第3話 プロローグ③
ロリっ子賢者の独り言ともとれる小さな声が魔王様の耳に届く。
『ひとがた!?』
『あはは、魔王様ともあろう私がこんな姿では拍子抜けかな?』
と魔王様が睨みつけながらも、どこか余裕な態度で勇者パーティを威嚇する。
そしてさらに
『見た目がかわいいのは認めるが強さも保証するので
遠慮なくきてくれてかまわんよ』
フンッと鼻息荒く声を上げる魔王様……なのだが、実は内心
ほらなぁ、絶対馬鹿にしてくると思ったしぃ
この姿で魔王だ!って言っても迫力ないもんな〜
ちょっと落ち込む魔王様。実際、魔王様のいでたちは魔王という
イメージからは程遠く、人族で例えるのなら
『綺麗なお姉さん』という感じなのである。魔王様は人族の前に姿を見せるのは初!
そう、初出しでコレってどうなの?ってずっと気にしてたのである。
勇者パーティが到着する少し前の事。
玉座の間、隣の控え室にてダラダラしてる魔王様。
遠くからバタバタと足音が聞こえてきて何事が叫んでる様子。
その直後、扉が開き
『魔王様!!勇者がきます!すぐそこに来ています!!!!』
クマのぬいぐるみの中にスライムを入れて従者として雑用係にしている
クマイムがすっ飛んで来た。
『あ〜わかっている。四天王がやられるとこ水晶で見てたし〜。多勢に無勢だよね〜正義ってなんなのさ!って思う。まったくもう。そろそろ準備して玉座に行くからお前は隠れてなよ』
と言ってクマイムの方を見ると、もういなかった。
『……っ』
『はぁ……。さてと上の鎧は〜歴代の魔王ってごっついし見た目で恐怖心を
与えてたもんな〜
となるとせめて鎧は魔王っぽいごっついこれにしよう』
上から着るタイプの鎧。黒くそこそこゴツゴツしているが実は魔王様の趣味ではないのだ。
『ん〜胸のあたりがちょっときついかな……
あまり動けないと困るから下は軽めにしといて
このバフがたくさん掛かったチート装備のスカートにしとくかな』
という感じで魔王様は見た目がっぽくない事が
唯一の悩みでした
勇者か…
あいつみたいなのが来たらと思うと
怖くて仕方ないな
あんなのがそうそういるとは思わないけど
できればいい戦いになって
後は勇者の人間性に賭けるしかないな
魔王様は人が苦手だった
人ほど邪悪になれて
執念に取り憑かれると
魔族なんかよりもよほど恐ろしいと
そう思っていた
しばらく玉座で待っていると
勇者朝陽の姿が見えてきた
その姿を見て少しホッとする
よかった黒くそまってなさそうな青年だ
後はうまくやればいいかな
『貴様が勇者か!
悪いがここで死んでもらうからな!』
なるべく悪い感じを出してみた魔王様でした
続く
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