第8話
「人は自分が正しいと思えば思うほど辛くなる」8
山田店長はポカンとしている。
「鏡ちゃんの子供みたいになってるじゃん」
「え?」
「鏡ちゃんは子供嫌いだと思ってたからさぁ」
「子供は好きじゃないですよ」
「でもさぁ完全に親子だよ」
「え?」
そう言われて私とマミは顔を見合わせた。
「仕草も似てるじゃん」
山田店長は笑っている。
山田店長はマミの母親が提出した履歴書を調べたが全てデタラメであった。住所も電話番号も名前も…。
手掛かりは講習の時に撮った下着姿のポラロイド写真のみである。
「面倒臭いことになりそうだけどさぁ児童相談所に連絡してみないとだな」
「マミはどうなるんですかね」
「施設に入るのは間違いないと思うけどね」
私はマミを手繰り寄せた。
「母親が見つかってどうなるかだと思うけどウチはそんな事出来ないからね。明日に児童相談所へ連絡入れてみるからさしばらく預かってよ」
私は頷いた。
出来るならマミをこのまま育てたいと思っているーこれは母性本能かな…。
私はマミとファミリーレストランに寄ってご飯を食べて買い物してから帰った。
玄関先に男が立っていた。
「よう」
男はトラジというたまに会ってセックスだけの付き合いである。このタイミングで来るなんてと少しムカついた。
「いきなり来るなんて珍しいね」
トラジはマミをジッと見ている。
「いつも連絡くれるじゃん」
マミもトラジをジッと見ている。
「カオルって子供いたっけ?」
「んなわけないでしょ?」
「だよな?俺の目の前に居るのは座敷童子かな?」
「んなわけないでしょ?マミちゃんだよ」
「そっかぁ」
トラジは笑いながらマミの頭を撫でた。
「と言うことだからさ、今日は帰ってもらえる?」
「そうだな」
「ごめんね」
「いいさ!連絡しなくて悪かったな!あ!一つ良いか?」
「なに?」
「この子は預かってるのか?」
「うん」
「母親は?」
「解らないの」
「なるほどな」
「なにか知ってるの?」
「ちとな…」
「中に入って!聞かせて」
私はマミとトラジを部屋に入れた。
つづく
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