魅力が伝わるかもしれない
キャラ紹介:バロン・エウレカ
海上始源都市エウレカ・都庁
執務室でデスクの上の大量の資料とにらめっこしているバロンは、印鑑やサインを次々と書いていく。と、そこにノック音が響く。続いてゼノビアの声が聞こえてくる。
「あ、あの……ぜ、ゼノビア・キュリオスです。今はお暇でしょうか……?」
今にも消え入りそうな声を絞り出したゼノビアに気づいたバロンは、資料から目を外し、眼鏡をデスクに置く。
「……入りたまえ」
ゼノビアがおずおずとドアを開き、執務室へ入ってくる。
「あの……えと……」
「……焦らずに、落ち着いてから喋るといい。君のペースで構わない」
その言葉にゼノビアは僅かに顔を綻ばせる。
「はい……あのぅ……ええっと……そのぉ……」
「……」
「ううっ……やっぱりなんでも……」
「……ふむ、つまり用もなく来たということか」
「す、すみませ……!」
「……待て」
ゼノビアが急反転して駆け出そうとするのを、バロンは座ったまま止める。
「……用が無くても構わない。気が済むまでここでゆっくりしていくといい」
ゼノビアは目を潤ませ、デスクを回り込んでバロンにすがるように抱きつく。
「……ふむ」
バロンはゼノビアを抱き締める。
別の日
今日もバロンは紙の山と戦っていた。戦いを至上の快楽とする彼だが、為政者としてもかなりの手腕を持っている。と、その時、バロンの視界にウィンドウが現れ、そこに映る悪魔のような姿をした男が口を開く。
『バロン様、お客様です』
「……誰だ。今日は来客の予定は無いはずだ」
『エメル・アンナです』
「……ああ……通せ」
『はっ』
ウィンドウが消える。
「……はぁ……」
深いため息をすると、バロンは手に持っていた資料をデスクに置く。
「……今度の休みはアウルと過ごそう、絶対に」
バロンはその人間性ゆえか、または始まりの人間という特異性ゆえか、男女、種族問わず極めて人気が高かったが、彼はあくまでも伴侶のことだけを考える人間である。と、そんな話はともかく、ドアが躊躇無く開けられてエメルが現れる。
「バロン様、お久しぶりです」
妙にねっとりした喋り方でエメルが近寄ってくる。
「……確かに可能な限り民との関わりは積極的にしたいところだが……エメル、君は」
「そんなにアウル様と愛し合いたいのですか?嫉妬してしまいます」
「……勝手にしてくれ」
エメルはわざと軍服の胸元のボタンを外し、豊満な谷間を見せて近寄ってくる。
「……」
バロンは至極興味なさそうにエメルの顔を見ている。
「やっぱり色仕掛けは効きませんか。まあ、簡単にあなたを篭絡できては面白くありませんし……あなたは暴力で屈服させたいですから」
「……力比べなら付き合おう。肉体関係で迫ろうとしないでくれ」
「ふふ」
エメルは怪しく笑うと、その場から去っていった。
また別の日
バロンは自宅でアウルと二人で過ごしていた。ソファで二人並んで座り、これ以上無いほど身を寄せ合っていた。
「……アウル」
そう呼ぶと、アウルがバロンの顔を覗き込む。バロンは照れ隠しに顔を背ける。
「……やっぱりなんでもない」
アウルはその反応を見て、更に身を寄せ、腕を体にまわして絡めてくる。
「……うっ……あ、アウル?」
「色んな方の匂いがします。ちゃんと私の言った通りに、皆に等しく愛を振り撒いているのですね?」
「……まあ、努力はしている。だがやはり、君じゃなければ僕は満足できない。僕が求めているのは君だけなんだ」
「今日は何をしましょうか」
アウルはそのままバロンの膝上に跨がり、腕を首にまわす。
「……どうして君は、僕の理性をこんなにも簡単に壊してしまうんだろうな」
「簡単なことです。あなたが私を選んで、私があなたを選んだからです」
二人は熱い抱擁を交わしつつ、貪るように口付けをする。
「……感情の芽生えで一番変わったのは、君とこうして愛情を確かめ合えることだな」
「叶うなら、あなたと永遠にこうしていたい」
「……出来ないからこうして……たまの休みを全て君との時間に費やすんだ」
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