第4話きっかけは…。

なかなか、近付けない文野へはアピールしているが本人は素っ気ない。

あるデパートで知人の個人展示会があって高野は大型デパートへ出掛けた。「あら来てくれたの?」「先輩」高野は大学の先輩遠山に挨拶した「先輩は止めてよ、高野さん。」「失礼しました遠山さん、なかなか盛況ですね。」「ありがとう。今までで一番の多入りかもね」嬉しそうに微笑む「相変わらず多趣味ですね」「昔から気が多いのよね。私」「良いじゃないですか。色々な作品がどれも成功して…。うらやましいですよ。」「ありがとうございます。素直に喜ぶとするわ」「素直な感じはしないですけど?」「うるさいなぁ。一人で来たの?」「ええ」「あの彼女はどうなったの?」「彼女ですか?」「そうよ。大学の頃、高野くんに近づこうとしたら直ぐ割り込んできたでしょ…凄い焼きもちやきの彼女」面白そうに顔を覗き込む遠山「あらこんにちは」2人のそばをたまたま通りかかったのは友人と映画を見た帰りの文野だった「止めてくださいよ。遠山さん」「えぇ…。有名だったじゃない。高野くんの彼女」「やぁこんにちは、立花さん。一人?」「いえ友人と映画を見た帰りです。ではこれで失礼します」文野は早足で通りすぎる「あ、あの…」「誤解されたかな?」今度は心配そうに顔を覗き込む「遠山さん。勘弁してくださいよ」「ゴメン。でもさ、てっきり彼女と一緒になると思ってたけど?」「あの子は幼馴染みなんです。家族ぐるみの付き合いですよ。特に親しい訳じゃないですよ❗️」「そうかなぁ?高野くんは、そう思ってなくても彼女はお嫁さんになる気満々だったわよ❗️」「だから誤解だって言ったでしょう」「昔もこうやって喧嘩したっけ」「昔のはなしです。先輩は卒業して海外行っちゃうし、振られて結構落ち込んだんだ」「ゴメンって。でもさ、あの彼女怖かったんだよ」思い出しただけで身震いした「子供だったんです」「あの彼女結婚した?」「いえ。まだです。お見合いは何度かしてるようです」「ただの幼馴染みのわりに詳しいじゃない?」「彼女の母親が毎月顔を出すんです。嫌でも耳に入るんですよ」「ふーん。まんざらでもないんじゃない?あっちはまだ諦めてないわね?」「だから、からかうのは止めてくださいって」「ハイハイ」そこへ携帯のバイブがあった「失礼、そろそろ行きます。母に買い物に付き合う様頼まれているので…。」「相変わらず親孝行息子ね。今日は来てくれてありがとう。お花もありがとう。」「では失礼します」礼儀正しく挨拶を交わし高野は地下に着いた母親のもとへ急ぐ「いい人なんだけどなぁ。」深いため息をついた。学生時代4年生の頃高野と付き合っていた。高野は一つ下であったが同学年より落ち着きがあり、成績も良かったサークルで知り合ったのだが親しくなる前に例の幼馴染みに邪魔されたかたちで終わりを告げた「本当に邪魔だったのよ?あなたは気付かなかったみたいだけど…。」そう呟くと他の客人のもとへ向かった

