配信準備〜三喜ちゃん視点〜

 はぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜………

 真白ちゃんかわいすぎ。

 カメラ買った後六時くらいまで色んな買い物をした。今はバスの中にいるんだけど…大事そうに大きい熊のぬいぐるみを隣で抱きかかえて、満足そうに座ってる。この熊買ってからずっと抱きかかえていて、道行く人の視線を独り占めにしてる。

 ちなみに、熊に夢中で真白ちゃんは気が付いてない。


「えへへ…」


 たまに熊を撫でては今みたいにだらしなく笑ってる。

 ちょっとかわいすぎない?


「真白ちゃんそろそろ降りるよ?」


「わかった、三喜ちゃん」


 そういって、カバンの中から攻略者カードを取り出した。

 はーかわい。




「……………………わかった?真白ちゃん」


「ふえ………な、なんとか……」


 一気にやることを詰め込んだら、情けない返事が返ってきた。

 こんな様子でも、きちんと理解してある辺り、怪物だよなぁと思う。


「えっと…こうして…ここを押したら、いいんだよね…?」


「そうだよ。それで、あとはチャンネル名をつければ完成だよ」


「な、なまえ…どうしよう…」


 あの妖精型の自立ドローンカメラは、操作が簡単で、配信のつけ方も何もかも、登録したチャンネルを通してスマホとかから遠隔で始められる。だいたいの自立ドローンカメラはカメラを操作しないとつけるのも終わるのも、ミュートも何もかもできないから、かなり高性能だ。お値段以上だね。


「三喜ちゃん…チャンネル名、どうしよう…?」


 困り顔で、上目遣いで聞いてくる。小動物かな?


「なんでもいいんだよ。私たちのチャンネル名だって、『山﨑さん達』だし。他にも、『わっしょい』とか、『おさんぽ』とか、いろいろあるんだから。深く考えなくていいんだよ」


「ほぇぇ…なら、『ましろ』で、いいや…」


「じゃあ次は、ドローンをどこに飛ばすか設定しよっか」


 ドローンの位置設定は背後、正面、右、左、指示、ついていく、など、15個ある。多分、真白ちゃんは『ついていく』にすると思う。

 これは、名前の通りついてくるもの。『背後』だと、後ろに付きっ切りになるけど、『ついていく』だと、後ろだけじゃなく、正面や隣から、っていうのができる。


「ついていくにする…」


「じゃあ次は…………………………」




 一時間かけて、配信準備を終わらせた。


「さっそく、明日やってみるね…!」


「うん、楽しみにしてるね!」




 その後、真白ちゃんの手作り料理を食べた後、仲間と住んでる家に帰った。


「あら、おかえりなさい三喜ちゃん」


「おかえり、三喜」


「ただいま」


「真白ちゃん元気そうだった?」


「いつも通りかわいかった」


「それはよかったな」


「そんなことより、告知しないと」


「あら、真白ちゃん明日配信するのぉ?」


「うん。あの子ダンジョン大好きだし」


「なら、俺たちもしておくか」


「助けてもらったお礼としてねぇ~」


「ありがとう、二人とも」


「あぁ。錬助にもさせておこう」


 真白ちゃんなら、何もなくてもすぐに有名になるだろうけど、ちょっとした恩返しとして。真白ちゃんはどうせ、受け取らないから。

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