悪意の無い悪⑤
マウが須磨に密着4日目
今日もマウと駅で合流して会社につき
須磨にマウが密着盗撮する為に会社前で
あいつを探すがいない
まだ来てないのか〜と思い
とりまマウを肩に乗せたまま待つ
『こないですね〜魔王様』
とマウが魔王様の胸ポケットから顔出す
『そだねぇ、先に事務所でも行って待つか』
魔王様がマウを連れて課の事務所に行くも
やはり須磨の姿はなかった
『マウはとりあえず席で待ってな』
『少ししたらまた様子見に来るよ』
と魔王様の胸ポケットからマウがパタパタと飛んでいく
さて私も一旦出社しよ
一旦出社しすぐマウの様子を見に行くと
何やら騒々しい
そーっと覗いている魔王様
『ちょっと全部確認して!そっちは大丈夫そう?』
『こっちは大丈夫みたいですね』
『各グループ全員のPCから確認お願いね』
プロジェクトリーダーの田口来未(たぐちくるみ)が
慌ただしく指示を出している
その様子を覗き見しているとマウが飛んできた
『魔王様、須磨が消えました
一緒に重要なファイルが奪取されたみたいです』
とマウが騒々しい理由を教えてくれた
『そうか、事が起きたってわけだね』
マウと話ながら事務所を覗きこむ
田口の困った表情が切羽つまっており
事の重大さが計り知れる
『そう被害は一つに絞られそうね、
とりあえずみんなは通常作業に戻って
損失した箇所は……
私がなんとかする!』
と田口が歯を食いしばっている
『そんな、無茶だよ』
『一人でなんとかなる量じゃないよ』
社員AやらBやらが田口の心配をしている
『うん、ありがと
まぁなんとかなるよ、大丈夫まかせて!』
言葉とは裏腹に顔色はよくない
その顔を見て魔王様はギュッと拳を握る
『マウ、行くよ』
魔王様はマウを胸ポケットに入れて
事務所に戻り、急用で早退する事をつげ
怪しまれつつもうまく切り抜け
帰る準備を終え、出ていこうとすると
『朝陽君、大丈夫?なんかあった?』
朝比奈先輩が心配になったのか待っていた
あ〜吸い込まれそうなその心配してくれる目
朝比奈さんは今日もかわいいな〜
といつも通り見惚れてると
『朝陽君?』
と朝比奈先輩の声にハッと我にかえる魔王様
『あ、いや大丈夫です、急で申し訳ないです』
と魔王様が朝比奈先輩に頭を下げる
『ううん、いいけど、何かあるのなら言ってね』
朝比奈先輩が心配してくれている事に申し訳ないと
思いつつも、大丈夫である事を告げて急いで社を後にする
『マウ、魔女に連絡とって!そっち行くって』
胸ポケットにいるマウに魔女への連絡をとらせる
『あぃ、りょうかいです』
連絡をとらせつつ魔女の元へ向かう魔王様
くそー分かっていた事とはいえ
田口に、あの娘にあんな顔をさせてしまった事に
悔いが残る
仕方がなかったが
おとりに使ったようで申し訳ないし
情けないような
怒りのような気持ちが込み上げてくる
もう最近は朝陽の記憶からの気持ちからなのか
自分の本心からなのか、とかそういう事は考えなくなってる
今、思う気持ちが本気なんだと
そう考えるようにしている
助けたい、今魔王様がそう思っている事に
何も嘘はない
悶々とした気持ちで魔女の元につく魔王様
続く
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