のうひんしてみた

 配信が終わってすぐ。久しぶりに魔力を全部使って、ちょっとだけ疲れたから休憩中。


「んー…」


 ぐぐぐ、って伸びをして、ぴょんぴょんと数回小さく飛んで調子を確認する。魔力は、身体強化の魔法を使えるくらいに回復した。もうちょっとだけ、運動してから帰ろう。最近潜ってなかったし、最下層モンスターを間引くのもかねて。




 ダンジョンの最下層は、普段あんまり人がいない。だって、危険だから。モンスターが強いってだけじゃなく、モンスターの発生量も多いのだ。

 だからって、放置しちゃいけないんだけどね。モンスターが溜まって、あふれ出ると普段は地上に出れないモンスターが地上に出てくるようになる。いわゆる《迷宮大災害スタンピード》ってやつ。

 でも、『深淵の穴』みたいな、底で活動できる人が極端に少ない所は、定期的に特級の攻略者に潜れる範囲で、できる範囲で殲滅することになる。


「多いなぁ……」


 一匹残らず狩りつくしてるけど、五日で溜まる量じゃ無いほど、モンスターがいる。二十階層分で千匹超えた。

 うぅ……そろそろ納品しないといけないなぁ…




 最終的に、最下層のモンスターの数は1万匹くらいだった。なんか、禍々しい魔石があったから怖くなって壊しておいた。何だったんだろう?


「ひぅ…納品しに行きたくないよぉ…でも、素材出さないとまた怒られちゃからやらないと…」


 納品するときは、数とか素材のモンスターのランクのことがあるから、一対一で、しかも個室でないといけない。だから、やりたくないんだよな…


「そんなところでどうしたんだい?峯田さん」


「ふ、藤沢さん…!えっと、モンスターの魔石とか、納品、するために…」


「なるほど…なら、私が担当しようか?」


「い、いいんですか…!?」


 藤沢さんなら、一対一わんぶいわんでもお話しできるから、なんとか…!あれ?でも、藤沢さんは職員でもないのに、して良いのかな?


「実はね、ついこの間、峯田さん相手ならむしろ担当してくれって東さんに頼まれてね。だから、心配はいらないよ」


 ほえぇ、そうなんだ…あれ?いま声に出てたのかな?


「さあ、こっちだよ。おいで」


「あ、はい…!」


 藤沢さんについていくと、いつも納品する時に行く部屋につく。


「さて、今日はどんなびっくりを持ってきたのかな?」


 藤沢さんが扉を開けると、部屋の中に東さんが座ってた。


「まったく…仕事は大丈夫なんですか?」

「東さん…?」


 お仕事大丈夫なのかな?


「もちろん。ちょうどさっき終わったところさ!さあ、そんなことより!何を持ってきたんだい?真白ちゃん」


「い、いいの、かな…?」

「まあ、どうせ怒られるのは東さんだ。進めようか」

「わ、わかりました…!」


 東さんと藤沢さんが座ってる反対側に座って、マジックバックを取り出して素材を出していく。一旦、ちょっとだけ出そうとしたら、大きな机がすぐに埋まって、山が出来上がった。


「うん、想定通り、えげつないものをすごい量溜めてるね」

「これは、流石に多いかな?峯田さん」


「う…ご、ごめんなさい…」


 ちょっとのつもりだったのに、こんなに出てくるんだ…うにゅ…ごめんなさい…

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