第8話やっと半年…。もう半年?

順調且つのんびりと文野と誠の付き合いは続いている。

クリスマスのホームパーティで初めて咲子の夫、誠の父に会った。

「初めまして、立花 文野です。」「初めまして、よくぞお出で下さった。高野康雄です。もう噂だけは聞かされていてね、早く会いたかったんです」「会ってがっかりされなければ宜しいのですが?」「咲子がもう文野さんの事になるとねぇ、凄い熱心だったんでね、最所は騙されているんじゃないかって心配したんですよ。その内誠とも良いお付き合いをさせていただいてるようで、早く会いたいのに未だ駄目だって連れてきてくれなくてねぇ。いやぁやっと会えて嬉しいですよ。」康雄は右手を出して握手を求めてきた「お待たせしてすみませんでした。今日はパーティにお招きいただいてありがとうございます」文野は素直に康雄の右手を優しく握った「さあ挨拶も済んだし乾杯しましょう?」咲子がシャンパンをついでまわる「うちはクリスチャンでもないから特にクリスマスって騒ぐこともなくなったんだけど久し振りにケーキを買ったわ」「今日は会社も残業なしで終業したし各々楽しんでいると良いけれどね」「クリスマスだからですか?」「家族とかお友達とか予定をいれる人が多いからね、ノー残業デーにしてるんだ」「そうなんですね。うちは予定の無い人だけ残業しても良いとなってるみたいです」「わざわざ?」「邪魔がはいらなくて集中出来るそうです。街中も浮かれているし、つまらないから仕事するって言う方もいましたけどきっとどこかに連れて行かれたんじゃないかしら?」「文野さんいつもはどうしてたの?」「学生時代は冬休みは実家に戻って家の手伝いだったり友人と会ったり、就職してからは学生時代の友人と会ったり職場の飲み会の参加したりです。」「年末年始はどうするの?」「そうですね。実家に戻るのも慌ただしいので旅行へにいこうかと」「旅行?何処へ?」「今からじゃあ取れないでしょう?」「友人の別荘で過ごそうかと」「別荘?凄いお友達がいるんだね?」「正しくは、お祖父様から譲られた別荘で、もて余しているから遊びに来て欲しいと頼まれたんです」「あらまぁ」「何処に有るの?岩手の安比高原です。スキーもできるし冬休みを満喫出来ます」「巣籠もりっぽいなぁ」「ええ普段都会のワイワイガヤガヤしている所に住んでいるとそんな静かな生活が楽しくなるんです」「ずっと行ってるの?」「はい今回は12月29日から1月2日まで5日間です」「飽きない?」「仲の良いメンバーが来年3月に結婚するのであえて一緒に過ごそうと言うことになったんです」「まぁ、特別なのね」「ええ、全員揃って過ごすのは最後かなぁとも思うと思いっきり楽しもうかと」「そうか…。年末年始も一緒にって思ってたけれど。仕方ないな」「すみません。私のことも考えて下さってたんですね。ごめんなさい」「良いのよ。誠は知ってたの?」「勿論。」「先に話してくれたら良いのに」「イチイチ報告しなくちゃいけないの?」「母さんこそ先に誘えば良かったんだよ」「誠と予定たててると思ったのよ?」「あのぅ…。すみません」「気にしないで良いよ。咲子は先に知り合って友達になったから息子の彼女と言うより友達と言う思いが強いのさ。だからね、あの二人の会話は文野さんの話題が中心だった。私だけ仲間外れだった」「何だか申し訳ない感じです。」「良いの良いのその内収まるから。さぁ食事にしよう」言い合う二人を置いて康雄は文野をエスコートして食卓へ誘った「仕事は28日迄?」「はい。でも業務は午前中です。午後は大掃除して時刻通りに退社です」「うちはあいさつ回りは27日迄に終わらせて28日から休める人は休む。」「28日から休めるんですね」「ほら帰省する人は混雑して大変じゃないの?1日早いだけでスムーズに帰れるらしいよ。なかには海外旅行するのもいるし。」「福利厚生が素晴らしいんですね」「待遇も良くないと社員も続かないでしょう?」「良い案だと思います」「うちに来る?」「えっ」「冗談。半分は本気だけどね」「あのそれは…。」「ごめんね。変な事言って気にしないで下さい」笑顔だが康雄の目は笑っていない気がした

「ちょっと父さん、文野さんの隣は僕ですよ。」後からやって来た誠が文野の隣の席を主張する「早い者勝ちで良いじゃない?」康雄は譲る気は無いらしい「駄目ですよ。隣が父さんじゃあ緊張するでしょう。」「向かいは私よ。」咲子まで一緒になって騒ぎだす「あのぅ…。このままで良いんじゃないですか?」「そうなの?隣は僕じゃなくて良いの?」誠は寂しそうな表情である「誠さんの顔は見えた方が安心ですからお隣はお父様で…。」「ほら、私が隣だね」対して嬉しそうな表情な康雄だった。

「お食事を運んでも宜しいでしょうか?」お手伝いの加山が尋ねる「お願いします」康雄が答えて各席に食事が運ばれた

「おしゃれな洋食かと思ったでしょう?」ニコニコしながら咲子が文野に声をかける「はい、クリスマスですから。てっきり」「これもサプライズかな?」「そうですね。でもすごく手の掛かった美味しい食事でした。なかなか口にするのは難しい物ばかりでした。ありがとうございました。」「私にも無理よ。」「うちの食事は先程の加山さんのご主人が調理してくれるの」「ご夫婦で?」「前はうちの社員食堂でコックをしていてね、定年退職して我が家に来てもらったの」「近所にすんでいるので通いなんだけどね」「元々料理店をしていて子供が独立して店をたたむと言うので是非うちの社食に来て欲しいって頼んだの。その前はケータリングの食事だったから社員達も大喜びでね。今は若い人達が経営してるわ」「大人数の食事って大変でしょう?うちは3人だから作りがいは無いかもしれないけれど誠も大学に入った頃から本格的に仕事を始めたから食事の準備が大変だからって無理言って来てもらったの。」「私のお客様は外国のかたが多くて加山さんの和食が大人気だったのよ」「外国のかたじゃなくても喜ぶと思います。すごく美味しかったですもの」「ありがとう」「味は勿論ですけど、見た目もきれいで写真に残したいくらいでした」

その後はリビングに戻ってお喋りをして過ごした「ねぇ文野さん、1日だけでもこっちで過ごさない?」「母さん、何言い出すの?」「だって…。私も一緒に過ごそうと思ってたんだもの」「年末年始じゃなくても良いじゃない泊まりに来てもらえば。」「そうだよ。3連休とかあるじゃないか?」「まぁ、そう言えばそうね。文野さん今度うちに泊まりに来てくれる?」「はい。喜んで」「それなら我慢するわ。誠はほっといて私と過ごしてね?」「どうして…。そんなに」「娘が欲しかったのよ🎵だからね、誠と付き合い始めたら遊ぶ機会が減っちゃたのよね。失敗したわ」「自分でお薦めって言ったでしょう?」「お薦めは間違いないわ。でももっと遊んでからで良かったかなぁ、紹介するのは」「咲子。余程君の方が子供みたいだ」「本当に呆れた。文野さん、無理しなくて良いからね。母さんとは友人でも僕とは恋人同士なんだからね❗️」「小さい、誠、器が狭い。」「だからね。母さんにだけは言われたくない」「ホラね。又僕は置いてきぼりなんだよ。でも楽しそうだから良いけれどね」「はぁ」

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