魔界カフェ?③
私は、魔界をモチーフにしたコンセプトカフェを見つけ、
私の居城によく似たというか
ほぼ見た目は同じ建物にただならぬ既視感を覚え、恐る恐る中に入ってみた
まさか異世界で勇者の気持ちになろうとは思いもしなかったが
コスプレ悪魔娘に紛れて
本物が働いていてびっくり。しかも戦死したと思ってた
私の部下だった事に更に驚いた
転生ではない何かしらの力でこっちに来た、というか飛ばされてきたっぽいな
という前回の流れでした
『で?続きを聞こうか?』
と私が促した所
『魔王様、ここで長話もなんなのでちょっとこちらへ』
とラトワネが私を客席から奥にある部屋に案内してくれた。
コンコン
『モウ、マウいる〜?入るよ〜』
とラトワネが扉を開けて中に入ると
『いるよ〜』
『いるよ〜』
どっちがどっちだか分からない双子のロリっ子魔人がゴロゴロしながら
こっちを見た二人は不思議そうに
『誰そいつ〜』
『誰そいつ〜』
一切のズレがない話し方は変わらんな〜と思い少し嬉しく思っていると
ラトワネが
『魔王様、ちょっと先ほどのように力を示して頂いてもよろしいですか?』
そう言われ、本来の力の1割も出せない事に恥ずかしく思いながら
威嚇で圧を二人に向けた
『ま、まおうさま〜!?』
『ま、まおうさま〜!?』
『な、なんでここに〜?』
『な、なんでここに〜?』
こんな状態でも魔王様と読んでもらえるとちょっと嬉しい。
『久しぶりだね、モウにマウ』
と私は双子に懐かしみを覚え、また異世界で部下とはいえ
自分の事を知ってる者に会えた嬉しさから少し
涙目になってしまった
『そうだね〜何年振りかな〜』
『そうだね〜何年振りかな〜』
と双子が言う。
『何年って大袈裟な。気持ちはわかるが数ヶ月レベルの話じゃないか』
『まっそんな気持ちになるのも分からなくないがな』
と私が言うと、ラトワネ、双子が難しい顔をしていた。
そしてラトワネが
『いえ、魔王様。冗談ではなく私たちがここに来て2年は経過しています』
そう言うと私は驚愕してしまった。
『いや、まて私がお前達の行方不明の連絡を受けてから
半年と経ってないはずだ』
と私が言ったのに対してラトワネが
『魔王様はこちらに来てどれくらいですか?』
『私か?私はまだ2ヶ月くらいだ』
と私の答えに4人とも難しい顔をして考えていたのだが
どう考えても分からない物は分からない。
そこで私は
『とりあえずこの件は後回しだ。考えても謎が解ける話でもないだろうしな』
『さっきの話の続きを頼む』
と私が言うとラトワネは続きを話始めた
『そうでしたね。途中でした。
それで私達が途方に暮れている時でした。後ろから声を掛けられたんです
おやおや、魔族の気配を感じたから来てみたらビンゴだねって
そう言われて一瞬攻撃態勢に入ったのですが、その瞬間同族だと分かりました
その人は魔族特有の羽を持っていたんです
その人が今この店のオーナーでこの辺りを仕切っている魔女と呼ばれてる方です
まぁなんやかんやありまして、色々お世話になり、今ここでこの世界に
溶け込んでお店なんかもしちゃったりして美味しいもの食べたりしてます』
とラトワネが最後に笑顔になった事で、今それなりに悪くない生活を
しているのだと理解した
『魔女?そいつは、いやその方は何者なのだ?』
と私が聞くと
『ん〜私達が言うよりも本人に会ってもらった方が早いかもですね』
とラトワネが言い、こちらへと言われるまま着いていきエレベーターで
最上階まで上がり大きめのドアをノックし中に入る。
すると中にいたのは、羽は隠され見た感じこの世界の女性の姿だが
気配は魔、そのものの人物が座っていた。
『そろそろ来る頃だと思ったよ。さっきからちょいちょいこちらにまで
あんたの覇気が届いてたからね』
とその魔女と呼ばれる女性が私の目を見ながら言った。
『あんたが、あなたがこいつらを救ってくれたらしいね。
礼を言うよ、ありがとう』
と私は本当にそう思い心から礼を言った
『たまたまだよ。私の近くに飛ばされてきたようだったからね。
ほっとくと事件になるしね』
確かに訳の分からない所に来たとはいえ、相手が人族だと判断したら
ラトワネ達はその力をぶつけるだろう
そして大変な騒ぎになっていただろうな
と、ここで生活を重ねて来た今だからわかることだ
そこでラトワネが
『オーナー。こちら私らの世界の魔王様です。訳あってこちらの世界に
来てしまいましてたまたま、この店の名前に気がつき、こちらに来られた所
私と会うことができました』
そう言うと魔女が
『そりゃ凄い偶然だね。まっここで会えてよかったさ。
で魔王さん何しにこの世界に?』
と言われ、流石に漫画のごとし展開だよな〜奇跡に近い巡り合わせ
そこはいいとして、何しにと言うか間違って飛ばされたと言うか
事故かな〜と思い
『事故だよ』
私はそう答えた。
『あははは、事故ってそれは災難だね』
と言われ
『まぁね』
と答え一緒にフフっと笑い合い、悪い人?ではなさそうだと判断した
『それであなたは魔女と呼ばれているようだが魔族で間違いないのだな?』
と私が彼女に問う
『魔女ってのはここら辺の人間達が勝手にそう呼んでるだけだよ
まぁ100年くらいは姿が変わらないんじゃ、魔女どころか人間にとっちゃ
化物だよね、フフフ』
そう魔女と呼ばれる彼女が答えた
『100年ってあんた一体いつからこの世界に?』
と私は驚きこの世界にそんな前から魔族がいた事に驚きは隠せない
『そうだね〜この国、日本に来て100年くらいだが、別の国に突如放り
出されたのはそれより数十年前かな〜そこら辺の事はあまり覚えてないね
異世界だなんだとよく分からない歳だったし、まだ10歳くらいで何がなんだか
分からずいきなり知らない世界だよ。必死で隠れて過ごしながら獣をとって
生活してたのさ
ある日、喉が乾いて家畜の血をすすってたらさ、人に見つかってしまってね
それまで家畜や獣の変死体が全部私のせいになって、と言うか多分ほぼ
私なんだろうけどさ、そしたらチュカパブラなんて変な名前付けられちまって
懸賞金まで掛けられたんでこりゃやばいと思って飛んで逃げて
船乗ってここに来てって感じさ。
人の姿を取り入れてからは、マフィアって言うのかね、そう言う人達のもとで
働いてたんだが、暴力に関しては抜きんでてる訳だからいつの間にが
ボスの右腕やら左腕やらで、今ここいらを仕切っていると言う訳だ』
伝説のUMAの正体がこんなところに!
『そういう事例と言うか、あんたの他にも魔族はいるのか?』
と私が聞くと
『いない事はないが、何度か見たくらいだ。数年前に一度話せるやつがいたが
すぐいなくなったし、それ以後はあの子らだけだよ
あんたのいた魔界でも、地上界の人族にでもあったと思うが
急に姿が消えてしまうような現象。魔界なら闇に落ちたとかいうけど
人族なら魔界に落ちたとかね、
こちらの世界でも神隠しとか何々様に連れて行かれた、とかね
恐らくだがそういう事は昔からあったんじゃないかな
入り口や出口はわからないが何かの力が働いてつながってしまう
そういう事があるのかもしれないね
女神族もそれを調べにたまにこの世界に来ているみたいだよ
あいつら隠し通せないくらいの力を発しているから
すぐ分かるよ。そこいらの男なら一瞬で落ちるね』
女神も調べている?なんかもう訳がわからないと思って
天を見上げていると魔女が
『で?あんたはどうするんだい?あの子達を取り返しに来たのかい?』
と言われ私は
『ん?あ、いや私はそういう訳ではないよ。というかそういう力はない
本当に間違って転送されちゃったんだよね。ここに来たのも偶然だしな
近いうちに戻るとは思うがあいつらが望んでも私にはどうにも出来ないし
それにあいつら意外と楽しそうなんでな
あんたに任せていいのかな?と思ってるよ』
そういうとラトワネが
『え〜〜帰っちゃうんですか〜〜』
『ヤダ〜魔王様〜』
『ヤダ〜魔王様〜』
とモウとマウ続く
そして魔女が
『それはこちらも助かるよ。任せるも何も私の方こそ頼っているのさ』
やっぱいい人なんだろうなと改めて認識する。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます