キャラ紹介:三大熾天使

 渾の社

「……」

「……」

「……」

「……」

 赤布の掛けられた木製のテーブルについていたのは、四人の女性たちだった。一人は人間体のソムニウムで、残る三人はそれぞれ紅く長い爪を備えた籠手を身に着けた金髪赤目で、尖った耳を持ち、異常に際どい衣装を纏った幼女と、金の瞳で桃色のサイドバングが溢れており、獣耳が生やし、着崩した和服のような、独特の衣装に身を包んだ幼女、白い教団服のような装束に身を包んだ、淡い長髪を靡かせる中々の巨乳の女性。

「なんで全員黙ってんだよ」

 女性がそう言うと、ソムニウムが返してくる。

「初対面だから」

「嘘つけ。……まあいい。じゃあ自己紹介すりゃいいってわけか?」

「その通り」

「俺の名前はガープ。またの名をツァバト……」

 ガープは立ち上がり、装束を脱ぎ捨てる。そうして顕現したのは彼女の裸体ではなく、紅い骨の鎧のごとき威容を示す魔人だった。

「熾天使の内の一機だぜ」

 その流れで、金髪の幼女が頷きつつ立ち上がる。

「我が名はベリアル。またの名を……」

 彼女の体が光に包まれ、急速に巨大化していく。天に浮かびあがり、光を破ると、巨大な眼球を模した何かが浮遊している。

「シャダイ。ボーラスを模し、生み出された、生命の王である」

 ベリアルは幼女の姿に戻って着地し、再び着席する。

「最後は私か」

 桃髪の幼女が立ち上がり、彼女も光に包まれる。現れたのは、ガープの変身体と同程度の大きさの、虎の顔面が胸に配された筋骨隆々の獣人だった。真白く、所々に金の装飾が成されている。

「我が名はアスモデウス。もしくはエロヒムと呼ぶがいい。ラドゥエリアルの命に従い、お前の同志となった」

 アスモデウスが姿を戻し、ソムニウムが頷く。

「わかった。ひとつ聞きたいんだけど」

「なんだ」

「なんで女の子の姿してたの」

「それは私が説明してやろう」

 灰色の蝶がテーブルに着地し、ソムニウムはそちらへ視線を向ける。

「極楽浄土で活動するためだ。気配を消したりあちらの認知能力や脳内を書き換えてもいいが、なるべくなら自然に溶け込んだ方が面倒が少ないだろう」

「なるほどね」

「まあ、これを言ってしまうとなぜお前と私は最初から人間の姿を持っていたのか少々疑問になるが……」

「いいんじゃない。あなたはほっぺがもちもちだから」

「……」

 蝶の沈黙を以て、またしばらく静寂が続いたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る