やばいやつ

 絶体絶命。それ以外に、今の自分たちを表す言葉は九死とか、そのくらいしかない。ピンチとかそんなレベルじゃない。今、この瞬間に、いつでも簡単に殺されてしまう状況。


「完全に…遊ばれてんじゃん…」


「もう…限界なんだけど…」


「ガヒャヒャヒャヒャ!」


 この異常個体イレギュラーのゴブリンが出て来て、戦況は一気にひっくり返った。理不尽がすぎる。こいつが出てから1時間は戦闘しているのに、あいつに疲れがほとんど見えない。それに対し私たちは立ってるのもやっと。

 私たちはここで死ぬ。助かる方法は、強者に助けてもらうしかない。そんなことは起きるわけがない。だから、せめて、1匹でも多く、ゴブリンを減らせるように。

 でも、もう限界は超えた。体力も気力もほとんどない。


「…気合いを、入れなさいよ!これが最後の悪あがきよ!」


「…くぅ、わかっ…た!」


 腹は括った。私たちは横並びになる。


「いくよ!」

「ええ!」


「「《オリジナルま

「ヒャッハー!!!死にてぇやつからかかって来なぁ!」

「「え?」」

「ぐきゃ!?」


 いろんな、覚悟とか、気合とか、雰囲気とか、全てを吹き飛ばすように。空から降って来た何かが、地面の上に立って、大声で叫んだ。


「なんだぁ?おいおいおいおい、男の風上にもおけねぇなぁ!女の子を超大勢で囲んでよぉ!」


「げひゃぁ!」


 イレギュラーゴブリンが隙ありばかりに棍棒で殴りかかった。


「おぉおぉせっかちですわね!」


 そこから、空から降って来た男の人とゴブリンの戦いが始まった。

 

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