続けて空中で肉薄し、大剣を振り被る。刀身が宇宙の淵源を示すがごとき蒼光に染まり、目にも止まらぬ十字斬りを放つ。絶大な威力を誇るそれの直撃を受けたハルの頭部が吹き飛び、竜の体が瓦解する。四人が臨戦態勢を解いて見ると、気絶している明人の色んなところに体を絡めて舐め回しているハルがいた。
「終わっちゃった」
ハルがしょんぼりした顔でアリアに視線を向ける。
「ちゃんとお説教なのですよ、ハル!」
アリアはハルを明人から引き剥がし、そのまま連れ去っていく。
「うええ~許してぇ~」
気の抜けた悲鳴を上げながら、二人は階段を降りて行った。
「全く……我は大損なのじゃが?こんなことなら、今朝の役目は我がやっていればよかったな」
文句を言うアルファリアに、燐花が続く。
「まあまあ。戦闘能力が担保できる人が動けて良かったです。それに……」
燐花が視線を向け、アルファリアも従う。前方から明人を抱えたニルが歩み寄ってきており、ちょうど二人の前で止まる。
「父上は……」
明人はなぜか裸体で、ハルの体液であろう粘液でじっとりとしていた。
「まずは風呂に行きましょうか」
ニルの言葉に、二人は頷いた。
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