君は天使③
『ありがとうございました〜〜〜』
魔王様が天使の動向を危惧しながら
お皿洗いをしていた同じ頃
とある場所のコンビニ
自動ドアが開き
悪魔のコスプレ姿にも見えなくもない
この世界の魔界カフェで働く元魔王様の部下
ラトワネが袋にアイスとお菓子を詰めて出てくる
『はぁお風呂上がりなのに
またお風呂に入らなくちゃ…』
ため息ついて落胆するラトワネ
その数分前の出来事
『はぃ!ラトワネの負け〜』
マウとモウ、そしてオーナーの魔女が
いっせいに声を合わせて笑う
頭を抱えるラトワネ
お風呂上がりのプチブレイク時間に
突如始まったUNO
ただ普通にしても面白くないとの事で
何かしらの罰ゲームを企画したのだ
カードゲームの罰ゲームは
大した事でなくとも意外と盛り上がりに
花を添えたりする物である
罰ゲームの内容は
お風呂上がりだけどコンビニに全員分のアイスを
買いに行く、もちおごりで!
という内容だった
『はぁぁ、あんなにカードが残った状態で負けるなんて
考えられないわ』
一人大敗を喫したラトワネ
他の3人が上がった時に
ラトワネの手持ちのカードが
ゲームが終わったとは思えない程の枚数だった
『罰ゲームがかかるとダメなのよね〜
プレッシャーに弱いのかしら』
ぶつぶつ言いながら夜道を歩いていると
人気のない道筋に入ってすぐ
背後に急に気配を感じた
明らかに殺気を帯びている気配に
振り向くと同時に上段後ろ回し蹴りを
繰り出す
空を切るラトワネの回し蹴り
その蹴りをギリギリでかわし
後ろにジャンプして距離をとる人影
かわされた!?
手加減したとはいえ
触れる事もなくかわされるなんて
『なんですかあなた?
ただの変質者ではなさそうですが?』
ラトワネはまさかの出来事に驚き
暗闇でよく見えないが
そこにいるはずであろう人物に問いかける
暗闇にただずむ人影が口を開く
『魔族の気配がしたものだから
もしかしてと思って来たけど人違いね』
顔が見えなかった人影が近づいてくる
薄明かりの中、その姿がラトワネの視界に入る
たたんでいるが背中から翼が見える
『翼?突然変異じゃないのでしたら
人ではなさそうですね?』
ラトワネが戦闘体勢を取りながら
周りを警戒する
『なんとなく分かるだろうけど
私は天使だよ、クソ魔族さん』
ラトワネを見下したように
半笑いで自分の正体を明かしてくる天使
ちょっとイラッとしたラトワネが売り言葉に
返していく
『あらそうでしたか
で?バカ天使さんが何か御用ですか?
お世話のなるような事はしていませんが?』
天使を警戒しつつ周囲の気配をさぐるラトワネ
周りに人、天使の気配はなさそうですね
一人ならなんとかなるかな〜
戦うとなったらここじゃ人目についてしまうし
逃げるが勝ちかしら
というか天使がここで戦闘は始めるとは
思えないし
目的は一体なんなの
逃げ道を確認しつつ天使にも警戒しながら
ラトワネは思考をはりめぐらす
警戒しているラトワネに
天使が敵意がない事を伝えてくる
『ちょっとした知り合いをね
違ったみたい
あなをに用はないわ
じゃーね、あまり目立つ行動しないように』
そう言い残した瞬間、猛スピードで
上昇し姿が見えなくなった
『目立つ行動って…ってお前やん』
『アイスが溶けちゃう…』
コンビニ袋を眺めながら一体なんだったのだろうと
思いつつ帰宅路につくラトワネ
『ただいま〜』
ラトワネが事務所に帰ると
マウとモウが
『おっそ〜〜〜い』
そう言ってコンビニ袋に飛びつく
『あ〜ごめんね〜』
と言った瞬間コンビニ袋がマウとモウに
強奪される
『アイスちょっと溶け気味なんだけど〜』
マウとモウが残念そうに頬を膨らませる
『私のせいじゃないわ、天使に絡まれたのよ』
とラトワネがふて腐れて言う
がマウとモウはアイスとおやつに夢中で聞いてない
『天使がいたのかい?』
魔女がアイス片手に聞いて来た
『ええ、なんか知り合いを探しているだとか
言ってましたけど…』
とラトワネがその時の状況を魔女に説明する
『へぇ〜珍しいね
魔族と天使、お互い認識しても
見なかった事にする事が多いし
ましてや話かけるなんて
初めて聞いたけどね
パトロールに来てる下級天使が
わざわざ面倒を起こすような事を
するなんて
一体何考えてるんだろうね〜』
魔女は机に腰掛けてアイス片手に
気にしなくてもいいんじゃない?って感じで
話をする
それを聞きつつラトワネは知り合いという言葉が
気になっていた
魔族に知り合いのいる天使って
そんなの事あるのかしら
ってか殺気あったけど…
う〜ん
魔王様…は違うか
あの人は今普通の人間だし
心配する事でもないけど
一応お伝えしておこうかしら
そう思いスマホをとり魔王様に
メッセージを送るラトワネ
ほんと便利な機能ね
どう考えてもカラクリがわからないわ
このスマホとかいう文明機器
続く
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