過去 ②

あれからどうなったのか?


気になってはいたが知る術がなかった

それどころか指揮官から


 例の件についてはすでに解決したから

 あなた方は気にしなくてよい


という話があった

大多数が一安心していた

疑う余地なんてないのだ

そんな嘘をつく必要がないと

上層部、女神協会が言う事に間違いはない

そう信じている

まるでブラック企業のようだ

ひねくれ者の私は

 

 そんな訳あるか!

 そもそも問題の女神はどうした?

 戻ってきてないじゃないか!?


と心の中で苛立ちを抱えていた

うやむやにされてしまった事で

何か隠し事があるのではと余計に気になった


現状をなんとか知りたい私は

行方不明の女神のモニタルームに侵入した

彼女は言わば、出来る子 だったらしく

個室が与えられていた

こっそり、見つからないように彼女の部屋に入る


 うわ!なに!!〜モニターでかっ!

 できる人ってこんないいの与えられてんだ〜


評価の高さが与えられている物でわかる 

私とは段違いの評価だな

私はやる気を隠しているタイプなんだよ、一生ね


彼女の使用していたモニタは本人しか動かせないが

実際に繋がっているラインをどうにかこうにかすれば

私のモニタから接続可能になるのではないか

とあちこち調べる

セキュリティーなどないのだ

見られても困るものでもないし

こんな忍び込まれる事なんていないし

する必要もない

そういった点から考えても

ハッキング的行為はそんなに難しくない

単純に配線の差し込みを変える程度の

簡単作業でいけた

彼女の見ていた世界に一度だけ繋ぐ事ができれば

今後はブックマークでいける

そんな感じです


異世界と言っても

地球を含む宇宙にあるたくさんの惑星

さらに次元の違う世界

それらの並行世界

そこから時間軸の違う世界


宇宙に広がる無数の星よりも

多くの世界が存在している

そんな中から無作為に探せはしないので

全く知らない子だけど

勝手に部屋に侵入させてもらいました

ごめんね


という訳で自分のモニタから

彼女を探す事に成功した


彼女はすでに勇者と合流していた


 当たり前か、その為に行った訳だし


人族で勇者討伐命令が出ていた

帝国を主として連合国が

各国ギルドを通じて勇者に懸賞金を掛けていた

勇者がその気になれば人類など敵ではないのだが

同族を手にかける事などするはずがない

追手を払いながら1人逃亡生活をしていた所に

女神が降臨し勇者と共に行動するようなった

勇者の冷えた心が温められた


ギルドの情報から女神を名乗る女性が

勇者と共にしていると帝国に情報が入る

女神信仰が強い帝国は

逆賊の勇者に味方する女神など偽物に決まっている

そもそも降臨などありえない

彼女を女神の名を語る不届き者として

勇者と同じく討伐対象とした


2人の旅は人目を避けつつも

困っている村や街を救ってまわる

それでも感謝されない

勇者を懇意にすると帝国に捕らえられてしまうからだ

それを理解し一つの場所に長居しないようにしていた


心休まるのは2人の時だけ

2人の距離が近くのに時間はかからなかった


次に私が見た時は

魔族に襲撃された街を訪れていた

病気を癒し、怪我を直す女神

残党を払い、困ってる人を助ける勇者

2人は神秘の力を見せつけていた

勇者は人類の敵ではない

そう伝わり広まる事を願いながら


私は傍観者でしかない

行末は見ているだけ

この行動がいいのかどうか分からない


そうこうしているうちに

一つの小国にたどり着いたようだった

立派な城壁に守られている街

近くに魔獣、モンスターが

わんさか出る森がある危険地帯に

国家を構えている

RPG風に言えば最後の魔王城近くにある村

街中の武器屋にはこん棒なんて売っちゃいない

悪魔でも乗り移ってそうな

いかつい武器や鎧が売ってる

そんな武装国家であった


勇者と女神が門の前まで来たが

門番の姿がなさそうだった

2人は街中に入っていった

人影が見当たらず路地裏には

うずくまって倒れている人が数名いた

駆け寄って解放し話を聞く限り

数日前から体調を崩す人が

急激に増えたらしい


どうやらウィルス性の病のようだ

武が自慢の国家なれど

病気には勝てない

更にウィルスという概念がない

となれば女神様の出番

ただ治すだけではなく

再発しないように病気に対する

知識を与えていく

まさに女神的であった


やがて2人の行動は

国を救う形になり

国王が面会を求めてきた

王城に招待され感謝歓迎される

長い間い逃亡生活だった2人にとって

久しぶりの暖かい空間だった


王は若く武に長けており

そして恩義に忠実で漢気のある人物だった

2人の現在に至る経緯(いきさつ)を知った若き王は

国をあげて2人を後押しする事に決めた

2人の意思は関係なく事が大きくなってしまった


この事が更に2人を窮地に追い込んでいく事になってしまう


続く

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