第17話 シェアハウスは第二の我が家③
四人で盛り上がっていると、大股で歩く足音が聞こえた。萌さんと楓さんが下りてきたのだ。足音の正体は楓さんだったのか。
片手を頭の上に挙げていった。
「オ~~スッ! みんなお揃いだねえ!」
光さんはたこ焼きを口の中でもぐもぐさせたまま答える。
「おお、二人ともまだ帰ってないのかと思ったわよ。どこに隠れてたのよ」
「いろいろ忙しいんだよっ!」
「何が忙しいんだか。珍しく全員揃ったじゃない。今日はたこ焼きパーティーね!」
光さんは歓声を上げる。生活のペースが違うから六人が同時にキッチンにそろうことは本当にめずらしい。
「ところで、私たちの分もあるの? 光さんがみ~んな食べちゃったんじゃないでしょうねえ」
「ほらほら、取っといてあるわよお」
「やった~~っ! やっぱりみのりさん、気が利くなあ」
「あとで来ると思ったから材料はたくさんあるわよ。さあ、人数が増えたからもう一回焼くわね」
みのりさんは立ち上がりたこ焼き器の中に材料を流し込む。
「焼けてるのを食べて待っててね」
「やっほー、いっただきまーす! みのりちゃ~ん」
「わたしも、いただきます!」
萌さんも小皿に取り食べ始めた。
スウェットシャツを着ているが、胸のあたりが盛り上がっているのがはっきりわかる。それを見ただけで、彼女のブラジャーをつけた姿と裸を思い浮かべてしまう。顔が赤くなっていないかどうか心配だ。
「美味しいわね、夕希くん」
「はっ、はいっ!」
「たまにはこういうこともあるからいいわよねえ、ここは」
「そうですね。ありがたいです」
こういうことだけじゃなくて他にもいいことはいろいろある。
萌さんの巨乳が見えたり楓さんの喘ぎ声が聞こえたりする。みのりさんは優しい声で胸をくすぐるし光さんはすぐ体を触る。日南ちゃんは不思議少女でこちらが放っておけなくなる。
「あら何を見ているの夕希君。可愛い男の子にじろじろ見られたら照れるじゃないの」
「そ、そんな見てません」
彼女は体をゆするたびに胸がゆらゆら揺れるのだ。
「あらそうお。私ってそんな魅力的かしら」
「は……はあ」
光さんが冷やかし半分にいう。
「わかったあっ! 萌さんは胸が大きいからつい目が行っちゃうのよね、夕希君」
「ちっ、違いますっ!」
「やっぱりブラジャーの研究をしているだけあるわよねえ」
「へえ、ブラジャーの研究ってどうして?」
楓さんが急に話に加わった。もうめちゃくちゃだ。
「だってね、部屋にブラジャーがたくさんあるんだもんね、萌さん」
「わ~ん、もう言わないでよお。今は女子だけじゃないんだから。ほら夕希君がいるでしょ」
「あっ、ごめん」
部屋にブラジャーがたくさんある……ブラジャーの研究をしている……。
そうか! 彼女の仕事はブラジャー研究家! そんな、まさか。
日南ちゃんまでが萌さんの胸をちらちら横目で見ている。同性から見てもやっぱりすごいと思うのだ。
「さあ、そろそろ焼けるわよお」
みのりさんが焼けたばかりのたこ焼きを串で刺しながら移していく。まだまだ食べられそうだ。
「もっと、いいですか?」
「どうぞ、遠慮しないで食べてね! また焼けばいいんだから」
「みのりさんの料理美味しいですっ!」
「もう、夕希君ったらあ。いやあねえ」
本気で喜んでくれるところが可愛い。みのりさんの生徒になった気分だ。
「あっ、そうだわ。亜里沙ちゃんとおばさんにも上げましょうかあ」
「そうねっ、せっかく焼いたんだから」
っと光さんがいう。
「私が渡そうかな」
「ええ、お願い」
光さんは小皿にいくつか盛りソースと青のりをかけ両方の部屋を隔てているドアをノックした。
「は~い」
あの声は亜里沙ちゃんだ。ドアが開きこちらへ顔だけ出した。光さんは皿を彼女に渡す。
「これ、どうぞ。みのりさんが焼いたんです」
「わあ、美味しそう。今日はたこ焼きパーティーなんですね」
「まあ、そんなところです」
隣の部屋には亜里沙ちゃんがいたことを思い出した。それを考えると夜眠れなくなってしまいそうだ……。
それからここの人たちの事を思い出すと、朝になってしまうかもしれない。ああ、顔が赤くなっていないといいけど。
たこ焼きの宴はまだまだ続く……。
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