☆エンドレスロール:怨愛の修羅
エンドレスロール 戦場
どこか、戦乱の激しい土地。ルナリスフィリアの内部で繰り広げられる無限の闘争の最中に発生した、戦場。赫々たる焔が大地を覆い、戦っていたと思しき二つの勢力の兵士と兵器は、全て破壊されていた。焔の中心に立っていたのは、片角の鬼……もとい、怨愛の炎を滾らせたハチドリだった。
「……」
ハチドリは壊滅した戦場を見て、貼り付けた薄ら笑いのまま佇んでいる。近づいてくる強大な覇気を察し、より明るい笑顔を見せる。焔の向こうから現れたのは、見間違いようのないバロンの姿だった。
「旦那様……」
「……僕の言いつけを守っているようだな」
ハチドリは返事代わりに六連装の銃撃を繰り出し、燃焼する鋼の銃弾はバロンの表皮に突き刺さり、爆発する。
「……その程度で貫けるとでも」
「本物の旦那様……」
六連装を収め、脇差の刀身に宿っていた怨愛の炎が勢いを増す。それに呼応し、戦場のあちこちで炎上し続ける怨愛の炎も激しさを急激に増す。
「言葉は無用。旦那様、楽しく斬り合いましょう」
ハチドリが左足を強く踏み込み、逆手に持った脇差を振り抜いて熱波を飛ばす。続いて納刀しつつ身を翻して抜刀し、真空刃でバロンを正確に狙う。だがバロンは超光速で背後を取り、拳を振るう。だがハチドリは分身を残して回避し、現れて二連斬り――ではなく、一旦力を溜めてフェイント紛いの構えを取り、バロンの拳を空かしてから舞うように連続で切りつけ、最後に強く一閃し、後隙を潰すように分身を残して姿を消す。バロンの恐るべき速度の反撃の拳さえ往なすほどの挙動を以て一連の行動を終え、ハチドリは一旦距離を取って姿を現す。
「……素晴らしいな。僕の子供をここまで育て上げるとは」
「子供……」
ハチドリは何も連想できないとばかりに呆けた表情をする。
「……いや、気にしなくていい。行くぞ」
その言葉に従い、ハチドリは瞬間移動からの舞うように連撃を繰り出し、飛び退きながら六連装をフルバーストし、分身を使って即座に着地しつつ左手から火薬を撒き散らし、脇差を振り抜くと同時に着火させて薙ぎ払う。爆炎の向こうから拳が飛んできてハチドリは咄嗟に防御し、強烈な衝撃を受けて大きく体勢を崩して後退する。そこへ重ねて闘気の波動が放たれ、ハチドリは更に大きく吹き飛ばされる。だが取り乱すことなく、優雅に受け身を取って着地する。そして即座に六連装を撃ち放し、弾速と同等の速度で接近し、一度目に強く弾く。それで虚を衝かれたバロンは守りが極僅かに手薄になり、そこから舞うような連撃を繰り出し、火薬を巻きつつ強力な二連斬りで上昇しつつ、分身を残して即座に着地すると同時に脇差を怨愛の炎で延長し、左半身を引いてから横、縦と渾身の力で薙ぎ払う。だがバロンの左手に掴まれ、激しい火花を散らす。
「……ぬうっ……!」
「旦那様……」
なんとハチドリはバロンの膂力を上回る力でその戒めを脱し、強烈な切り返しで体勢を崩させる。流れるような動作で右腕に飛びかかり、筋を切り裂き、肩口を絶ち、背後に回ってから背を貫く。
「……いいぞ……それでこそだ……」
脇差を抜くと同時にバロンは正面へ倒れ、消滅する。姿勢を戻し、直立したままのハチドリは、返り血を浴びて真紅に染まっていた。
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