第2話 買い物
「よし、それじゃあ行こうぜ。」
涼とはショッピングモールの最寄り駅前で待ち合わせた。放課後とはいえ、暗くなる時間はまだ早い。そんな時間になるまでいた場合、制服でいるのはまずいということで俺たちは各自一旦家に戻り私服に着替えてから、買い物に行くということになった。
「はぁ、お前が来てくれて助かったぜ。」
「まぁ俺も暇だし」
本当はあの後『柚も来てOK』という返信を涼からもらってから興奮して午後の授業どころではなかった。
何より詩乃さんに会えることが楽しみだ。
俺と涼はショッピングモールをめざした。
「詩乃の友達って一体誰だろうな。アイツは明るいって言ってたけど。」
歩きながら涼がつぶやく
「確かに。その友達次第では空気がだいぶ変わるかもしれないな。」
「わかる。俺のいつもの調子が狂ったらその時はフォローよろしく。」
「はぁ何言ってんだよ。お前クラスの女子と仲良いじゃん。」
涼は気さくな性格から男女ともにウケが良い。だから俺が隣のクラスへ顔を出しに行くと大体、いつも誰かしらと話している。ちなみに俺と涼は隣のクラスだ。俺からしてみると正直羨ましい。
「そんな事ねぇよ。まぁ、俺のクラスには詩乃がいたから、詩乃のおかげってところが正直大きいかな。」
「へぇ、そうなんだ。」
「それに男子との初対面はまだマシだがな、女子となると流石に緊張モンだぜ。」
「まぁそうだよな。俺は初対面は誰でも無理。」
そんなこと言いながら、俺たちは詩乃が指定したショッピングモール内の洋服店の前までついた。
*
「…服か、なあ柚、男子って服に気使うか?」
「まぁ少しは。それにそろそろ夏だ。センスの良いTシャツだったら、俺は欲しいな。」
「確かに。さすがにダサいのはゴメンだな。それより詩乃たちは…あ、来た。」
後ろから詩乃さんが来る。紫のワンピースが可愛いく、そろそろ来る夏を感じさせる。
それから詩乃さんと?あれ?隣にいるのは…。
「あれ?柚?柚じゃん。おーい。」
「あれ、舞?」
一瞬思考がフリーズする。まさかとは思うが…。
「あれ、舞と柚くん。知り合い?」
詩乃さんが舞にたずねる。
「知り合いも何も、舞と柚は昔からのってやつだよぉ」
舞は明るく答える。
「な、なあ詩乃。彼女がその友達?」
涼が少し焦り気味に聞く。
「うん。この子が昼休み言ってた友達。」
「えっっっ、マジかよ!」
俺は思わず驚きと喜びの声を上げた。まず詩乃さんの友達が知り合いってことが驚きだった。しかしそれと同時に初対面が無理な俺にとって、すごく安心したし、嬉しかった。
ーーーとまぁ、見ての通り俺は分かりやすく驚いた。
だがそれ以上に驚き、緊張していた涼に俺は気づかなかった。
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