キャラ紹介:アルレボア
Al-HD本社ビル
アルファリアが私室のデスクで、頬杖をついていた。視線の先では、明人が本棚を物色していた。
「……」
デスクを左人差し指でタップしつつ、アルファリアは少々不機嫌な視線を彼へ向ける。
「あての部屋に来たいとか急に言うから、もっと大事な話があるかと思ったのに……」
ぼそぼそ呟いていると、デスクに置かれた小さめのモニターに、非常に整った美男子の顔が映る。
『姉上、今日はあなたの婚約者が来ているとお聞きしましたが、お目通り願っても?』
「ふむ……そうだな、入れ」
モニターをタップすると、私室の扉が開き、美男子が入ってくる。スラリと長い足を運びながら、舐めるように明人を見つつアルファリアの前に立つ。明人もその男へ視線を向けるが、妙に獰猛さを秘めたその視線に後ずさる。
「あれが姉上の婚約者かい?正直に言えば、姉上には不釣り合いでは?姉上はお美しい人だ。どちらかというと彼は、ペットに向いているんじゃないか」
「勝手に言っていろ。汝がどう思おうと、こやつは我の婿。今さら手放しはしない」
「ほお」
明人へ向き直り、革手袋を付けた右手を胸に当て、彼は言葉を続ける。
「こんにちは、婚約者殿。俺の名前はレボア。アルレボアだ。姉上の弟にして、我ら十七人姉弟の長男だ」
「こんちはー……」
恐縮気味に明人が返すと、アルレボアは自信に満ちた笑顔を見せる。
「不必要に一歩退いている感じが悪くないな。どうだ、婚約者殿。我が側室にならないか?」
明人は驚きで目を見開き、アルファリアがデスクに手をついて立ち上がる。
「待てレボア!そやつだけはやらんぞ!」
「ふっ、冗談ですよ姉上。だが婚約者殿、俺は妻とする相手に性別は問うていない。君が俺の妻になりたいと思ったのなら、いつでも歓迎しよう」
右手を胸から離し、中指の腹を親指で撫でつつ、獲物を狙うように目を細める。拒否感を示すように明人は顔をしかめる。
「ははは。君は随分可愛い顔をするんだな。姉上の好みとは思えんが……夜は中々、激しかったりするのかな?」
「ちょっ……男でもセクハラやと思うんやけど」
「それはそうさ。ちゃんと性的な目で見ているからね」
アルレボアはじっとりと明人を眺め、そして股間で動きを止める。
「ああ、これは素晴らしいモノを持っているようだ。姉上は、このベビーフェイスにこんなモノが付いているのが、イカれた理由なのかな?」
アルファリアが怒気を籠らせた声で割り込む。
「レボア!即刻退室しろ!」
アルレボアは鼻で笑う。
「申し訳ない、姉上。楽しくてつい、ね」
彼は踵を返し、扉へ向かう。去り際にもう一度明人へ視線を向ける。
「最後に念押ししておくが……妻になりたけばいつでも言ってくれ」
キザに指でサインすると、出ていった。扉が閉まり、すぐにロックされる。
「全く……好色なのは相変わらずか」
アルファリアが呆れてぼやくと、明人が続く。
「イケメンにガチで口説かれたの初めてなんやけど」
「照れるな。明人はあてだけを見てればそれでいい……んだからね」
少し頬を膨らませて告げると、明人も頷くのだった。
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