与太話:胸に秘めてない諸事情
セレスティアル・アーク
「ふぅ……」
リビングのテーブルにつき、ランが溜息をつく。小柄……を越えて幼さすら残る体には不釣り合いなほど大きな胸をテーブルに乗せる。
「大丈夫なのです?」
ちょうどリビングを訪れたアリアが、向かい合うように椅子に座る。
「ああ、大丈夫だ。
「ふーん、そうなのです?」
アリアもランと同じように、体に不釣り合いなほどの巨乳をテーブルへ乗せる。なんとなくだが、アリアの方が若干大きく見える。
「その……お前は厄介に感じたことは無いか?」
ランがアリアの胸を指さしながら問う。
「もちろんあるのですよ。肩が凝るし、激しい運動はまずできないし、可愛いブラジャーが殆ど無いのです」
「そうだよなぁ……僕もそうじゃ。他人の視線も気になるところだ」
「ランちゃんはChaos社にいるとき、そういうのは作ってもらわなかったのです?」
「僕の管理は明人がしていたからな。奴がそういうことに気が回るわけがあるまい」
「うーん、確かになのです」
アリアは少し困惑気味に返す。ランは続ける。
「奴ならば、『ノーブラでいいんじゃね?俺が触りやすいようにしててくれよ!』とか言うに決まっている」
「うんうん、想像つくのですよ。だから私、ある方法を考え付いたのです。これさえやれば、どんなに大きなおっぱいでも、サラシもブラジャーも無しに過ごせるのですよ?」
「ほう、それは気になるな。僕が着ているこの服だと、肩口に紐が見えていてな……少々困っていた」
ランが座っている姿勢を直し、傾聴する。
「シフルエネルギーをちょっと使って、おっぱいに浮力を少しだけ与えるのですよ。そうしたら、下着無しでも過ごせるし、急な戦闘にも対応できるのです!」
「ほう、確かに言われてみればそうじゃ」
「これは、私だけじゃなくてアロアちゃんやおばあちゃん、メランさんにも好評なのです」
「うぅむ……」
ランの唸りを見て、アリアは首を傾げる。
「どうしたのです?」
「いや、レベンはともかく、メランとアロアはそもそも下着を付けているところを見たことが無いのだが……」
「アロアちゃんはいっつも着てるあの制服に何か秘密があると思うのですよ」
「まあよいか。灯台下暗し、単純な解決方法じゃな」
ランは立ち上がり、少しだけ力を放出する。それに伴うように、彼女のウェーブがかった金の長髪が少しだけ揺れる。
「うむ、確かに重みが減ったな。よい技術だ」
「うふふ、解決してよかったのです。ちなみに、明人くんとえっちなことするときは元に戻しておいた方がいいのですよ」
「僕はそんなことはしな――」
ランは否定しようとするが、アリアの全てを把握していると言わんばかりの笑みを見て諦める。
「聞こう」
「明人くん曰く『巨乳は弾力と重みがシコさに直結するんだよ!』らしいのですよ。ふふ、あとはランちゃんにお任せなのです」
「全く……」
ランは呆れつつ、軽やかに歩を進めていくのだった。
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