ぜんそくりょくでむかってみた
「いそげ…いそげ… いそげ… いそげ…!」
突然だけど、私には世界でたった1人だけ、ただ1人だけ心から信用信頼してる友達がいる。友達というか親友というか。
その娘はすごく良い人で、どこが良いのかって説明を20日くらい休みなしで語れるくらい良い人。
で。実は、その娘、
ここからが私と三喜ちゃんの違いなんだけど、三喜ちゃんはパーティを作って、ダンジョンで配信してるんだ。チャンネル登録者は120万人を超えたってこの前言ってた。
「はやく…早く…速く…疾く…!」
何で急に、そんなことを言い出したかっていうと、三喜ちゃんが、ピンチだから。
突然だった。どのくらいかっていうと、ラブコメの食パン咥えた女子高生と転校生が曲がり角でぶつかるシーンの転校生から見た女子高生くらい。
ベッドでドロドロになってたら、スマホからメールが来たんだ。何かと思えば、三喜ちゃんから一言、『たすけて』。
ベッドから跳ね上がって、ディーチューブって言うダンジョン配信アプリで三喜ちゃんのチャンネルを開いて、状況を確認した。
私と三喜ちゃんは、ダンジョンに潜る前と出た後で一言報告するって約束してて、今日はまだ出たって報告がないから。
状況はなかなかに最悪だった。
三喜ちゃんのパーティは、死んでる人はまだいないけどそれも時間の問題だった。相手は異常成長したオーガ。多分、危険度はSSか、最悪特級。三喜ちゃんが今は1人で何とか持ちこたえてるけど、ただ単に弄ばれてるだけだ。
家から飛び出して、今三喜ちゃんがいるダンジョンに向かって走り出した。配信には特に何も書いてなかったけど、その程度で辿り着かないと思わないで欲しい。
ダンジョンの名前はわかんない。けど場所はわかる。なら走るだけだ。何よりも早く。
ダンジョンの門に辿り着いた。
探索者カードをかざして、中に入る。
すぐ近くのエレベーターに乗って、最下層に行く。最下層とはいうけど、このダンジョンで1番下の階じゃないよ。………流石にわかるか。
全速力で三喜ちゃんがいる階に向かう。途中ですれ違うモンスター達は無視か、邪魔なら弾いていく。
20階層くらい降りた所で、かなり濃い血の匂いがした。
「ここだ…!」
血の匂いがするのもそうだけど、三喜ちゃんの良い匂いもする。絶対ここにいる。
「待っててよ、三喜ちゃん!」
これ以上不特定多数に三喜ちゃんの血を見せない!!
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