第2話 プロローグ②

時間は少しさかのぼり、魔王の間の扉を開け中に入る勇者朝陽と愉快な仲間達。


 部屋の中はたくさんのゲームや物語に出てくるように、長い通路の周りにはランプが灯され、何も物が置かれてなく殺風景な部屋、というかこれから戦いが行われる事になる場所という感じだ。その長い通路を朝陽が先頭になり歩いていくと、しばらくして階段が見えてきた。


階段を見上げるように少しずつ目線を上げていくと、玉座が見え、そこには悠然と足を組み、肘掛に手をかけ、頬杖をつき、こちらを見下ろしている魔王とおぼしき物の姿が目に入った。全員が息を飲む、そしてロリっ子賢者が驚いたように


『嘘……人型??』


と小さな声で独り言のように呟いた。その言葉に俺以外の全員が息をのむ。そう、この世界の魔王像とは過去存在したとされる魔王の姿が古い文献から見て取れる。その姿のほとんどが、THE魔王という姿だ。大柄で角や羽があったり、毛むくじゃらだったり、それこそ獣や龍の姿がほとんどであった。ただ賢者の住む村の長おさが伝承の一つとしてこう言っていた。


『その姿は人族と変わらない見た目であった。人の小さな姿で巨人やドラゴン、大型の獣や魔獣と、魔界に住む魔族を従え服従させていた魔王がいたという』


ありえない存在というか空想上の物として話している印象だった。さらにこう付け加えた


『もしそんな小さき姿のまま魔界を統べていたのなら、その力は強大であるだろう』


と。その話を聞いたパーティメンバーは青ざめていたが、俺の元いた世界のアニメや漫画なんか結構いたけどな〜と、あまり畏怖の意が理解できなかったし、今もなんかしっくりきてる。


 ロリッ子賢者の声が聞こえたのだろうか、玉座に座り悠然と見下ろす魔王が口を開いた……

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