キャラ紹介:クリジナ・フィーネ
グランシデア王国 セミラム・グラナディア城
赤い絨毯が敷かれた西洋風の廊下、左側には部屋部屋の扉が、右側には大きなガラスが並んでおり、朧げな朝日が射しこんでいる。
さてその最中を、黄金の鎧を纏った騎士と、青い短髪の幼女が並んで歩いていた。
「クリジナ、次の予定はなんだ」
騎士が声を出す。
「次はね、セミラミス様たちと会食だよ、ベルガ様」
「また会食か。下らんな……」
「ベルガ様はご飯食べるの嫌い?」
「好きではない。だが我が嫌っているのはそうだからではなく――王族や政治家がよくやるこの手の馴れ合いが不愉快だからだ」
「じゃあベルガ様は、私がご飯作ったら食べてくれる……?」
クリジナは自身を顧みず黙々と前進するベルガに、頑張って歩調を合わせる。
「要らん。手料理など」
「うん、わかった」
ベルガの乱暴な拒絶に対し、クリジナは一瞬の戸惑いすらなく頷く。
「貴様……」
「なぁに、ベルガ様?」
「なぜ貴様はそこまで愚かなのだ。我にとって貴様は怒りの捌け口以外の使い道などない。なぜ我にここまで尽くせる」
待ってましたとばかりに、彼女は破顔する。
「えへへ……それはね、ベルガ様がカッコいいから、だよ……?」
「なんだと?」
「自分の欲しいもののために、必死に頑張る姿が……とっても、カッコいいから」
「度し難いな……」
それを聞いてなお理解できないと顔をしかめるベルガへ、クリジナは畳みかける。
「ベルガ様がエリアルお姉ちゃんのことをどうしても欲しいみたいに、私もベルガ様の役に、どうしても立ちたいから……♪」
「エリアル……だが、それでもだ。我は貴様のことは微塵も大切になど思っていない」
「ベルガ様が私のことを愛してくれたり、気にかけてくれる必要はないよ。全部私の自己満足、だと思うから……」
「貴様がどれだけ我に貢献しようと、感謝はせんぞ」
その言葉に、クリジナは眩いばかりのはにかみを返す。
「もちろんだよ。ベルガ様が少しでも楽になったり、幸せになってくれるだけで、私は十分だから……えへへ♪」
ベルガはやはり理解できないとばかりに眉間に皺を寄せ、二人は廊下を進んでいくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます