君は天使⑧
ほがらかムードの、山中大地と早坂優美、とその父
3人の目の前に突如上空より現れた羽を持つ人?が
行く手を塞ぐ様に立ちはだかった
『やっと見つけた、久しぶりだな』
そう言い放つ謎の人物
大地と優美は何がなんだかわからず固まっている
声を出す事も、逃げ出す事も出来ず
ただただ目の前の現実離れした状況に
呑まれてしまっていた
ただ一人、優美の父親を覗いては
『あ、あんたは…天使の』
少し怯えた声の優美の父親だったが
謎の人物を知ってる風だった
父親の反応を見て優美は
『お父さん、さっき言ってた人だよ
この人がお母さんの知り合いだって
言って来た人だよ』
小さな声で目の前の人物を凝視しながら
怯えた声でそう言った
大地はと言うと現状が把握できず
優美を見、父を見、目の前の不審人物を見
キョロキョロしてしまう
『あぁ、分かってる、知ってる』
と父親が優美に答える
その言葉を聞き天使と父が言い放った人物が
『20年ぶりくらいかな
覚えていてくれて光栄だよ
私の親友のカタキを打たせてもらいに来たよ』
そう言って
手のヒラをそっと前に出した瞬間
光が手のひらに収束されたと思ったら
光弾が発射され父親の横を通り過ぎ
ドガン!!
爆発音と共に後ろの壁を破壊した
3人がギョッとして後ろを振り向いた
壊れた壁を見た大地が
『え?え?カ、カ○ハ○波!?』
昔よく見たアニメのシーンが思い出される
子供頃なら誰しもが憧れる夢のような
出来事だろうけど
目の前で羽の生えた人間がそんな事をすれば
理解を超えてしまって恐怖ですらあった
呆然と壊れた壁を見つめていたその時
『キャッッ』
と優美の声が聞こえたと思ったら
横にいたはずの優美の姿がなく
いつの間にか光弾を放ったと思われる
人物に掴まっていた
『優美!』
父親が思わず叫ぶ
『この娘に罪はないんだけど
お前がまた逃げてしまわないように
ちょっと人質とさせてもらうよ
ここじゃ人目につく私についてこい』
そう言いながら歩き始める不審人物
仕方なくついていく父親
怯えてる大地を見て
『大地くん、君は帰りなさい
あいつが用があるのは私だけだから
君までつきあう必要はないよ』
そう言われて大地は
『お、俺も行きます
行かせてください
彼女を守るって言ったんです』
足は震えていた大地だが
優美が心配だった
ここで逃げ出す事は
出来ないと必死に恐怖を乗り越えていた
大地の真剣な眼差し見た優美の父親は
分かったと言って歩き始めた
『お義父さん、あいつは何者なんですか』
大地は不審人物の後を歩きながら
素朴な疑問をぶつけた
『お義父さんじゃなくて、私の名前はイアンな
まだ君からお義父さんと呼ばれるのを認めてないぞ
まぁなんだ、天使っていう存在分かるかな?
そういう感じの人種というか種族って言うか、ね』
大地はその話を聞き
頭の中で天使を想像したが
恋のキューピット的な感じでしかなく
カ○ハ○波を打つイメージは出てこない
『天使?ですか?
冗談、ですよね?』
と答えたが
イアンからの返答はなかった
『ここだ入れ』
天使と言われた人物がフェンスで覆われた
工事現場の様な場所に入っていった
イアンと大地も続けて入っていく
2人は入る瞬間に悪寒を感じた
時は少し遡り天使が現れた場所から
少し離れた新規オープンのドーナツ屋さん
魔王様と朝比奈先輩の姿がそこにあった
『これこれ、これが食べたかったの〜』
そう言って店舗前のオープンスペースで
ドーナツにかじり付く朝比奈先輩と魔王様
『めっちゃ美味しいですね〜』
魔王様は最近甘い物に爆ハマりしてしまい
朝比奈先輩と評判の良いスイーツ店めぐりを
たまにしていたのだった
ドーナツを満喫している時だった
少し遠くでドンっという爆発音のような
音が聞こえた
そんなに驚く音でもなく普通にしていれば
特に気になる程の音量でもなかったのだが
魔王様はある種の力を感じて
ハッとしてその方向を見て立ち上がってしまった
魔法?
いや神力か?
どっちでも同じか
となると〜
この前ラトワネが言ってた天使?
明らかに力を発動した感じだったが
天使が力を使う、となると戦闘?
人相手に何かする天使なんていないだろうから
敵と認識されるとしたら魔族
可能性を考えると
ラトワネ?マウ、モウ?魔女??
その後気配が消えたのも気になるな
と険しい顔でラトワネ達の心配をしていると
『どうしたの?』
朝比奈先輩からそう言われて現実に戻る魔王様
『いえ、ちょっと気になる事があって…
いや、あの、
ちょっと先輩、ごめんなさい
先に帰っててください』
と言って慌てて走って行こうと思った瞬間
手を掴まれた
『ダメ!勝手に行かせない』
そう言うって朝比奈先輩が初めて
怒った顔をした
『前にも一度あったけど
その前にも…あの事故の時と同じ顔をしてる
あの時、私があなたと1人にしなければ
あなたは大怪我をする事はなかったんじゃないか?
ってずっと後悔してるの
その後悔をまた私にさせる気?』
手首をギュッと握られながら
先輩の真剣な顔見て魔王様は
前って
勇者朝陽の怪我をしたって時の事か
あれはあっちの世界に呼ばれた為じゃなかな〜
分からんけど
でもこのまま行かせてくれそうにないよな〜
『うぅ〜わ、わかりましたよ
一緒に行きますけど
私が危ないと思ったら絶対に
引き返すって約束してくださいよ
私だって先輩を危険に晒したくないんですよ』
朝比奈先輩は黙って頷く
天使の気配した方向に走っていく2人
続きます
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