#2『うんどう』
「………えっと、写ってます、か…?」
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・見えてるよー!
・かわいい
・まだ一週間も経ってないのにすごい久しぶ
りに感じる
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「良かった……あ、お久しぶりです」
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・お久しぶりー!
・おひさー
・ひさー
・元気だった?
・運動って何するの?
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「えっと…今日の目的、は、『深淵の穴』の、完全攻略です…!」
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・完全攻略まじ?
・へい有識者!深淵の穴の説明して!
・『深淵の穴』
Sランクダンジョンの中でもかなり有名で、
完全攻略の難易度はほぼEXランクと同じで
ある
・ありがとう
・返信速度バケモノやんけ
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有識者さんありがとう。私じゃ説明できないから…
なんで完全攻略するのか気になってる人が結構いる…説明しないと。
「えっと、なんで、完全攻略するかと言うと…えっと…」
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・みことさんがツブヤキで言ってたあれ関
連?
・あ、もしかして特級全員で富士ダンジョン
完全攻略するよってやつ?
・そっか、特級全員ってことは真白ちゃんも
なのか
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命さんそんなこと言ってたんだ…私もSNS始めようかなぁ…?
「あ、えと…そう言うこと、です…!あ、今は、360層にいます」
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・いきなり最下層
・そう言う事だった
・前座で完全攻略される深淵くんに涙を禁じ
得ない
・がんばれ!
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「では、出発、です…!」
手のひらに短剣を二本、呼び出して握りこむ。
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・ふぁ!?
・今何が起きた?
・意気込んでてかわいいなと思っていたら、
気が付いたらかっこいい短剣が握られてた
・どこから出したの?
・魔法使ってないよね?
・早業、ってコト…!?
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すごく驚いてるけど、どうしたんだろう?…あ、短剣について説明してなかった!
「えと、これは、短剣で、じ、自由に出し入れ、ができます…!」
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・なるほど
・凄そう
山﨑三喜・世界最硬のアダマンタイトででき
ていてさらに修復機能がついてる、かつ別
次元への収納と取り出しが自由にできる真
白ちゃんの本気装備
・本当に凄かった
・凄すぎて草
・短剣で戦うんだ
・三喜登場にもはや驚かなくなっちゃった
・SNSの荒ぶりよう見たら、そりゃ…
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三喜ちゃんも何か言ってたの?SNS始めよう。
「あ、あと、あんまりコメント読めないです…!」
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・了解
・勝手にしてるんで!
・がんばれ~
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「じゃあ、こんどこそ、しゅっぱつ…!」
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・速いなぁ
・攻略者界最速(本人否定)のあの人と同じくら
い?
・前回も大概速かったけど、全然本気出してな
かったんだなぁ
・さっちゃんが最速否定してたの納得しちゃう
・本人じゃーん…!?
・最速の人!?
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「ん…?颯軌さん…?げんきー…?」
ちらっと見たコメント欄に、颯軌さんが居たから、立ち止まって手を振る。
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・知り合いマ!?
・かわわわわ
・どういう繋がりだ…?
如月颯軌・元気だったよー!
・めっちゃ仲良さそうで草
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颯軌さんは、モンスターから助けてから仲良くなったひと。足が速くて、きれいな人だ。
「あ、えと、つ、続きいきますね…?」
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・いってらっしゃい
如月颯軌・お気をつけて!!
・いってらー
・いてら
・で、どんな繋がり?
・いったん見送るの草
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・じゃあ、この前言ってた尊敬する唯一の攻
略者って
如月颯軌・そうです!真白さんです!
・ほへー
・えじゃあ俺の推しが今日まで生きているの
は真白ちゃんのおかげ…て、コト!?
・て事は俺たちの命の恩人?
・おいおい足向けて寝られないな
・最速コラボしてほしい
・最早誰も画面に触れてないの草
・触れて無いちゃう、触れられんのや
・何が起きてんのかわからんのだよなぁ
・放送事故なんだけどな、ふつう
・たまに聞こえる声とかが癖になる
・俺は知ってんだ…特級は何の脈絡もなく爆
弾落とすんだ…
・既に何個か落とされてっし
みこと・準備運動するとは、真面目だなー真
白ちゃんは!
・うわでた!特級一のフッ軽!
・あんたが不真面目すぎなんだよ
・五日後の準備なにもしとらんだろ
・まぁ、準備が必要なのかって言われると
・特級全員と協会側がいろいろ準備してくれ
るらしいし
・そう考えると真白ちゃん真面目やな
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「んぇ…?なんの、はなし…?」
なんとなくコメントを見たらなぜか褒められてた。何かしたっけ?
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・なんでもないよ
・真白ちゃんがすごいって話
・真白ちゃんがかわいいって話
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「…?」
どういうこと?
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・俺らの戯言のために足止めんでもええんや
で
・かしげかわいい
・かわいい
・ウッ…!!
・カハッ…!
・これで死ねるなら…悔いは…ないッ…!
・死んでる…
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「えっ…大丈夫ですか…?」
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山﨑三喜・馬鹿どものことは気にしなくて大
丈夫だよ真白ちゃん
・せやせや、気にせず進みんしゃい
・誰だよwww
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よくわかんないけど、気にしなくていいんだ。
「そうなの…?わかった」
何回かコメントを見て止まりつつ、始めてから一時間くらいでボス部屋の前に着いた。
「えと、次が、最後です」
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・おお、はっや
・まだ一時間ぐらいなのにな
・ボス戦がんばれー!
みこと・おつかれ真白ちゃん!
神子・あとちょっと、がんばれー!!
如月颯軌・頑張ってください!
山﨑三喜・真白ちゃんかわいいよ!!!!!
・一人だけ限界オタクいて草
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「が、頑張りますっ…!」
よ、よーし!今更、いろんな人に見られてることを意識しちゃったけど、がんばるぞー!
扉を開けて部屋の中にはいる。サッカーと野球が同時に二試合できるくらい広い部屋の真ん中にごつごつした大きな岩みたいなのがいる。
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・なにあれ
・おいおい…
・まさかの?
・相性最悪のモンスターやんけ
・わかるの?
・教えてくれよ
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「ふぅ…アップには、さいてき…」
ぼそっと、カメラが拾えないくらいの大きさでつぶやいた。
「あのモンスターは、ハードロックドラゴン、です」
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・まさかのハード!?
・硬いでかい重いのアンチスピードモンスタ
ーやんけ
如月颯軌・硬いだけならまだしも、再生もし
てくる最悪のモンスターの上位互換です
・え、それ大丈夫なん!?
・でも、攻略したことあるらしいし大丈夫な
んじゃ?
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「いっきまーす…!」
魔力を腕だけじゃなくて、足にも回す。体から魔力が白く漏れ出す。
三喜ちゃんを助けに行った以来だなぁ、全身に魔力をまわすの。
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山﨑三喜・真白ちゃんは火力も出せます
・真白ちゃん博士!
・ガチ草
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岩の体に向かって走る。そのまま、やんきーきっく(命さんがそう言ってた)をする。
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・ふぁ!?
・消えたと思ったらロックドラゴンが吹っ飛
んだ!?
・後ろ姿完全にヤンキーキックなんだが
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蹴っ飛ばしてハードロックドラゴンの体の岩を壊す。100メートくらいとんだかな。
『グルルアアアアアアアアアア!!!!』
怒って、でっかい声を出してバスケットボールくらいの大きさの岩をたくさん飛ばしてくる。
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・えっぐ!!?!
・怪獣すぎるだろ!
・ぶっこわれた体ももう元に戻った!?
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短剣を逆手に持って、ロックドラゴンに向かって岩を避けながら走る。
あ、ドローンは安全なところにいるようにしたから、安心だよ。
「えい」
ロックドラゴンの懐に入って、お腹を上に蹴り上げる。
『ガアッ!!』
体に付いてる岩が砕けて、宙に飛んだ。
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・やべええええええ!!!!!!
