え?強すぎぃ!

「な、なにこれ」

「わかんない。けど、なんかすごい…」


 イレギュラーと渡り合ってるどころか、遊んでる。


「ははは!遅いですわぁ!!もっと早く振らないと、あたらんぞー?」

「ぐきゃぁ!げひゃぁ!」


 ゴブリンは怒り狂って、すごい速さで棍棒を振ってるけど、危なさなく全て避けてる。けど…


「すごいけど、言動が…」

「この場合、二つの意味ですごいってなるよね…」


 私たち2人とも、少し引いていた。口調はころころ変わるし、雑な方言をつかったと思ったら、いろんなものがくっついたものもあって、ぐちゃぐちゃ。動きなんて、特殊としか言いようがない。


「ぐぎゃぁ…げぎゃ!ぐきゃぁ!」


 ゴブリンがだんだんと、疲れでふらふらになってきていた。


「あー飽きた」


「え?」

「はぇ?」


 "飽きた"そう言った時にはもう、ゴブリンの頭は、吹き飛んでいた。何がと思って男の人を見ると、何かを下から投げた後のように見えた。


「やっぱゴブくんはダメだね。これならコンクリートの方が楽しい。ま、こっからは救出ってことで。たいへんだぞー」


「なに…が?」

「起きたの?」


 まだ、ゴブリンに囲まれてるのに、緊張とか、全て吹っ飛んだ。


————————————————————


 普通に飛ばすのも退屈だから、ゴブくんで遊びつつ他のゴブくんを潰してたけど、わたし、飽きました。なので小石を投げて終わらせました。予想はしてたけど頭は吹き飛んだ。ゴブくんさぁ…


 そのあと、なんやかんやありまして、今階段にいます。


「た、助けていただきありがとうございます」


「どういたしまして」


「えっと、わ、私は望月ぼうつき あかねと言います」

「私は海渚あまなぎ さきです」


 赤毛の、元気の良いちゃんとしてそうな、少し大人そうな方が茜。青毛の気が強そうな方が咲。なるほどなるほど。


「俺は田中。よろしくね!」


 そこから、2人の体力が戻るまで階段にあるということに。


「やっぱりあの量はおかしんだな」


「はい」


「ほへぇ〜」


 暇だから雑談することに。基本的に茜ちゃんが話して、たまに咲ちゃんも話すって感じ。


「田中さんは、攻略者になってどのくらいなんですか?」


「どのくらいに見える?」


 ニッコニコでそう返してみた。


「えっと…」

「10年とか?」


 おぉそんなに見えるのね。


「残念!違います!」


「え、ならもっと長い…?」


 老けてんのかな。


「いや、短い。てか多分俺ほど短いやつはそういないよ」


「え?」

「じゃあどのくらいなんですか?」


「2時間くらい」


 すっごい驚いた顔してる。そんな驚くことかい?よぉわからんだ。


「そんなおかしいかね?」


「普通は、攻略者になった次の日とかに入りますよ?」

「攻略者になった日に準備するんですよ。装備とか」


 今度は俺が驚きの顔。まーじで?ウケる。そういや学校で『攻略者にならないと武器買えない』とか習ったな。つまり装備とかを準備できるのは攻略者になってからで、初日から行くもんじゃ無いのね。


「おかしいのはそれだけじゃないですよ」

「そうですよ。私たちが一番驚いたのは、なりたてなのに、すごく強いことです」


「そんなに?」


「はい。あのゴブリンはイレギュラーなんですよ」


 まじぃ?えてことはたまにいた他より強そうなやつって全部イレギュラーだったってこと?え、弱すぎひんか?


「マジかよ、あれでイレギュラーなの?腕試しするには下層いかないとあかんのかぁ」


 俺ってそんな強かったんだなぁ。

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