キャラ紹介:ボーマン

 セレスティアル・アーク

「ふう……」

 両目を伏せた、天女のような装束の女性がロッキングチェアに座していた。ゆらゆらと規則的に揺れながら微睡んでいると、そこへ明人が現れる。

「よっ、ボーマン。何してんだ?」

 彼が気さくに話しかけると、女性ボーマンは揺れるのを止めてそちらへ意識を向ける。目は開かずに。背筋を正すと、彼女の身長が異様に高いのがわかる。

「じぃ……おっと、おじい様、何用でしょう」

「ん?いや、俺はメランを探してたんだけどさ。一発抜きたかったし」

「そうですか……私はおじい様より身長が高い都合、タイシャンやゲルンのようにおじい様を慰めては差し上げられませんが……ふふ、もしおじい様が、おばあ様たちでは摂取できない何かをこのボーマンに見出したのなら、どのような辱めであろうと、甘受いたしましょう」

「おう、ありがとな。……ナルドアとかローリエもこれくらい優しかったら楽なんだけどなぁ」

「ローリエ枢機卿は……そうですね、燐花さんも言及いたしませんし、マレさんとおじい様が仲良くしているところを見ているので……おじい様には殊更強く当たっているのかもしれません」

「まあそうだよな……」

 明人は近くに置いてあったコンテナ様の箱を椅子代わりに腰かける。

「ナルドアにはこちらから話をつけておきましょうか?」

「いや、別に無理してそういうことしなくてもい――」

「それとも」

 ボーマンの声が少し下がり、迫力が籠る。

「楽園に相応しい頭に変えてしまいましょうか。ローリエ枢機卿はともかくとしても、ナルドアがおじい様を毛嫌いしているのは、私やニル、おばあ様も危惧していたことなので」

「うーん、なるほど……」

「それにおじい様は、生意気な子を強引に捻じ伏せるのが大好きでしょう?今度二人でナルドアを調教してみましょう」

「おっ、いいなそれ」

 下卑た笑みを浮かべた明人の感情を読み取ったのか、ボーマンは優しく微笑む。

「それから、ニルにも欲情して差し上げてくださいね。彼女、事あるごとに私に相談してくるのです……『父上を何気ない感じで寝室に誘うにはどうしたらいいのだろう……』と」

「そんなん言っとったんかい。じゃあ今日はニルにすっかぁ……」

「ふふっ、お手柔らかに……。ニルはああ見えて生娘ですから、普段皆にしているように、気絶しても容赦なく……なんてことを最初からなさらぬように、ね?」

「わかっとおっちゃ、そんくらい」

 明人がおどけて見せると、ボーマンは口端を緩めて、再びチェアに身を預ける。

「しかし楽園とは、本当に心地が良いものですね……誰も彼もからおじい様の精液の臭いが漂い……日常を楽しんでいるように見えて、頭の中はセックスのことばかり……美しい、これが完璧なる世界……ですよね、おじい様?」

 明人は聞こえなかったというように首を傾げる。

「ふふ……ナルドアはもちろんですが……ローリエもおじい様の便器になって……ああ、なんて素晴らしい、極楽浄土……」

 ボーマンが独り言を呟き、なぜか明人にそれは聞こえていなかった。

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