さぁ、初ダンジョンだ

かなり拙いですが、よろしくお願いします(?)

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 今日の昼飯は卵焼き。


「う〜ん普通」


「ひどくないっすか?てか先輩攻略者になったんすね」


「なんだよ文句あんのかやるか?かかってこいよ!」


 おらおらかかってこいよ!


「違うっすよ!俺は先輩がスキル持ってたことに驚いたんすよ!」


 なんだよつまんねぇなぁ。かかってこいよ?


「まあ俺がスキルを持ってたことを知ってる奴は少ないからな。誰にも話さないし当たり前か」


「なんで話さなかったんすか?俺なら自慢しますよ?」


 承認欲求の塊め、そんなに他人と比べて自分の方が優れていると思いたいのか。


「心の声ダダ漏れっすよ?あとひどくないっすか?そこまで言います?普通」


「普通じゃないからしょうがない」


「それ自分で言います?ナルシストっすか?」


「ウルセェバカ1ヶ月でクソ雑魚がコンクリ素手で破壊できるようになるのは普通じゃねぇだろ」


 これが普通の世界線怖すぎて泣くわ。


「なんでそんなに当たり強い?俺なんかしました?」


「卵焼きが上手くないのが悪い」


「勝手に入ってきてその言い草はやばすぎるでしょ」


「ははは今の俺は暴言タイムなのだよだよ」


「なんすかその最悪な時間は」


「そんなことはどうでもいい。おい柊!」


「なんすか?」


「次来るまでに卵焼き上手くなっておけよ!じゃあな!」


「また飯食いに来るつもりっすか!?あ、ちょっセンパーイ!!」


 腹も膨れたし、ダンジョンへ向かうとするかな!


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「これで…10体目!!」


「ふぅ、休憩しようか」


 攻略者としての経験を積むため、また、攻略者のクラスを上げるため、難易度1の新宿ダンジョンの第六層に、彼女たちは居た。


「今日はなんだかいつもよりゴブリンが多いね、葵。」


「だね。まあお金が貯まるからラッキーね」


「そうだね」


 いつもよりゴブリンの数が多い、と言う話題から、彼女たちの雑談は盛り上がっていた。今日の夜ご飯は何にするか、明日何時から潜ろうか、今日の稼ぎは、あのアニメが面白い、あのアーティストがすごい、などなど。彼女たちにとって、第五層までのモンスターは敵ではなく、話の途中に出てきても、対処可能なのだ。だからと言って、異変に気づかないと言うわけじゃない。


「今日はほんとに、ゴブリンの数が!多いね!」


「だね!っと、ふぅ。これでもう何体目?」


「50から数えるのやめたよ」


 第五層に入った途端、ゴブリンの数が爆発的に増え、休憩を挟むことができず、疲労が溜まりに溜まっていた。もしこんな状態で、他とは一線を画すような異常個体イレギュラーと呼ばれるものに会えば、どうなるかは想像に難くないだろう。だが、彼女たちはそんなことは考えていなかった。普通ありえない、不運な出来事であるためである。しかし、ゴブリンが異常発生している、明らかな異変の真っ最中にいるのだ。いくら低い確率だとしても、ありえないほど数を揃えれば、一体や二体、普通にいるに決まっている。そのことを考える余裕もない2人は、最悪なケース異常個体遭遇を考えていなかった。


「な!弾かれた!?」


「ギヒャァ!」


 後衛を務めていた少女が、いつも通り魔法で作った氷の矢を放つ。着弾すると、弾けて周囲に被害を及ぼすが、威力があまりないため雑魚にしか効かないが、逆に言えば雑魚には有効な殲滅手段であり、今現在で言えば、最高の選択だった。しかし、それを一体のゴブリンが弾いたのである。

 油断により、弾かれたことへの動揺で、少し隙ができた。そこへ氷の矢を弾いたゴブリンが詰めてくる。


「させるか!」


「ゲヒィッ!」


 そこへ前衛を務めている少女が、後衛の少女へゴブリンを近づかせないために正面からあたる。


「く、こ…のぉ!!」


「ゲヒャア!」


 少しの間ゴブリンの棍棒と少女の剣が鍔迫り合いを行うが、ただのゴブリンとは思えない力に、押されかけ蹴りを入れようとするも、そのゴブリンは後ろへ飛び退き、蹴りを回避した。


「なにこのゴブリン!強過ぎでしょ!!」


「もしかして異常個体イレギュラー!?」


「ゲヒャヒャヒャヒャ!」


 彼女たちは、普通現れない異常個体イレギュラーが現れた、どうすればいい、どうしたら生きて帰れる、そのことばかり考えていた。ただし、答えはでない。格上との殺し合い戦闘の最中に出るわけがない。生を諦めていない彼女たちは、生き残ることだけを考え始めた。


 田中の初ダンジョンデビューの少し後の出来事。

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