・はっや!!つっよ!!
如月颯軌・さすが真白さん…!
・どんな威力してんだよwww
神子・真白ちゃんすごい!
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ぱって飛んで、天井を蹴って上からかかと落としをする。
『グギャアアア!!!!』
空中を蹴って、地面に触れる前に、右から、左から、下から、あちこちから蹴ったり切ったりする。
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・なんか真白ちゃんが消えたと思ったら白い
線がロックドラゴンに向かってたくさん現
れました!これはどういう状態なのですか
博士!
山崎三喜・これは、真白ちゃんから漏れ出し
た魔力による軌跡です。真白ちゃんは空中
で走れます
・な、なるほどー!
・あれ色んな所からほぼ同時に出てるんだ
が?
・全宇宙一速いやんけ
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「これで、おわり」
思いっきり蹴ると、一際大きな音が鳴って地面に落ちてそのまま倒れた。
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・すげぇ…
・すげええええええええええ!!!!
・これもう『富士』一人でいいだろ
神子・真白ちゃんさいきょう!!!
みこと・さすましろー!!!
如月颯軌・真白さんは、やっぱり最高だ
山崎三喜・真白ちゃんかっこかわいいぞぉぉ
ぉぉ!!!!!!!!!!
・やっぱり一人だけなんか違うんよな
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ドローンのところに行って、持っててもらったスマホでコメントを見ると、いっぱい褒められてた。
「えっと、あ、ありがとう、ございます…!」
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・照れ顔さいこう
・強くてかわいいとか死角がねぇ
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コメント、かわいいしかない…へぅぅ…
「え、えと、もう一回倒してから、かえります」
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・了解!
如月颯軌・わかりました!
・インターバルってどのくらいだっけ
・大体三十分くらいだぞ
・三十分間何するの?
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「えと、復活するまで、短剣を手入れ、します」
ボス部屋の前で座って、そのまま手入れを始める。コメントは、見ません…!
「あ、そろそろ時間だ…」
扉を開けながらちらっとコメントを見てみる。
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・ほんまに三十分やってて草
・好きだよ、その愛情
山崎三喜・真白ちゃん、わたし久しぶりにあ
れが見たい
・アレ?
・なにそれ
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三喜ちゃんのお願いだ。あれ、ってのは…あ、あれかな。
「わっかたよ、三喜ちゃん」
スマホをドローンに渡して、真ん中にいるロックドラゴンを見ながら、右足を少し後ろに下げてかがむ。そのまま、魔力を全部右足に溜めていく。体の中で流すだけだと時間がすごく掛かるから、体から一回出す。体から出た魔力が渦のようになりながら右足に入っていく。
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・何が始まるんや!?
・綺麗
・魔力多すぎない?
・凄そう
如月颯軌・すきです
みこと・僕も知らないぞー?
神子・わたしも聞いたことないなー
・おい告白しとるやつおるって
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「よし」
溜め終わった。
「ふぅーー…フッ…!」
斜めに蹴り上げて、魔力を飛ばす。ロックドラゴンがそれに気が付いて、ドラゴンの一番強い攻撃の、ブレスを撃った。でも、拮抗もせず、そのままブレスごと射線上の全部を破壊して、壁も天井も、大きく破壊していった。
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・ワァ…
・わ…
・えぐぅ…
・なにあれ
山崎三喜・剣士が斬撃を飛ばすあれだよ
・博士!あれ武器にしかできないんじゃ…?
みこと・真白ちゃんって魔力浸透率100%だ
からできるんだろうね!
・わーお凄すぎ
・ほんまに死角無いやんけ
・これ最強です
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三喜ちゃんが説明してるから、いいかな?多分いいよね。
「えと、き、今日は、ここまで、です…!ありがとうございました…!」
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・えー!
・もう終わりですか!?
・正直もうお腹いっぱいです
・お疲れ様です!
・まだ二回目だけど、今日もおもろかったよ
・おつ!
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「ばいばーい…」
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