たいへんだー

 いやはや、はじめてのダンジョンは楽しみですなぁ。

 そう思っていた時期が俺にもありました。今、新宿ダンジョンにやってきている。攻略者になりたての人におすすめ!って言われてるらしいから、とりあえずでやってきたんだけど。


「多すぎだろ!ゴブリンの数多すぎだろ!どうなってんだこの野郎!!」


 第一層まではゴブリンの出現はまばらだったのに、第二層に入って少し歩いたら、「え、祭りですか?」ってくらいでてきたんだが。


「こんなに多い時の俺のメリットって何してもゴブリンこいつらが潰れることよなー」


 なんか《ゴブリン狩(適当)》みたいな称号かなにか貰いそう。


「え、なにそれ悲し」


 はじめての称がゴブリンいっぱい狩れましたね称とか…なんの罰ゲームだよ。


「士気がダダ下がりだわぁ。なるならせめてゴブリンスレイヤーとかが良いなぁ」


 くだらないことを考えながら、ゴブリン共を潰していく。殴って蹴って投げて踏んで叩いて。ゴブが持ってた棍棒を奪って振り回したり、岩もぎとってぶん投げたり。武の術なんてないし型なんてない。腕をただ振るだけで潰れるんだから、あれやこれやと考えるよりも、何も考えず暴れた方が楽しいってもの。


「お、あれは階段かなカナ?」


 第二層に入って30分、第一層から第五層まではそれぞれの層が短いらしく、往復で2時間かかるかどうかって聞いてたのに、めちゃくちゃかかってる。大体2.5倍かかってんだけど。ウケるぅ!


「ゴブリン邪魔だっちゃ!除くナリよぉ〜」


 あひゃあひゃ笑い声を叫びながら、ゴブリンを潰して歩く。

 今、俺普通に頭おかしいやつだな。笑ってないのにあひゃあひゃ言ってゴブリン潰してんだから。ウケる。


 階段に入ると、今までが嘘のように、何もない。確か学者が、「魔物達は、生まれた階層に縛り付けられている」って説を唱えてたな。確かに、そう感じる。こっちガン見して、諦めて離れていくもん。まあそう見えるだけなんだけども。本当は違うかもしれんが、まあいくら考えたって俺じゃわからんのだし。どっかの誰かが解明するだろ、知らんけど。




 第三層に入ると、案の定。ゴブリンがぎゅうぎゅうに詰まって襲いかかってきた。


「そんなにいっぱい詰まっちゃって…モテモテやな俺」


 そんなこと言いながら、また潰しながら歩いていく。単純作業。飽きそう。

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