第13話
「人は自分が正しいと思えば思うほど辛くなる」13
電車で池袋まで行って東口にある幼稚園にマミを預けてから仕事へ向かう。
私とマミのルーティンである。
あ、たまにトラジも一緒である。
金井組はシングルマザーの風俗嬢やキャバ嬢の為に歓楽街に幼稚園を経営しているのである。訳ありの人間は訳ありの人間達が助けていると言うことだ。
マミの母親は逃げれないように川口の奧さんが経営しているスナックで働いている。
マミの母親やそれ以外の女を操っていた半グレ組織は解体されて多田野組と金井組の使いぱしりにされている。彼等は上下関係は無く実態も無いが事あるごとに怒濤を組んで悪さをしていたが多田野組と金井組は一人も逃さないで拘束した。そして彼等のしていた悪さをそのままさせている。そして振り込め詐欺や薬の売人をさせられているらしいー。
何故か結婚も出産もしていないのに私はシングルマザーになった。正しいことをしたつもりだけど何か引っかかるー。
とは言え幸せである。
ある日ー。
カレーを作ってるトラジをマミが「パパ!」と呼んでいた。トラジは驚く素振りもしないで「マミお皿を用意してくれ」と返していた。その場で驚いているのは私だけであった。
「なんで親子になってるの?」
私はパソコンで仕事をしながら呟いた。
何か納得がいかない。
マミは私を奈美恵ちゃんと呼ぶのである。でも、トラジはパパである。納得がいかない。
「奈美恵ちゃん!パパが作ったカレー食べよ」
マミがニコニコしながら言った。
三人で少し大きめのテーブルでカレーを食べた。私は少しふて腐れて悔しいけど美味しいカレーを食べた。
「マミはなんでトラジをパパって呼んで私を奈美恵ちゃんて呼ぶの?」
思い切って聞いてみた。
「パパって呼ぶと一回十円貰えるから!」
「え?」
「こら!マミ!それは言うな!」
トラジが慌てている。
私はトラジに含み笑いをした。
つづく
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