君は天使⑤

『ごちそうさまでした〜

 今日はありがとうございます

 とっても楽しかったです』

 

 『こちらこそ楽しかったよ』


お店の前でよくある風景

山中大地、以下大地と早坂優美が初デートならぬ

会社帰りに食事をした後だった


大地曰く、『今日は初デートなんだ』

と魔王様に自慢していたが

実は食事に誘っただけだったのだが

話を少しを盛っていたというか

ただ自慢したかっただけという話

それでも早坂には好印象を持ってもらえたようで


 『また誘ってくださいね』


なんて言われたもんだから

心の中でガッツポーズをしているのであった

早坂を駅まで送っていき

電車に乗ったのを確認し発車すると共に

お互い手を振り合う

大地が感動で涙を流す


電車が見えなくなるまで手をふり

その後、拳を握りしめうずくまって必死に喜びを噛み締める

山中大地


 『なにこれ幸せすぎる』


一方電車内の早坂も一緒の時間が

楽しかったようで社内で思い出し笑いをし

ふと周りの目が気になり笑顔を取り消すも

気持ちはフワフワしていた


 久しぶりに楽しかったな〜


扉近くに立って外を眺め暖かい気持ちになり

電車の揺れに身を任せて目を閉じて

明日が楽しみになっていた

そんな浮いた気分で駅から家まで歩いている時だった

周りに人の気配はなかったのだが背後から声がした


 『少し聞きたいのだがよろしいかな?』


早坂はビクッとなって振り向いた

どこから出て来たのか急に人がいたので

驚いたが相手が綺麗な女性だった為

少し安心もし、幽霊?という恐怖感も出て来た時に


 『私はあなたのお母さんの古い友人なんだが

 お父さんはお元気ですか?』


女性が急に母の知り合いだと言って来た

 

 私の母は、私が子供の頃に死んだはず

 その母と友人?

 どう見ても私と同じくらいの歳にしか見えないのだけど

 若く見えるとかいう感じにも見えないし

 お父さんの事も知ってる?

 でも父の近況は知らないみたいだし

 なんだろ怪しい関係の人なのかな?

 

早坂は相手の女性を見つつ返答に困っていた


 母の友人というのが引っかかるし

 綺麗な人だけど

 なんか怖い雰囲気がする


 『ち、父は今どこにいるか知りません!!!』


そう嘘を言って走って逃げた

後ろを見たが追ってくる様子はなかったが

普段とは違う道に入ってから家に向かった

追ってこないと分かったので

走っていた足をゆっくりと止めた


 『ハァハァ、なんか気持ち悪い人だったな〜

 お父さんに一応聞いてみたいけど

 今日夜勤だったし、明日の朝連絡してみようかな』


そう言った後にふと顔を上げた瞬間

さっきの女性が目の間にいた


 『ひっっ』


驚きのあまり声が出ず

思わず座りこんでしまった


 『いや、すまない

 君に危害を加える気はないのだ』


平然とした顔で言われたのが余計に恐怖を煽った


 な、どうなっているの

 先回りするような道はなかったはずなのに

 いったいどうやって

 怖い、逃げられない………

 け、警察に


 『き、きゃあ〜〜〜〜〜』


とりあえず大声を出して走り

近くの交番目指して必死に走る

また先回りされるかもしれない

何者かわからない物と出会った恐怖で

足がもつれそうになりながら交番に駆け込む


続く

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