君は天使④
妹、月依(つきよ)と怪鳥の話をした次の日
魔王様が目を覚ますと、ラトワネから天使の話に
ついてメッセージが来ていた
どうやら接触があったらしい
内容は天使に知り合いがいるか?
についてだったが
まさかいる筈もないので
いるわけないじゃん
と送信しておいた
出勤の準備も板についてきた魔王様
この世界の生活になれすぎちゃったな〜
精神と体に違和感がなくなってきてる気がする
『それじゃ行って来ます!!!』
魔王様が家を出ようとしたら
洗面所から月依がひょこっと顔を出し
『あれ?今日早くない?』
と歯を磨きながら
玄関の方に向かって出て来た
『ふふふ、満員電車対策だ!
早い時間だと少し空いているのだよ』
魔王様が自信満々に胸を貼って自慢げに答えた
自分自身で時間を決めたのだ
この世界の理に食い込んできた
そう言った何かよくわからない自信が
自慢したくなったのだった
『ふ〜ん、あっそ』
月依は興味なさそうに洗面台に
戻って行った
あれ?反応イマイチだったな
もうちょっと驚くかと思ったのだがな
なかなかの奇策だと思うけどなー
まっいっか
電車が快適だった事は
会社についてもなぜか気分よかった
なんか今日はがんばれそうな気がする
そう思い自販機のオロナミンを飲む
と、そこへ朝比奈先輩がやって来た
『あれ、朝陽くん早いね〜おはよう』
満面の笑みが眩しい
『おはようございます、先輩』
昨日の胡散臭い天使なんかより
この人の方がよっぽど天使だよ
もはや女神クラス
元女神の私が言うんだから間違いない
勇者朝陽が惚れるだけあるね〜
性格良し、スタイルよし、人望大、仕事も出来る
私も同性ながら惹かれちゃうもんな〜
後方腕組みプロヂューサーのように
目を瞑ってウンウンと頷いている魔王様
『どしたの朝陽くん?』
少し首を傾げて不思議そうな顔をする朝比奈先輩
『あっいや、なんでもないです』
照れ隠しで笑っている所に
同期の山中大地の声が聞こえて来た
そして一緒に歩いているのは
昨日大地が幸せそうに話をしていた女の子だ
いちいちリアクションが大きい大地の話を
とても楽しそうに聞いてくれている
そんな二人の様子を見つつ
やっぱなんか気になる子だな〜
雰囲気がちょっとなんだろうな〜
かわいいから気になるだけかな
と、じっと見ていると
『朝陽くんあの子が気になるのかな〜
かわいいもんね〜〜』
朝比奈先輩が茶化して来た
ハッと我にかえり
『いやいや大地のにやけた顔がキモいなって』
少し遠くの廊下にいる大地を指差し
朝比奈先輩に
『ねっ?』
と言うと朝比奈先輩も
ウンウンと頷いていた
二人してじっと見すぎた為なのか
向こうもこっちに気がつき
大地がこっちの話をしているように見えた
たぶんあっちも同じような話してんだろうな
そんな事を思っていると
大地が女の子と別れて
こっちに歩いて来た
そして魔王様の前に立ち
『朝からいちゃついてんじゃねー』
と大地がニヤニヤしながら横目で
朝比奈先輩を見つつこっそり耳打ちしてくる
その近づいた顔がうざいので魔王様は
手で顔を押し除けて
『オマエガナ』
『昨日も見たけどあの子誰なの?』
と魔王様が言葉を返すと大地が
『先月派遣されて来た
早坂 優美(はやさか ゆみ)さんだよ
人目見てまぁあれだよ
言わせんなよ〜ワハハハ}
はしゃぎ倒す大地
楽しそうだな〜
人間ってこんなに喜怒哀楽が豊かに
表現できるんだな〜と改めて思う
『私そろそろ行くね、また後でね朝陽くん』
隣にいた朝比奈先輩が先に事務所に
向かうので手を振り見送る
やっぱ朝比奈先輩マジ天使
『今日初デートなんだよ〜!いいだろ〜』
聞いてもないのに言ってきた
朝比奈先輩との余韻が台無しだ
マジでお花畑脳だな
『あれ?付き合ってんの?』
大地なら付き合ったら真っ先に自慢しに来るのに
初デートなんて急展開なので
興味はないけど、こっちから聞いてみた
『いや〜そう見えちゃいます?
まだそこまでじゃないだけどな〜
いや〜照れるわ』
大地が胸に手を当て天井を見て
勝手にロマンチックに染まってる
『とりま楽しそうでよかったですねー
もう仕事行っていいですかー』
魔王様が行こうとすると
『もうちょっと聞いていかない?』
まだまだ話足りなさそうな大地を置いていく
休憩所には外を眺める事が出来る窓がある
そこからたくさんの人行き交う歩道と
バス停が見えるのだが
ふと視線を感じたので外を見ると
人混みの中から一人の女性が
こっちを見てるように思えた
しかし次見た時にはそこには誰もいなかった
気のせいかな?
自意識過剰かな
私も朝比奈先輩とスイーツでも食べに
行こうかな〜
そんな事を思いつつ
職場に向かう魔王様
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます