悪意の無い悪④
時間は3時。マウを待つ魔王様
パタパタと飛んできて魔王様のスーツの胸ポケットにインするマウ
『おまたせです、まおうさま』
とポケットの中から小声で挨拶するマウ
そして少し大きくなってポケットから顔を出す
『やつの様子はどう?』
と魔王様が聞くとマウは
『ん〜と、マウわかんない』
と即答。
『だよね〜私も見てもわからんわ』
と知識の乏しい二人が様子を見た所で、何か動きがあっても
理解できない為、これ以上話に広がりはない
『今日、帰りはどうするんだ?』
と魔王様がマウとの待ち合わせに関して話をすると
『マウ、今日は密着24時です』
と、何かのテレビでやってるタイトルで答えてきた
『あ、そうなんだ』
大変だな〜と思ったが恐らくカメラセットしたりとかしたら
寝てるんだろうな〜と思ったので言わなかった
『やつのヤサをバッチリ盗撮してヤリマスゼ、ウヘヘヘ』
なにやら楽しそうに言ってくるマウ
そんな会話をしてる最中に後ろから
『ワッッ!!!』
と背中を叩かれた
『ぎゃっあ!』
とびっくりして振り向くと朝比奈先輩だった
『あははは、そんあに驚く?ぎゃって〜』
『何一人でブツブツ言ってんの?』
と朝比奈先輩の視線が胸ポケットにいく
しまった!
マウが顔だしたままだ
見られた!?
『びっびっくりしたな〜』
と言いながら胸ポケットを手で覆い隠す魔王様
『なにそれ〜かわいい〜人形?』
と朝比奈先輩が触ろうとした
『あっいやこれ、これは妹のが間違ってポケットに入ってて
どうしたものかな〜なんて、あははは』
と触らせまいとして胸ポケットのマウを下に押し込む魔王様
『うぎゅ〜〜〜』
とマウが苦しそうな声を出してしまった
『え?今何か言った?』
とポケット見つめながら朝比奈先輩が驚いた表情をしている
『いやまさか、喋りませんよアハハ。お、音がするんです。ぎゅ〜ってね』
必死で取り繕う魔王様
『そ、そうよね。なんかリアルな声に聞こえたからびっくりしちゃった』
と朝比奈先輩がアハハハと笑いながら照れ隠しのような表情をしてる
『で、ですよ〜やだな〜アハハ』
やば〜マウをもうちょい小さくさせておけばよかった
一瞬無言の時間が流れて気まづい二人
『あっ、仕事?仕事ですか?ですよね』
と魔王様が話を振ると
『そう、そうだった。私これから少し出かけようとして
そしたら朝陽君が見えたのでちょっと寄ったの
と言うわけで行ってくるね』
敬礼してその場を立ち去る朝比奈先輩
『いってらっしゃいませ〜』
と手を振る魔王様
は〜びっくりした
会社では気をつけないないとだな
とホッと一息ついた所でマウをポケットから
出そうとした魔王だったが
なんとなく背後が気になったので振り向くと
『わっっぁ!ってあれ?』
同期で今回のターゲットが所属する課の
プロジェクトリーダーに抜擢された田口来未だった
驚かそうとしていた所を察知されびっくりしている
『あれ殺気でも出てた?』
と田口がきょとんした顔で言う
『いや、殺気は感じなかったけど
今朝の星座占いで今日は背後に気をつけて
斬り付けられますって言ってたから』
魔王様が冗談まじりの真顔でかえす
『いったい何時代の星座占いなんだよ、昭和か』
と田口も軽く返してくる
『昭和なわけないだろ!大正だよ』
魔王様も同じテンションで返すが
『いや大正もない』
素で田口に突っ込まれた
まじなのかギャグなのか微妙な時代設定になってしまった
そこらへんは異世界出身者なのでまぁ適当
『なんだよ〜せっかく驚かしてあげようと思ったのに〜』
『こんなチャンスもうないよ?』
田口が残念そうに言ってくる
『なぜこちらが残念がならないといけない立場なのかわからないが?』
といつもの軽口大会であるが
朝陽の記憶からするに毎回こんな感じなのである
魔王様もそれにならって軽く返せるよう実は練習している
毎回割と大変
『ふっ今日も調子がよさそうだね朝陽』
そう言って田口がニコニコしている
『オマエモナー』
魔王様もニコニコしている
そんなつまらない事を言い合い
無駄に休憩時間が過ぎたので
『じゃね朝陽〜戻るわ』
田口が手をふりふりして帰っていく
『おぅ。気をつけてな』
と魔王様が心配そうに言った
『あは、気を付ける?がんばってな!じゃなくて?』
と田口が首を傾けてる
『どっちもよく似たもんだよ』
と魔王様が笑顔で答える
その田口の肩に小さくなったマウがのっかる
それを見送り魔王様も特に何もする事がないのだが
一応自分の仕事場に戻っていく
そのまま何事もなく4日過ぎた時だった
魔王様が会社につくと田口の課がざわついていた
続く
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