与太話:溶けたチョコの行方
ディードが小包をアグニへ放る。
「姉貴、なんだこれ」
きょとんとするアグニに、ディードがはにかむ。
「バレンタインチョコよ」
「はあ?ああ、バロンが毎年食べきれねえって言ってるやつ」
「食べきれない?また贅沢な悩みね。まああれだけ女をはべらせていればそれだけもらえるか。まあいいわ、アグニ、食べなさいな。感想を聞かせなさい」
「わかったぜ、姉貴」
アグニは小包の包装をを乱暴に破ると、箱を開けてチョコを摘まみ、口に放り込む。
「どう?美味しい?」
「うめえ」
「ならよかった。私って戦いばっかだからさ、アンタに家事任せっぱなしじゃない?たまにはお姉ちゃんらしいところ見せようと思ってね」
「気にすんなよ、姉貴。どうせ黄金郷に生きてる以上、戦うのが仕事だ。飯の腕が上がってもしょうがねえよ」
「ハッ、それもそうね。ま、割とたくさん作ったし、メイヴとかバロンにもあげてこようかな」
アグニがその名前に反応する。
「抜け駆けはさせねえぞ、姉貴」
「は?もしかしてアンタもバロンにチョコあげるとか?」
「もちろんだ。俺にとってあいつが好敵手なら、あいつにとっても俺が好敵手じゃなきゃならねえ。あいつにも俺のためのチョコを作らせる!」
「はっは。物好きなやつ……まあそこが可愛いんだけどね、弟っ」
ディードはアグニを小突く。
「うるせえ、早く行くぞ!」
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