第18話
「人は自分が正しいと思えば思うほど辛くなる」18
マミとの生活も安定してきていてマミの母親ともたまに顔を合わせるようになった。
マミの母親は男を作り同棲していてマミの事は忘れているように思える。私とは会っても直ぐに帰っていく目的は月に三万円を渡しにくるのだ。私はそれを何も言わずに受け取ることにしている。毒親が自分の子供のために素直にお金を渡してくるだけマシだからである。
マミの母親が帰っていく後ろ姿を見ながら珈琲を飲む溜息は出ない。
最近トラジが来なくなっていてLINEをしても返事が返ってこない事がある。
「飽きちゃったのかな…」
三人でご飯を食べたり休みを合わせて出掛けたりしていくうちにこのまま三人で暮らしていけるのでは無いかと幸せを感じていたがトラジにはどうでも良いことだったのかもしれない。やはり他人だから共通の気持ちは持てないのだと思った。
私はマミを迎えに行って手を繋ぎながら繁華街を歩いて駅まで向かう。途中、皮ジャンを着た人を見るとトラジかと思ってしまう。
マミも顔には出さないが寂しそうにしている。
二人でオムライスを作ってジブリを観ながら食べる。ふとしたときに携帯を見てしまう。鳴ってもいないのに見てしまう。
マミが寝てから一人でお酒を呑むが全く酔わない。ビールが不味い炭酸水を飲んでるみたいである。
私はパソコンのモニターを見ながら薄らと映る自分のシルエットを見つめた。
つづく
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