第5話
告られてからと言うものの片桐本人や、吹奏楽部の人からの目線は突き刺さるほどに鋭かった。
4月になり、僕達は中学3年生になった 。
あの悪夢から、逃れられる… 。
配られたクラス表____ 。
1組から目を通し自分の名前を見付ける 。
3年1組
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37名
よっしゃ…
あの女の名前はない 。 一息ついたあとその女の名前を探す 。
3年5組
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36名
うちの学年は全250人ほど。全7クラスある。
1組から5組は3階 、6、7組は2階にある 。
つまりあの女と3階の中で一番離れているクラスになったのだ 。
勝利!残りの1年は安泰だ!
別に、誰かさんと同じクラスで嬉しかったとかは一切ないが。断じて… ほんとに。
____
新しいクラスになってから1ヶ月
女子のコミュニティーを舐めていた 。
当たり前だが、片桐と同じ部活の奴はこのクラスにも何人か居る 。
その人達に会いに来るという名目で1組にやたらとくるじゃないか!
平谷…御前まさかグルか!?
キッと彼女に目を向けるとスッと目を逸らされた 。
肩が揺れている 。
クソ、確信犯か 。
まぁ、僕に害がないならいいのだ 。
この1ヶ月視線はちょくちょくというか結構感じたが、僕自身に話しかけてくる等はなかった 。
____
このクラスにも慣れ始めた2ヶ月目
最悪だ。最悪最悪最悪だっ!
昨日片桐からメッセージが来たのだ
『私もラノベにハマり始めたの。おすすめ教えて?』
とのこと 。
ラノベ好きが増えるのは僕としても嬉しいことだ 。
だが相手が相手だよ 。はぁ… 。
だが僕もその時というより結構前からハマっていたラノベを勧めた 。
次の瞬間____
『貸してもらってもいいかな?』
おっふ… 。ゾワゾワっと背中に寒気がはしり腕には赤いぶつぶつとした蕁麻疹 。
ガチか?本気か?この女?
自分のことを振った、完全に脈なし男にライトノベルを借りるのか?
最近の若者の気持ちはさっぱり分からん 。
2年のときはそんなに話さなかったじゃないか 。
樹からの話や、自分の経験から片桐さんをすこし警戒していた。
しかし別に断る理由も無い 。 ラノベ好きが増えること自体は嬉しいし 。変な感情を持たれるよりはラノベを貸してくれる元クラスメイトの立ち位置の方がよっぽど良い 。
そういうことで片桐に本を貸すことになった。
彼女はシリーズ本を貸りたいらしく、昼休みに取りに来てもらうことにした。
___ next
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