#08 敗北感
とりあえず。まだ教室に残っている可能性もあると言うことで、岸本さんが偵察に行くことになった。
僕が行くと、カナちゃんに見つかった場合、何かしらのアクションや警戒される可能性があるのと、セツナさんと来栖先輩は生徒会の顔でありこの学校では有名人なので、別の意味で警戒されるだろうということでの人選だった。
もし、まだ教室に居た場合は様子を見て、ターゲットが教室を出たらスマホで連絡が来ることになっている。
で、岸本さんが偵察に行ってから5分くらいで「すぐ来て」と連絡が入った。
セツナさんと来栖先輩は慌てて生徒会室を飛び出して、僕はその後をトボトボ歩いて教室に向かった。
僕が教室に着く頃には、廊下から3人が隠れるように中の様子を見ていて、岸本さんは教室の中にスマホを向けて写真を撮っているようだった。
僕はその様子だけ見て、中の状況を察してしまい、近くの階段に座り込んだ。
はぁ、やっぱり別れるべきなんだろうな・・・
メンド臭いな・・・
別れても同じクラスで毎日顔会わせるのか・・・
ちょーブルーだ・・・
それにウチのかーちゃんとか色々ウザそうだしな・・・
カナちゃんのおばさんとかも顔会わせ辛いな・・・
そんなこと考えていたせいで、近づく声に気付くのが遅れて、逃げ遅れて見たくない物を見てしまった。
楽しそうに話すカナちゃんとニヤニヤしているイケメン男子が、階段で座り込んでる僕の前を通って行った。
カナちゃんは僕に気が付いてない様だったけど、男の方は一瞬僕と目が合い、でも表情を変えずにそのまま素通りしていった。
なんか凄い敗北感だ。
お腹もギュルギュルいいだした。
二人が見えなくなると直ぐに3人が駆け寄ってきて、セツナさんに抱きしめられた。
『セツナさん・・・僕もう明日からカナちゃんと一緒に学校来るの、無理です・・・キツイです』
「うんうん、そうだね。 もう無理するの止めようね。 明日からは私と一緒に登校しよ?」
『それと・・・お腹痛いので、トイレ行ってきます』
そう言って立ち上がり、近くのトイレに篭った。
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