「地下売場って結構混んでるわね?」「人に酔いそうだわ」「こんなところで倒れないでよ❗️」「大丈夫よ。文野は何を探してるの?」「晩御飯の材料」「えぇ、食べて帰ろうよ。」「それでもいいけれど…。なら地下に下りる必要あったの?」「私、アイスクリーム食べたかったの❗️結構有名なやつ。並んでるらしいよ❗️」「そうまでして食べたい?」不思議そうな文野「食べたい‼️」「あっそう。」呆れる文野「それなら早く行って並ばないと」「行こう」3人はアイスクリームコーナーに向かった「すみません。こちら最後尾でよろしいですか?」「ええそうよ」「はい並んで」文野の声に友人の久保真奈美と結城絵里子が後ろに並ぶ「映画を面白かったね。また行こうよ❗️」「うん今度は何見ようか?」前に並んだ中年の女性が振り返る「楽しそうねぇ。うらやましいわぁ」「すみません。うるさくしてしまって」文野が頭を下げる「違うの。そうじゃないの。私の若い頃って今みたいに女の子だけでワイワイ出来る時代じゃなかったの。」「そうですか。」「映画に行くなんて親が許してくれなかったもの」「躾が厳しいお宅だったんですね」「まあね。この年になると子育てが終わって親の介護、次は孫の世話で忙しくて遊べなくなるのよ。今のうちにたくさん楽しんでいらっしゃい。」「ありがとうございます。」「やっと順番が来たわ。」「ご一緒ですか?」「イエ、私は…」「そうです4人でオーダーお願いします」「ではこちらのお席へどうぞ」「ありがとうございます」「よろしかったですか?」「ええ、私は一人ですから良いのだけど、仲良しのお友達の席に私が入っちゃってよろしいの?」「一人だとカウンターでしょう?狭い気がしたの」「4人ならスペース一緒だもんね‼️」「何にする?」「えーと私は立花 文野と言います。ほら、自己紹介して」と友人達に声をかける「久保真奈美です」「私は結城絵里子です」「では私は高野 咲子と申します。どうぞよろしく」「こちらこそ、ご丁寧にありがとうございます。さぁ何にします?」「バニラははずせないわよね?」と咲子「私はチョコ」「私はチョコミント」「ミントも良いわねぇ」「私は、ヨーグルト,イヤベリーミックス、迷っちゃうわぁ…。」「早く頼まないと…。「両方は有りかしら?」「食べきれますか?一個と四分の一なら行けるんじゃない?」「オッケーじゃあ注文します」4人で5個の注文を済ませた「先ずはスプーンで自分のから食べよう。う~ん美味しい。甘~い」真奈美がうっとりする「本当に美味しいねぇ流石ネットで騒がれるだけあるわ」絵里子が頷く「そうなの?」文野も満足そうだ「美味しいわねぇ。男の人には理解できないでしょうね」咲子は嬉しそうだ。「それ食べても良いですか?」絵里子が咲子に声をかける「どうぞ」差し出しながら絵里子のアイスクリームにスプーンですくう「うん美味しい」「私も味見したい❗️」「ほら、どうぞ」4人で楽しんでいる。「ベリーミックスアイスクリームです」店員が4人が一旦食べ終わった頃合いだった。「わぁベリーミックスって言うだけあるね。たっぷりベリーが入ってる」「プチプチして、美味しい」「おいしいわぁ。それに楽しかった。お嬢さん達、混ぜてくれてありがとうございました。私は娘がいないからとても嬉しかったわぁ」「こちらこそ」「息子が来たようだからそろそろ行きます」「ではまたどこかでお会いしましょう」3人の娘たちは立ち上がって見送った「ご馳走させてね。母親の真似事ね」ウインクして店を出ていってしまった「ご馳走さまでした」3人が声をかけた「またねぇ🎵」手を振って行ってしまった「素敵な人だったわねぇ」「かっこ良かったわ🎵」「うちの母さんじゃあ、ああはいかないわ」「それに上品だったわね。」「夕ごはん何にする?」「私はアイスクリームでお腹一杯よ。ちょっと歩かない?」「上に出て歩こうよ。そうね運動しないとご飯入らないよ」3人は一階の正面玄関から外へ出た「立花さん❗️」「えっ、あら高野さん」「文野さん」「えっ咲子さん、どうして?」「息子なの。」「何で母さんが立花さんを知ってるの?」「私達、お友だちなの。ね」咲子は楽しそうにウィンクをしてみせた「どうなってるの?」

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