君は天使⑨

街外れの爆発音のした方へ走っていく

魔王様と朝比奈先輩

たどり着いた時にはすでに警察が来ていた

その状況を野次馬ごとく遠目から見ていると


 『なんだろう壁が壊れてるね

 交通事故かな?

 ここが気になってきたの?』


朝比奈先輩が壊れた壁の方を見つつ

魔王様に聞いて来た


 『ええ、まぁそうなんですけど』


魔王様も破壊された壁を見つつ答えた


 やっぱ戦闘の後だろうな〜

 しかしその後の気配というか

 ここらに誰かいる気配が全くしないなぁ

 もうどっか行っちゃったか〜


そんな事を考えながら

一旦この場所を離れる魔王様


 『あ、ちょっと待ってよ』


と言って後をついていく朝比奈先輩

周辺をうろうろしても何もなさそうなので


 『やっぱただの気にせいだったみたいなので

 そろそろ帰りま…』


と魔王様が歩きながら朝比奈先輩に

言いかけた時

違和感を感じる場所を通った

普通に歩いていると認識さえしないような場所

今回のようにラトワネ達の心配をして

気配を探りつつ周辺に気を張り巡らせて

いなければ気がつかなかった

そんな場所を一度通り過ぎた後

もう一度戻ってその場所の前で立ち止まる魔王様


 ここ結界がはられている

 認識阻害?

 なぜこんな所にわざわざ?


 『どうしたの?』


朝比奈先輩が立ち止まって考え込む

魔王様の顔を覗き込みながら聞いて来た


 『わっ、あ、ここちょっと気になったので…』


朝比奈先輩の顔が近くまで来たので

びっくりして現実に戻される魔王様


 同性でもドキッとするわ、まったく〜


胸を押さえてボソッと呟く魔王様


 『工事現場?

 ん?あれ?全然気がつかなかった

 いつ通りすぎたのかしら…

 たしかに工事現場の前通ると

 何が出来るのかな〜って気になる事もあるね

 ここは〜マンションができるみたい

 ここに書いてあるよ』


朝比奈先輩が工事現場のフェンスに

貼られている案内表示を指差しながら答える


魔王様が入り口のフェンスのドアをソッと開けてみる

鍵はかかっておらず中に入れそうな感じだったが

なんだか嫌な予感というか悪寒がする

張られた結界が見えるわけではないのだけど

魔王様時代の感がここから先が結界の内部

外から認識されにくくなっているエリアだと

なんとなく感じる事が出来たのだった


 何の為にこんなとこに結界が?

 さっきの魔法の反応からすると

 ここが怪しいって事になるよな〜

 嫌な予感はするけど

 ちょっと入ってみるか〜


魔王様が中に入ていく


 『えっちょっと待ってよ』


そう言って朝比奈先輩も付いていく


 『なんかここ涼しいね

 ちょっと怖い気がする』


特殊な能力を持ってない普通の人でも

知らない場所で不安を感じる事があると思う

そういう場所ってきっと何かを体が感じてる

本来なら近寄らない方がいい

今まさにそういう場所にいるんだという事である


工事中の現場なので

木材や鉄筋や鉄パイプなどが

たくさん置かれている

その隙間を奥に向かって

進むと声が聞こえて来た


 『誰かいるね

 声が聞こえる

 ねぇなんか怖いけど大丈夫かな?』


朝比奈先輩が不安がる


 『そっと覗いて危なそうなら帰りましょう』


魔王様はそう言って奥の話声が聞こえる広場kら

少し離れた鉄筋がたくさん積まれてシートに

覆われてい壁のようになっている場所に立ち

見つからないようにソッと覗き見る


 羽が生えてる

 天使がいる

 となると…

 相手はラトワネ達の可能性が高い

 

天使の姿は見えたのだが相手が見えない

もう少しだけそぉっと顔を出し

天使の話相手を見ようとする

ゴクっと唾を飲み込み

見つかってはこちらに危険が及ぶ為

ドキドキしながらソッとソッと覗きみる魔王様


 ラトワネか

 マウか

 モウか

 魔女の可能性もあるか

 一体誰が…


ようやく相手の姿が見えた

知らないおっさんだった


 『え?誰??』


思わず声に出してしまう魔王様


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る